永田和宏のレビュー一覧

  • 生命の内と外(新潮選書)

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    細胞学の専門家による一般向けの本。なのだが、語り口が並みのエッセイストを超えてとてもおもしろい。どうしてこんな先生に学生のときに会えなかったのだろう。だから本はやめられない。

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    2019年04月05日
  • 知の体力(新潮新書)

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    細胞生物学者と歌人を生業とする著者の、理性と感性に満ちた言葉の贈り物だった。

    人間は1ミクロンほどの細胞60兆個からなる。長さにして60万キロメートル。地球15周。0-1ミリの受精卵が20年足らずで地球15周もできるだけの長さに成長する。知ることの驚きと感動は、自分という存在を見る目に変更を迫る。このまま何も知らずに人生を漫然と送っていてはダメだ。こんな喜びに出会えないなんて損だと、人を学問へ向かわせる。

    学んでから始まるより、始めつつ学ぶ。その都度必要になった知識を仕入れていくことが最も大切な知識への接近
    の仕方。

    なんだ自分でもやれるじゃないか。世界と自分は地続きだと知ること。安全な

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    2019年03月21日
  • 歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子 闘病の十年―

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    戦後を代表する女流歌人・河野裕子氏が永眠したのは8月12日。
    乳癌だった。

    その発症から亡くなるまでの歳月を、同じ歌人であり科学者でも
    あり伴侶である永田和宏氏が赤裸々に綴ったのが本書だ。

    最愛の人が病に冒される。それも癌である。一般人でも辛いことだ。
    永田氏は科学者、しかも癌の知識のある人。河野氏が左脇の大きな
    しこりに気付いた時、既に科学者としての知識で、それが癌であろう
    ことを理解していたのだろう。

    悪いことが重なる。娘の心臓疾患の発症、息子の会社の倒産。そして、
    術後の河野氏の心のバランスの崩れ。

    体の不調を訴えているのはよくあることだと思う。だが、河野氏の

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    2018年12月27日
  • 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    山中伸弥、是枝宏和、羽生善治、京大総長山極壽一の若き日の話。みんな相当な失敗と努力を重ねたのだろうが、やはり栴檀は双葉より芳しじゃないか。山極氏の話はゴリラは面白かった。

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    2018年10月20日
  • 続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    ネタバレ

    京都産業大学の教授、そして歌人である永田和弘名誉教授がオファーした、大学での講演・対談シリーズ 第2弾。前作も興味深く、そして 天才と言われるまでに至った人達の苦しみ・挫折・努力・そして今を人間味豊かに語っていて、大変面白かったので、続編も手に取ってみた。
    前作は山中伸弥教授や羽生棋士、是枝監督などそうそうたるメンバーで、(今回はどうかしら???)と少し思ったのだが・・・・・面白かった。

    「ベルサイユのばら」の漫画家 池田理代子さんは「オルフェウスの窓」を描いて人気絶頂の時に 音大受験して声楽家になっていた。

    今回一番(凄い!!)と思ったのが 劇作家の平田オリザ氏
    『現代社会で「コミュニケ

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    2018年09月22日
  • タンパク質の一生 生命活動の舞台裏

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    人間はおよそ60兆個の細胞で構成されているとのことですが、細胞という舞台では様々なタンパク質という名の役者が様々な役割を果たして極めて精緻なシステムを稼働させています。本書は、その様子をわかりやすく説明してくれています。細胞のなかで起きているタンパク質の製造工程や品質管理の巧みな仕組みは驚かずにはいられません。とても好奇心をそそられました。

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    2018年08月07日
  • 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    タイトルが興味を引いた1冊
    本当に凄い人たちが、目標を見つけたり、挫折したり
    若い頃の初々しくておもしろい話しが講演と対談と言う形で描かれている。

    また 登場する人たちがIPS細胞の山中伸弥さんや、将棋の羽生善治さん、
    その時はまだカンヌ映画祭のパルムドールは受賞していないけれど、ドキュメンタリーのような映画で定評のある是枝監督、
    京都大学の霊長研究の山極さんに関しては、名前は知らなかったがモンキーパークに何度も足を運んだ私としては、もう 興味津々のラインナップだ。

    どの人の講演内容も面白くて、機会があったら生のお話を聴きたいと思った。

    特に山極さんのゴリラとチンパンジーの社会、そして人

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    2018年07月22日
  • 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    羽生さん目当てで読んだけれど、山極さんのゴリラの話が素敵

    考え続けること、取り組み続けることでしか、どこかにたどり着く方法はないんだと改めて思える

    もう大人になりきった私は、何者かになれたんだろうか、そしてまだどこかに行けるんだろうか

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    2018年07月17日
  • 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    山極先生のパート、最初はもう読み飛ばしてしまおうかと(失礼・・)と思っていたけど、読み始めると面白く一気に読み終えてしまった。霊長類を研究することによって人間の本性を調査していく・・人間と霊長類の差って何なんだろう。同時期にalpha maleに関するTEDのプレゼンを見たりしたこともあり、人間の社会は生物のあるべき姿から捻じ曲がってしまっているよなと思ったり、でもそれが人間らしさなのかもしれないと思ったり。

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    2018年07月10日
  • たとへば君 四十年の恋歌

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    ネタバレ

    出会い、恋人になり、夫婦になり、別れる。
    二人の歌人の、その全てが詰まった本。

    そもそも、数があまりないのかもしれませんが、幸せな歌、楽しい歌があまり印象に残っていない。
    それぞれのフェーズでの、悩み苦しんでいる歌が印象的だった。
    この本の内容と直接関係はないのですが、思ったことが2点。
    ・病気で亡くなるというのは、失うと分かってから実際に失うまでの期間が長く、
     無力感、理不尽さや、失った後の時間など辛そう。
     だからこそ、色々印象的な歌が読まれるのかもしれない。
    ・心に響く歌というのは、自分の体験と似ていたり、リアルに想像できることが書かれているもの。そういった感情は、言葉にするのは難し

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    2018年03月02日
  • 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    山中さんと羽生さんの部分を読んだ。本のテーマとしては、この人たちも同じ人間なんだ、と親近感を持ってもらうところに目標があったようで、確かに、山中さんは偉人伝を読んだ時のような別次元感はなく、自分も、、、という気持ちになったが、羽生さんはやっぱり異次元だった。

    両者とも、それぞれの専門領域で見つけた勘所を語っていて、とても勉強になった

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    2018年01月11日
  • 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    企画意図としては、それぞれの世界において凄まじい業績を残した人も若い頃は「何者でもなかった時代があるんだよ」という話伝える・・・ことなんだろうけど、通して読んでみると逆にみな「何者でもなかった時代から、何者かになるための条件」みたいなものをもっているんだな・・・ということを感じてしまい逆にやる気がなくなってしまうのではないかと心配になってしまった。

    例えば、将棋の羽生善治。彼の場合、中学生でプロになっているので「何者でもなかった時代」というのは極めて短くて、せいぜいプロになるまでの小学生の数年間の話と奨励会の話ぐらいである。企画本来の意図としては「小学校から血の滲むような努力をして・・・」み

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    2017年12月10日
  • 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    ネタバレ

    「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」 山中伸弥 羽生善治、是枝裕和、山極壽一、永田和宏
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    京都産業大学での講演・対談シリーズ「マイ・チャレンジ一歩踏み出せば、何かが始まる!」。どんな偉大な人にも、悩み、失敗を重ねた挫折の時があった。彼らの背中を押してチャレンジさせたものは何だったのか。
    「BOOK」データベースより
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    すごい人たちの講演と対談をまとめた

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    2017年11月20日
  • 近代秀歌

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    話題になっている(?)ということで、読んでみました。

    最近,和歌に興味があって、西行とか、新古今和歌集とか、そういう中世の日本のものを読んでいて、そ
    の繊細さ、洗練に文化としての完成度というか、爛熟度というかに圧倒されているところ。

    というセンスでいるところで、この本を読むと、なんか、すごく重いというか、が〜んと直球で勝負されて、圧倒されたというか。

    ここには、まさに近代人がいて、考えていることが、かなりリアルに想像できるところで、彼らが、人生と正面から戦っている感じですね。

    彼らの感性との連続性が強く感じられる一方、人生の条件というものが今と比べるととてもきびしいのに驚く。100年ま

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    2017年05月03日
  • タンパク質の一生 生命活動の舞台裏

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    ミトコンドリア!
    元々何億年も前に、人間の細胞に進入して、そのまま共生するようになったバクテリア。つまり元を辿れば人間と別の生物だった。

    分子シャペロン!
    タンパク質に関して言えば、およそ3か月でほぼ入れ替わる。
    細胞のレベルにおいても、一年経つと身体を構築する全細胞の90%が入れ替わる。
    体重の2割弱がタンパク質。

    プリオン病(BSE狂牛病)伝播型プリオン
    ただタンパク質が細胞に入り込むだけでDNAは全く関わりなく増殖する。簡単にいえば、BSEに感染した牛肉を食べるだけで感染する。プリオンは熱に強く100度で煮沸しても一部が残存する。正常型プリオンは普通に体内に存在していて、それを巻き込

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    2016年12月10日
  • たとへば君 四十年の恋歌

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    我が儘を言えば妻よりは先に死にたい。遺された者の悲しみと遺していかざるを得ない者の辛さ。足らない想像力ではやはり前者には耐えられない気がする。
    様々な夫婦がいる中で、歌で通じあう夫婦というのも珍しい。歌中の一文字で相手の心模様が分かってしまうのは羨ましいようで恐いなと感じた。
    妻を始めとして家族を大事に、自分に正直に生きないといけないなと思わせてくれた一冊です。

    #読書 #読書倶楽部 #読書記録
    #たとへば君
    #河野裕子
    #永田和宏
    #2016年76冊目

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    2016年08月23日
  • たとへば君 四十年の恋歌

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    夫婦が出会ってから、妻の死までの日々を、二人の文章と、折々の短歌で綴ったアンソロジー。
    遺された夫、永田和宏さんの、河野裕子さんへの愛情が今も尽きないことがよくわかる。

    病に倒れてからのことが書かれた章は、重い病を得た人の惑乱も、それを近くで見つめる家族のつらさも、どちらも胸が詰まる思いで読んだ。
    とりわけ、同じように家族を乳がんで亡くしたことのある身には、残された側の、あの時なぜこうしなかったのか、という後悔は身につまされる。
    いつか、今度は病を得て、病の苦しみと、それを受け入れなければならない不条理にのたうち回る立場になる日が来るのだろうけれど...自分や家族はどうなっていくだろう。

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    2016年04月01日
  • 現代秀歌

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    近代秀歌と違い、本書は一人一首、全部で百首紹介されている。昭和初期~三十年代頃生まれの歌人が多い。31文字に閉じ込められた感情はシンプルで強く、共感できる歌が多かった。感情の土台は今も昔も変わらず、これからも変わらないんだろうと思う。

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    2016年08月15日
  • 家族の歌 河野裕子の死を見つめて

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    永田和宏氏が「波」に連載した文章をきっかけに、このご夫妻を知り、以来、歌の魅力に目覚め、新しい世界を見せていただきました。
    その文章のなかで、家族の歌を連載したと記述があったので読みたいと探したのですが、当時見つけられずやっとであいました。
    やっぱり裕子さん、和宏さんの歌が好き。。。
    なぜあんなシンプルな言葉で、あんな感情を表現できるのか。。。
     いつまでも私はあなたのお母さん
         ごはんを炊いてふとんを干して  

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    2015年03月16日
  • 現代秀歌

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    近代秀歌の続編.
    永田さんの解説は前の本にも増して素晴らしい.
    「第一章 恋・愛 第二章 青春 第三章 新しい表現を求めて」と普段の私から縁遠い分野の歌が同時代性をもって強く心に残る.

    だが,それ以降の章では,短歌の現代的な広がりが解説を通して感じられるものの,共感の度合いは正直なところ強くなく,印象に残る歌はあまり多くなかった.ここらが私の現代性の限界.

    最後の「おわりに」は痛切.

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    2015年03月07日