安東みきえのレビュー一覧
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ヒグチユウコさんの表紙の絵は、まるで、せめて私たちだけでも共に繋がりあいましょうといった、確実に分かり合える者を得たい気持ちで満たされているような気もする。
いわゆる『親子問題』を扱った、安東みきえさんによるYA小説(2017年)で、梨木香歩さんはとても絶賛されているようだが、私はそこまでの神話的な印象を抱くまでには至らず、寧ろ、とても現実的なものが色濃く漂う物語に、中学1年生の女子とその母親にとって、「分かる」と肯けるものがありながらも耳の痛い話であったりするのだと感じられた、それくらいの生々しさがあった。
その根拠は、皆が生まれたときの事や名前の由来に対して、幼い頃のようにはし -
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ネタバレ夜叉神川…名前だけで背すじがゾクっとする。
この夜叉神川の側に古くからある小さな神社・鬼ヶ守神社。ここに祀られているのは神様ではなく、なんと鬼。
神と鬼とは表裏一体。善と悪も裏と表で同じもの。魂という漢字に鬼の字が入っているのは、もともと人の心に鬼が棲んでいるから。
こんな怖い文章が続く短編集でちょっと覚悟して読み進めたけれど、ラストはどれも、長かった夜がようやく明け眩しい朝日が昇るように、ほっと息をつけるものばかりで安心した。
夜叉神川の側に住む子供たちの周りで起こる摩訶不思議な出来事5話。
子供の世界は大人には分からない複雑なことが多いもの。自分の気持ちを巧く表現できず、つい残酷な言葉も -
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中学校1年生の志保は、親友の美月と美月の想い人日比野と3人で近所の空き家に肝試しに行ったところ警察に捕まってしまった。家主である繭に謝罪に行ったところ、幼なじみで同級生の祥吉と出くわし、彼が、ミニチュア作家である繭のファンでよく手伝っていることを知る。自由人の繭に興味を持った彼女は、それからも繭の家を訪ね親しくなっていく。あの空き家は繭の実家で、最低限の修理をして移り住むつもりだという。次第に実家へのこだわりを強めていく繭に志保たちは不安を感じていく。
*******ここからはネタバレ*******
母親に「何もかも足りない」と思われていると感じる志保。
娘は自分のキャリアと引き換え -
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会話が多くて軽快で、文章も分かりやすくワンセンテンスが短いので、たいへん読みやすい。あまり本を読まない子どもでも読める。
テーマは母と娘の絆だが、いさかい、行き違いがあってもそれほど重くないし、あまりドロドロにもならず、後味も良い。娘たちの友情が爽やかなので、安心して読める。
中学生の主人公の志保と友人の美月、大人の繭さん、三組の母娘が描かれるが、最終的には母の愛が感じられるように描かれている。
思春期になり、娘が母を批判的に見るようになるのは、子どもが成長したからで、ある意味喜ばしいことなのだな、と思った。
金井美恵子の『小春日和』を思い出したりもした。小説としては金井美恵子の方が上手