谷瑞恵のレビュー一覧
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ネタバレ思い出のとき修理します最終巻。ノスタルジックな雰囲気漂う、時計と過去にまつわるミステリーと不思議なようで不思議でない曖昧なファンタジー色を織り交ぜた物語が幕を閉じました。最後まで太一が神様の使いっぽく見せる手法が、自分は大好きでした。彼の正体はどちらなんでしょうね。明里は人間だったと決定づけていましたが、自分はまだどっちつかずな不思議な存在で彼にはいて欲しいです。秀司と明里の関係も彼ららしい答えを出して、最後まで商店街の温かさに包まれた優しい世界でした。彼らの続きがふと想像できるような終わり方に、これからもまだ彼らの時が刻まれていく、未来が広がっているように思います。
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猫好きな人のための短編集。仕事始めの一週間でバタバタと疲弊したため、猫が集まっていて時間がゆったりと流れるような空間”ねこだまり”で、リラックスしたい気分だった。一年で最も寒いこの時期に、温かい炬燵に入りながら、そして猫の毛並みのようにモフモフとした毛布にくるまいながら読んだ。
身近で大切な人が亡くなったら猫に生まれ変わって(化けて)帰ってくるという、都市伝説を聞いたことがあったが、本気で小説にしたらこんな感じなのだろうか。猫の頭脳(思考力)の限界とか、猫目線での兄妹感など、作者さん達の豊かな想像力を感じることができた。そして、どの作品もホッコリ癒されるだけでなく、切ない設定(人との別れが必ず -
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ネタバレ思い出にまつわる人々の物語を辿る第三巻。今回は恋人の仲も深まってきた明里と秀司の間に、割り込むように登場した郁美というキャラクターによって、二人の関係にちょっとした波乱がありしましたが、それはそれで楽しめました。それに郁美というキャラも掘り下げていくと、明里に意地悪なことを言ってしまう彼女なりの理由があることも判明します。共感できるかは人それぞれとは思いますが、生きていくうえでやっぱり後悔することっていうものをみな少なからず持ち合わせているのだなとしみじみ思いました。そんな後悔をまるで部品を丁寧にひとつずつ嵌めていくみたいに、修復する物語の在り方は今回も顕在です。少し無理矢理かなと思うところも
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心温まる連作短編集。ノスタルジックな舞台の中で、少し不思議なアクシデントに巻き込まれながら、主人公の過去が修復されていく。過去の辛い思い出が修復され、前向きに捉えられるようになったら、巡り合った人と共に新しい時を刻んでいく。
物語の設定条件(仕事も恋にも疲れた三十路女性がフラりと衰退した商店街に移住する)からして、何となく気だるいような、眠たげな雰囲気でスタートした小説だったが、読み進めるにしたがって、次第に眠りから覚醒するように、商店街と主人公の過去を知りたくて、ページをめくる手が止まらなくなった。最初は灰色・黒色だった物語も、茜色、水色と変化して、最後は虹色に見えている。読者の心象を操作す -
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ネタバレ『おもいでの時 修理します』のプレートに惹かれてやってくる、様々な人達の思いや記憶を巡る物語の第二弾。今回もちょっとした不思議さを醸し出しつつ、過去に言えなかった気持ちやすれ違ったてしまった気持ちの数々をゆっくりと掬いあげ、未来へと続けるための歯車として当て嵌めていく。
今回も素敵な話ばかりでしたが、前作から関係が進んで恋人同士になった秀司と明里のやり取りにもほっこりさせて頂きました。
また神出鬼没キャラである太一が自分はけっこう好きなのですが、今回はかなり彼の謎めき度があがったような気がします。この実は不思議なのかもしれないし、そうじゃないのかもしれないという、どっちつかずの絶妙さがこの小説 -
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ネタバレハケン飯友
自身が落ち込んだ際に美味しいご飯とそのご飯を共に食べ、共有できる飯友が現れるなんて素敵だなと思いました。
白い花のホテル
小さい頃の出来事が原因で自分が大切に思える人が離れていってしまうと思っていた主人公がお別れした猫と会えるホテルで出会う?お話。
話したりすることはできずとも、互いに通ずる仕草が今でも互いが思い合っているような温かさを感じる素敵なお話でした。
猫町クロニクル
猫の町に住む2人のお話。
生まれ変わったら猫になり、生前の家族のそばで過ごし、すれ違いながらも互いが互いを思い続けたから得られた2人は幸せになれたのかな
と。2人の家族からすると幸せとは言い難いかも