【感想・ネタバレ】こだま標本箱のレビュー

あらすじ

【『思い出のとき修理します』の著者が贈る、珠玉の伝承ミステリー】

古くからの言い伝えを調べる伝説収集家との出会いが、
大切な人を失った百絵の未来を変えていく――。

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人にしかできない癒しと再生の物語が優しく胸に響きます。
マルサン書店サントムーン店 原田里子さん
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【著者より】
「こだま」は「木霊」と書きます。森の中に反響する音に、昔の人は木々の魂を感じたのでしょうか。
現代でも、御神木や謂れのある木など、大切に守られています。
日常のそばに、伝説は意外とあふれているのではないでしょうか。
伝説収集家の賀見社と、現実的な感覚の百絵、二人のやりとりも読みどころです。
どうして賀見社が伝説を集めるのか、身近な伝説に触れ百絵が何を得るのか、ぜひお楽しみください。

【あらすじ】
路地裏にひっそりとたたずむ「喫茶こだま」で働き始めた百絵。
雇い主の賀見社は、古くからの言い伝えを調べる「伝説収集家」なのだという。

姉の魂を連れていった井戸の神さま、
切ってはいけない呪われた木の秘密――。
賀見社のもとに舞い込むのはこの世の理では解くことのできない謎ばかり。

思いがけず彼を手伝うことになった百絵だが、
すべては、自らの切ない過去につながっていき――。

奇跡に満ちた救いの物語が、あなたの心にこだまする。

【目次】
1 幸せの香
2 水を染める色は
3 木々の声音
4 柳の下に眠る
5 神隠しの山

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Posted by ブクログ

常葉百絵(ときわ ももえ)は、5歳の息子・太貴(たいき)と暮らすシングルマザー。太貴は4歳の時に「神隠し」に遭ったことがあり、6日後に発見された。
大きなお城にいたらお父さんが来て助けてくれたなどと空想のようなことを話すので百絵は戸惑っている。写真家だった夫の誠太(せいた)は闘病の末にすでに亡くなっているのだ。
百絵は『喫茶こだま』に採用されたつもりだったのに、オーナーの賀見社真夜(かみやしろ しんや)から、自分の秘書を兼任するよう言われた。
賀見社の名刺には「伝説収集家」とある。伝説を集め、買い取って「標本」にするのである。店の中にはそんな「標本」がたくさん飾られていた。

開けてはいけない箱、埋めてはいけない井戸、切ってはいけない木、踏切の幽霊・・・入り口はホラーによくありそうなキーワードだが、怖がらせのお話ではない。
言い伝えの元をたどっていけば、始まりには、人と人とのつながりの物語があった。
遠い昔に仲の良かったふたりの少女たち。病弱だった姉に対する負い目と思慕を抱えて生きる老婦人。木に守られた少年たち。踏切のあちらとこちらに立つ少年少女。

「標本」という言葉からは不思議なイメージが浮かんでくる。
古い薬品やほこりのにおい、あるいは乾燥した植物の香りがたちのぼるような感じがする。
それがかつて確かに生きていた証拠でもあり、失われた命の物語を思い出す手がかりのためにそこにあるのかもしれない。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とき、時間に関わりのある小説が本当に素敵だなと思いました。今作は、古くから今まで時を経て伝わる伝説やものを調べていく物語。
息子が神隠しにあったのかもしれない…そんな百絵が「喫茶こだま」で働きはじめて、オーナーの伝説収集の手伝いを始めるが、百絵は非科学的な出来事は信じられない、そう思ってた。だから息子が亡くなったはずの父親に会ったもいう発言も信じることができない。しかし物語が進むにつれもしかすると…と考えが変わり、百絵は大貴を誠太が守ってくれたと思うようになる。1話1話ももちろん魅力的で面白いのですが、やはり物語を通しての百絵と大貴の物語が印象的です。
また、「水を染める色は」が個人的に好きだなと思いました。姉妹の関係性、科学的な事象によって起きた物語。けれど井戸に主は存在していた。信じる気持ちが大切にされたからこそ起きた、温かい物語だと思いました。

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2025年10月29日

Posted by ブクログ

伝説蒐集家であり「喫茶店こだま」のオーナーでもある加賀社に店員として雇われた百絵は秘書として蒐集の手伝いもする何とも不思議な読み物。ケサランパサランや古井戸や二本の木や踏切…意外と色んな噂や怪談みたいな話などはあちこちにあるけど元ネタを探すのは大変。ただの蒐集家の話かと思いきや実は過去の神隠しや不穏な事件も絡んでいたりで重たい内容もある。でも全然怖くないし不思議なお話でまとてめくれてるので読んでてほっとできる。言い伝えなどは昔の人の知恵でもあると思うと感慨深い。不思議なものにはそれぞれ物語があるのかも。

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2025年11月20日

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