伏見威蕃のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本書を一言で表すと・・世界のバリュー創出の指揮系統は垂直から水平に変わった。一人の知恵よりも多数の知恵の方が優れており、独り占めせずに水平に反応するシステムを創り上げれば、より良いものが作れる。といったところだろう。バブル崩壊後の不況によって、企業はアウトソーシングやオフショアリングを進めた。その結果、グローバリゼーションは加速した。三重の集束(テクノロジー、プラットホーム、リソース)のおかげで、フラット化した世界の新プラットホームは、壁と屋根と床を実質上、一気に吹っ飛ばした。つまり、光ファイバーとインターネットとワークフロー・ソフトウェアが世界を結ぶと、共同作業を阻んでいた壁が吹っ飛ばされた。ITバブルとその崩壊は「始まりの終わり」にすぎない。←このセリフはかこいい・・
真のグローバリゼーションについて、ケースを交えながら深い洞察と新たな示唆を与えてくれる本。必読。
グローバリゼーション3.0は世界をSサイズからさらに縮め、それと同時に競技場を平坦に均した。グローバリゼーション1.0の原動力が国のグローバル化であり、2.0の原動力が企業のグローバル化であったのに対し、3.0の原動力―これにたぐいまれな特徴を与えている要素―は、個人がグローバルに力を合わせ、また、グローバルに競争を繰り広げるという、新しく得た力なのである。
一例として、以下を紹介している。「2003年にはアメリカの所得税申告2万5千件がインドで処理された。2004年には100万件になった。2005年は約40万件だった。10年後には、アメリカの公認会計士は、少なくとも所得税申告書のごく簡単なものはすべてはアウトソーシングで処理すると思われる。」仕事は、最も効率的かつ効果的に行われる場所でなされる。それによって解放された人間と資本をまったく違う高度な仕事にふりむけることができるようになるから。これは企業でも同じだが、人はそれぞれ、自分の経済的な運命に適応しなければならないと筆者は述べている。
また、これらのイノベーションが起こった理由やこれから模索すべき道にも言及している。
誰であろうと、自分たちの付加価値がなんであるかを、見据える必要があることや、
変化は自然であり、今に始まったことではなく、重要な意味があるとしている。
アメリカのサービス業の一部をインドにアウトソーシングしても、インド経済の成長はそれを超えるアメリカの製品とサービスへの需要を創出しているのである。
また、イラクを飛行する無人機は、ラスベガスから遠隔操縦していること、ネットスケープのおかげで、インターネットが相互使用可能なったこと、UPSによるインソーシングなどのケースを通してそれを実感することができる。
また、インターネットという手段がコモディティ化した現代においては、消費者が企業に求めているのは、インターネットに接続する手段ではなかった。接続後に何ができるかという面で、さまざまソフトウェアの開発競争をしてほしいと考えていると述べるとともに、すべての人間のソフトウェアが他人のソフトウェアと連携するとなると、ワークフローはこれまでになく円滑に進むようになったばかりでなく、これまでとは違って、細かく切り分け、分解して、世界のどこへでも送れるようになっている。
また、ソフトウェア産業は、人間とコンピュータのグローバルな労働力が使えるグローバルなプラットホームを創り上げた。スタンダードが決まると、人間はやり方ではなく、それでできることの品質を高めるほうに注意を集中する。従来のヒエラルキー的な組織や機構を経なくても、個人もしくは自己啓発的なコミュニティが、ファイルをアップロードし、コンテンツをグローバル化できるようになった。企業は、自分たちだけのために設計され、誰も所有していないシステムがほしい。自分たちのために設計され、誰も持っていないITツールがほしい。だから、まだ商用ソフトウェア・システムの活躍の場は膨大であるとマイクロソフトは思っているとも述べている。
また、おもしろかった表現として以下のものがあった。 「信じられなった。-おおぜいが使うものがいじれるなんて。コードをちょっと書き換えると、有名な製品のウインドウの変化をこの目で見ることができるんだ。世界中で使われているアプリケーションを変えることができる」ダウンローディングと対極にあるアップローディングの魅力を、これほどうまく表現した言葉は、ほかにないだろう。
さらに、メディアに対しても議論を展開しており、メディアに対しては受け身でいるのではなく、積極的に参加したいという、インターネット世代の大きな変化を表している。つまり、参加を促すのが成功の秘訣となるとしている。たしかに・・
Y2Kはインドの独立記念日にすべきである。なぜなら、光ファイバ―ネットワークによる相互依存によって、インドは欧米の企業と共同作業をする能力をものにした。それによって無限の可能性が広がり、どこで誰のためにどう働くかということに関して国民に真の選択の自由が与えられた。
衝撃的で耳が痛いという一文ではこのように書かれていた。
いまだに何かを労働集約型で生産しているなら、出血死する前にやめるべきだ。ここで5%、あっちで5%というふうにして切りつめても効果はない。中国の製造業者でもその程度の修正は可能である。競合するにはまったく新しいビジネスモデルが必要だ。
あらら・・
ようするに、欧米が世界のフラット化やすべての市場と知識センターの連結から恩恵を受けたいなら、一番足の速いライオンぐらいの速さで走らなければならない。一番足の速いライオンは中国であり、それにとてつもなく速いに違いない。
世界のフラット化があってこそ可能になったその何かは、世界をさらにフラット化するはずだ。Googleの成功も、世界の知識を指先を動かすだけで自分のものにできることに、人々が絶大な関心を寄せている証左だろう。
最後に、たとえやる力があっても、抜け目なくやる必要がある。オールオアナッシングでは生き延びることはできないとも警告している。それを踏まえた上で、欧米の人々はアウトソーシングに不満を鳴らすべきではないとし、高い目標を掲げて自分たちの水準を上げ、より高度なことをやろうと考えるべきである。
-
Posted by ブクログ
・フラットな世界では絶対に整理しなければならないことがある。それは「誰が何を所有するのかということだ」→知的財産権における法的整備の重要性を説いている。最後のフロンティアであるアフリカでも必ずこの法的整備が求められる。日本がそのグローバルスタンダードを作ることで世界でのプレゼンスを高めることもできるはず。
・特定の分野では過渡期があって発展途上国で賃金が下がる可能性があるが、世界経済全体のパイが大きくなりつつある限り、こうした低下が恒久的であるか、あるいは全体に広がると断定できる理由は何もない。→「労働塊」説の否定。労働の量は一定不変ではなく、様々な発明やイノベーションにより、その量は増大をしていくということ。
・新ミドルクラスにに必要な人材:偉大な共同作業者・まとめ役、偉大な合成役、偉大な説明役、偉大なテコ入れ役、偉大な適応者、(バーサタイリスト、なんでも屋)、etc
・企業の変革は危機感と切迫感から始まる。状況がひどくなり、生き残るためはこれまでと違ったことをやらなければならないと思い知るまで、組織というものは根本的に変わろうとはしない」(R.ガースナー)→どの組織でも当てはまる言葉。絶えず変化を続けるものが環境に適応し、生き残る。適者生存の言葉と同義。
・エンプロイアビリティ(雇用される能力)。社員自身が「自分は雇用されるだけの能力がある」ことを証明する必要がある。
・経済成長と貿易こそが世界最良の貧困撲滅プログラム。→「自助努力による発展」と同義。人道的支援を行うだけでは支援がなくなってからでは元の木阿弥に戻る。
・財政、金融政策の運用という国の責任をトップダウンで行うだけでは国が貧困から抜け出すことはできない。教育程度の高い労働者や資本家がビジネスを始め、資本を募り、起業するのが容易な物的、法的インフラを利用できる環境を政府が用意すれば貧困層は貧困から脱出することができる。
・経済繁栄の基本公式―卸売改革(トップダウンの経済大改革)、次に小売改革(インフラ、教育、ガバナンスの3つの改善)、適切なガバナンス、教育、インフラ、グローカル化する能力。 -
Posted by ブクログ
ネットワークインフラの充実によるインターネット環境の充実、ビジネスプロセスの構築、アウトソーシングの進行による新興国の台頭。おもにこの3つの収束によってビジネスへの参加者が増加し、競争が激化しているよう。本の中ではフラット化、開かれた競技場ができたという表現がされている。
世界でこんなことが進んでいるのかを実感する本。自分の仕事も別の人にとって変わられるかもしれないという可能性を知っておくことは大事だと思う。
例が長いのと、インターネット関連はなまじ知っているだけに飛ばし読みもしていた。ただ、本の中で出てくる米UPSのビジネスには驚いた。そこまでやってるとは。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズが進んでも面白さのレベルを維持し続けるのは、本当に大変な努力と研鑽が必要なのだろうと思う。その点で高く評価をしていた本シリーズなのだが、本作は少し異なるようだ。
ジェントリーとゾーヤが恋愛関係になる前作あたりから少し怪しかったものの、ずいぶんと甘ったるい感じの2人になってしまっていることに驚き。さらにAI搭載の自律型兵器とよくわからないIT長者の登場が、なぜかこれまでの本作の魅力を削いでしまったようだ(そのように読めてしまった)。
次作の予告もされているので、まだ心配な状況は続きそうだが、魅力的なストーリーの復活を祈ります。
3.0 -
Posted by ブクログ
ウォーターゲート事件すっぱ抜いたジャーナリストらしい。まじか。まだ現役なんか。
三つの戦争とは、ウクライナと、イスラエルと、トランプ。
これは、その三つの戦争に向かい合ったジョーバイデン全米国大統領と、そのスタッフの戦いの記録。
トランプ現大統領の放言と、バイデン前大統領の、ヤバいおじいちゃんみたいな報道しかされてないからかなり偏った印象であったのだが、むしろ、バイデン氏が後8歳若かったらまた随分変わっていたのではないかと思った。
ここまでやばかったんか。
つか、米国のトップは、こういう紙一重のところを常に判断して切り抜けて行かなあかんねん。これが、大国か。
うん。トランプ氏は必然であり、一面、非常に大事な「本音」を体現しているが、なんであかんのか、わかる。
イスラエルが、なんであそこまで切れてるのかも、理解できた気がする。
あくまで著者の目のフィルターを通してだが。
一番すごいなと思ったのが、ほぼリジェンドとも言えるこのジャーナリストに、編集者がガンガン意見言って、それを受け入れてる(と本人が言っている)ところかもしれない。 -
Posted by ブクログ
★3.5
まぁ、予想通りというか、そうならないと怒るよ、というか、最後の方で絶体絶命の状態に陥りながらも、なんとか主人公のジョシュは生還という結末でした。
それはそれとして、仲介人のカルドーサですが、これは想像以上の設定でしたね。そう言う設定なのかと。何が彼を仲介人にしたのかが謎ですが、それは明らかにならなそうです。
あと、ギャビーことガブリエラ・フローレス博士。私の頭の中では、40代程度で、低めの声の女性像が出来上がっていたのですが、本書の最後に見違える姿をしている描写がされているので、もっと若い設定だったのかもしれません。
これは、シリーズとして続くのかなぁ。難しいような気もしますが、どうなんでしょう? -
Posted by ブクログ
ネタバレイラク戦争で注目され出したある民間軍事会社を追ったルポ。ウクライナ戦争ではロシアの会社が最前線で戦闘を行っていたが、出始めのこの頃は用心警護や輸送車列コンボイの護衛が主だったようだ。コンボイの護衛といえど危険度は高く一般人や警官を装った武装組織に頻繁に襲撃をうけ時には拉致され拷問を受け身代金や政治取り引きの材料とされる。著者の取材した会社も護衛任務中に数名拉致され行方不明となる。戦場で一番厄介なのは敵の正体存在がはっきりしないことだろう。疑心暗鬼に駆られたチームは軍隊ならあるはずの厳しい交戦規定という枷が機能せず疑わしきはすぐさま実力排除していく。巻き込まれる地元住民は当然反発し復興支援国への悪感情となり反政府組織にとって好都合な状況となる。他でもそうだが直接攻撃して来た者に非難をぶつけるのは当然だろうが混乱の一因である自国の反政府組織を一般市民はどう思っているのだろう。拉致した武装組織も無法者であり人質は悲惨な結末を迎えることになる。
-
Posted by ブクログ
21世紀は半導体の覇権を握る国が覇権を獲得すると「半導体戦争」と言う本を読み思っていたが、覇権を取るにはどうやらAIも先頭を走らないと獲得出来ない。
その21世紀の覇を狙うのは二大超大国アメリカと中国。この本が出版されたのが去年5月、この本では将来的にAIの発展速度及びAIが人を超えるシンギュラリティーの予測はまだ出来ないと記していた。
出版後に中国の企業が発表した格安高性能AIディープシークは、まさに衝撃だった。最先端半導体チップを使わず型落ちのチップでオープンAIとNVIDIAにとんでもないショックを与えた。アメリカ政府も衝撃を受けただろう、なぜならこの本の後半を締めたAIを軍事にも利用出来るから。ゲーム感覚で航空機を無人で操作する未来も来る。
現在の所AIは、チェスや囲碁のトップ棋士に勝利するAIなど特化した分野くらいのレベルだが、ディープシークショックでどんどんAIは進化する可能性を示した。推論AIやクリエイターに影響する画像生成AI、監視に使える顔認識AIなど中国をリーダーとする権威主義国家と民主主義国家で、悪い方にも良い方にも使える。
AIが身近になる時代は、楽しみだか私は怖いと言う気持ちが勝る。徹底的になルール作りの大切さがこの本を読んで分かりました。 -
Posted by ブクログ
「ウォーターゲート事件」でピューリッツァー賞を受賞した、ワシントンポスト紙の元記者、元編集者(現在はアソシエイト・エディター)、ボブ・ウッドワードの本。陰謀論ではない、いわゆる一次情報というやつだ。
トランプが盗まれたと主張する2020年の大統領選における議事堂襲撃、アフガニスタンからの米軍撤退時のバイデンの大失態、ロシアのウクライナ侵攻直前のバイデンの失言、、、当時の状況がよくわかる手記である。しかしながら、既に公の事実でありながら、大手メディアが報じないハンター・バイデンのウクライナでの汚職とそれに関わるバイデン一家、ミンスク合意についてのメルケルの暴露話、1月6日の議事堂襲撃の際、ゲートを開いて人々を招き入れる警察官達の防犯カメラ映像などを無視して、この本だけしか読まない人間の意識を誘導しているのか?と思われるような描かれ方の部分が多々あった。
しかし、一触即発のイスラエルとイランの第三次中東戦争回避のために、裏で動くアメリカの議員達の緊張と攻防が読み取れ、そのリアルに心臓がばくばくした。ネタニアフやトランプの人間性、バイデンの認知能力の衰えも浮き彫りになっていて興味深かった。と同時に、一次情報を収集し、その裏側を読み取れるようにアンテナを広げていないと、主流派メディアが作る歴史の全てを事実と勘違いしてしまう恐れがある、とそれを痛感した本だった。
バイデン政権下のリンゼー・グラム上院議員がバイデンについて「彼が世界を脆くしてしまった」と語っているが、為政者の不手際が「崩れてきて私たちの本土に害を及ぼすかもしれない」とまで言わしめるほどに一国を混乱に導くのだ。
外交官を32年務めたのち、バイデン政権下においてCIA長官の任に就いたビル・バーンズが2019年に出した、本書内で紹介されている回顧録『The Back Channel』において「平和と戦争のあいだを巧みに動き回ることが何より重要である」と書いている。日本にも、したたかにスマートに毅然と自国の国益のための外交を、と願ってやまない。