【感想・ネタバレ】遅刻してくれて、ありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方のレビュー

あらすじ

■ピュリツァー賞を3度受賞した世界的ジャーナリストが放つ、全米大ベストセラー!

■「何かとてつもないこと」が起きている――社会のめまぐるしい変化を前に、多くの人がそう実感している。
だが、飛躍的な変化が不連続に高速で起きると、理解が追いつかず、現実に打ちのめされた気分にもなる。
何より私たちは、スマホ登場以来、ツイートしたり写真を撮ったりに忙しく、「考える」時間すら失っている。
そう、いまこそ「思考のための一時停止」が必要だ。

■「平均的で普通な」人生を送ることが難しくなった「今」という時代を、どう解釈したらいいのか?
変化によるダメージを最小限に抑え、革新的技術に対応するにはどうしたらいいのか?

■常識が崩壊する社会を生き延びるヒントを教えてくれる全米大ベストセラー。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙が選んだ「いま読むべき」本。

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Posted by ブクログ

2001年から2016年に世界におきた、イノベーションとグロバリゼーションが世界に与えたものは何かをよく考えようというのが読者への投げかけです。
854頁におよぶトーマス・フリードマンの大作、読みでがありました。
上巻は2007年のテクノロジーのブレークポイントから、変化に翻弄される社会や人々を描きます。

結論は、こうです。
「アメリカの悪いところは、無数のコミュニティ、田園地帯、都市部の多くが崩壊していることだ。
しかし、いまのアメリカの良さは、団結して、市民が自分の将来に責任を持てるようにスキルとチャンスを得るのを手助けしているコミュニティや地域も、無数にあることだ。
強権をふるう男ではなく、強力なコミュニティのみが、アメリカを再び偉大にする」
歴史のブレークポイントは、3つ
2001年 グランドゼロ
2007年 デジタル・テクノロジー
2008年 リーマンショック

グローバリゼーションと、テクノロジー、気候変動の同時進行が、中流を支えてきた、高賃金で中スキルの仕事が、高賃金で高スキルの仕事と、低賃金で低スキルの仕事に二分されていく。それが個人のスキルの習得や、社会の制度の変化に追いつかない状況で起きていくといっています。

上巻で気になって点は、次の通りです。

・人生で恐るべきことはなにもない。理解する必要があるだけです。
・相手の遅刻のときに、熟考できる。だから、遅刻してくれてありがとう。立ち止まって、熟考しよう。
・2007年におきたイノベーション、スマホ、クラウド(VMware),Hadoop,キンドル、インテルのMPUへ非シリコン素材への適用等、技術のブレークスルーが2007年に起きている。
・ムーアの法則、Hadoopのおかげで、非構造化データを一元的に整理できるようになった
・スーパーノバ:クラウド、高速通信、ビッグデータ、AI。
・情報集約的なプロセスをデジタル化することで最大90%のコストが削減できターンアラウンドタイムが数桁改善されうる。世界の相互依存が高まり、ビジネスの創造者と破壊者のどちらにもなれうる。
・気候変動と、人口の爆発的増加、グローバル経済に環境ショックで対応している。
・ますます加速する社会、テクノロジーに、人々や政府が順応し管理する能力の間には大きなギャップがうまれてしまった。それを乗り切るためには、環境の変化の速度以上に速くすすむようにパドルをこぐことだ。
・AIによって奪われる仕事もあるが、あたらしく生み出される仕事もある。
 ①ミドルクラスの仕事は急速に引き上げられ、高度化している。
 ②ミドルクラスの仕事は、急速に引き離されている
 ③あらゆる仕事が急速に引っ張り合いになっている
 ④あらゆる仕事が急速に引き下げられている
・科学・テクノロジー・エンジニアリング・数学 この4つのスキルがいまでは必要最低限になりました。
・(業務)システムは全体として人々を取り込むのではなく、除外するように設定されている。ために、基本的な仕事すら適格でない求職者が殺到し、被雇用者は自分が求職しているのがどういう仕事かわかっていない。
・加速の時代に、仕事の世界で知的アルゴリズムが極めて重要である。

目次は以下です。

<上巻>
Part1 熟考
 1 遅刻してくれてありがとう
Part2 加速
 2 2007年にいったいなにが起きたのか?
 3 ムーアの法則
 4 スーパーノバ
 5 市場
 6 母なる自然
Part3 イノベーティング
 7 とにかく速すぎる
 8 AIをIAに変える

<下巻>
 9 制御対混沌
10 政治のメンターとしての母なる自然
11 サイバースペースに神はいるか?
12 いつの目もミネソタを探して
13 故郷にふたたび帰れる(それに帰るべきだ)
Part4 根をおろす
14 ミネソタから世界へ、そして帰ってくる
<その後>それでも楽観主義者でいられる

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2022年07月06日

Posted by ブクログ

題名に象徴されるように、テクノロジーの進歩により、常識が覆る様が描かれている。日本はまだ本書に描かれる状況まで至っていないように思いますが、近未来の姿とともに、自分がすごい時代を生きていることを実感。下巻も楽しみ。

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2018年08月29日

Posted by ブクログ

【高速回転のコーヒーカップの中心で】テクノロジー,市場,気候変動という3つの要素が著しく加速傾向を見せ,もはやかつての暮らしに戻ることのできない世界をどう生き抜くかを説いた作品。絶え間なき変化の必要性と根強いコミュニティの安定の重要性を軸として筆が進められています。著者は,『フラット化する世界』等の著作で知られるニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト,トーマス・フリードマン。訳者は,これまで著者の翻訳を多数手がけてきた伏見威蕃。原題は,『Thank You for Being Late: An Optimist's Guide to Thriving in the Age of Accelerations』。

もちろんアメリカの読者が一義的には想定されているのですが,同時代に生きる人であれば,読んで損はまずないであろうと思える一冊でした。歴史の転換点としての2007年というのは説得力がありましたし,ミクロのレベルから社会が力強くあるという方向性にも,アメリカ的な魅力を強く感じました。

〜本書執筆の旅で私が学んだもっとも重要な個人的,政治的,哲学的教訓は,もっと枝分かれしろと世界に要求されればされるほど,私たちはいっそう,信頼という表土に根をおろさなければならないということだった。信頼こそが,すべての健全なコミュニティの基盤なのだ。私たちは表土から栄養をもらっているのだから,表土に栄養をあたえなければならない。〜

読みやすい翻訳もお見事☆5つ

※本レビューは上下巻を通してのものです。

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2018年07月30日

Posted by ブクログ

遅刻してきた人間に対して、一人で考える時間を与えられたので、ありがとうなど普通は言えない。また駐車場の警備員からもらったメッセージカードに対して、アクションを取ろうとも思えない。変わった人だが、だからこそ面白い話が読めそうだと思った。著者はニューヨークタイムズのコラムニストであり、ジャーナリストだ。時事問題への守備範囲も広く、アンテナの感度も高いというわけだ。

上下巻あるが、上巻は主にテクノロジーの加速度的進化について。ティッピングポイントは、iPhoneが登場したりと話題豊富な2007年であったと当時を回想する。私も2007年を思い出し、まだ世の中が新参者にも可能性が残されていた当時に思いを巡らす。変わり切る前の世界だ。

ー GitHubは最先端のソフトウェア開発の源。ソフトウェア創造の共同作業を促す。人気があるプラットフォーム。2007年以降爆発的に利用されるようになり、個人も企業もこのプラットフォームに頼るようになってきた。

ー 2007年にiPhoneが登場した時は、Appleのアプリしか備えておらず2Gのネットワークだった。しかしその後ベンチャーキャピタリストのジョンドーアの推奨で、ジョブズはiPhoneのアプリをすべてのアプリ開発者がリリースできるようにした。そこから2008年2009年にかけてアプリ販売が怒涛のように、データと音声の需要が爆発的に拡大した。

時代を大きく変えたという意味で、やはりスマホの意義は大きい。出版もゲームもパソコンもテレビも郵便関係も、何もかもが影響を受けた。

ボストンコンサルティンググループの「モバイルテクノロジーがいかに影響与えたか」という研究発表が本書で紹介される。アメリカ、ドイツ、韓国、ブラジル、中国、インドの世論調査の結果だそうだ。スマホと比較して1年間やめられるもの。外食は64%、ペットを飼うのは51%、バケーションは50%、週に1度の休みは51%、友達に会うのは45%、セックスは38%、つまり、スマホ無しでは生きられないという事。半数は、一年外出しなくてもスマホがあれば十分と言っているのである。コロナ禍を乗り切れたわけだ。

他にも地球温暖化の事や国際情勢についてなど。範囲が広く、しかも冗長なので少し胃もたれ気味だが、興味深く読みつつ、下巻へ。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

フリードマンが「フラット化する世界」を著したのは2005年。世界はフラット化しつつも、まだiPhoneもfacebookもない時代だった。

今では、とてつもないスピードで生活、環境が変化し、人々は立ち止まり考えるヒマもなく、予定を詰め込み、スマホで写真を取りアップすることに忙しい。しかし、環境破壊は臨界点を越えつつあり、多様性とレジリエンスは劣化し、世界は分断化の方向へ向かう。それでも変化のスピードは加速度を増し、AI、バイオテクノロジーが更なる激変をもたらす。

それでも。とフリードマンは言う。立ち止まって考えよう。新しい時代に適応するため、学び続けよう。まだ我々には多様性を受け入れ、人々を守り、成長させるコミュニティがあるじゃないか。みなが協力してテクノロジーを使いこなしていけば、まだ間に合うかもしれない。

2016年の作品で、分断化し、トランプに救いを求めたアメリカ社会の様子を色濃く感じさせる作品。とんでもないスピードで変化(進化?)が進む中、それぞれが身の回りコミュニティを健全なものにしていくことにすがりたくなる気持ちには共感はできるけど、実際の生活でできるだろうか。。

ベストセラーだけあって、読みごたえありです。

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2019年07月06日

Posted by ブクログ

世界はフラット化し、更に2007年に起きたスーパーノヴァと呼ぶべきテクノロジーの指数関数的進化によって、適応能力を越えた変化が起きた。並みでもそこそこの暮らしができた時代は終わり、常に新たな対応を続けないとついていけない。健全な若者を育てるコミュニティの力、新時代への適切な対応で維持できる。

スーパーノヴァの破壊力。人類の今の立ち位置が移行期であること。コミュニティが重要なこと。コミュニティのあり方も、ベストプラクティスを学べること。人間として根をもっているからこそ、を感じました。

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2019年06月12日

Posted by ブクログ

オピニオンライティングとは、自身の価値観をもとに世の中の仕組みについて仮説を持って書くこと
・その仮説は、現実の人々が与えてくれた刺激と情報に基づいていること

クラウドは複雑さのコストをなくす
・スーパーノバ
加速する世界を乗りこなすには、自分が世界よりも早く動くことが必要
デジタルディバイドを越えたいま、モチベーションディバイドが生まれた

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2019年03月21日

Posted by ブクログ

トーマス・フリードマン氏には、フラット化する世界で胸を射抜かれてから、所謂ファンだ。ニューヨークタイムスのコラムも以来読んできた。本書は氏の集大成かつ真骨頂という内容。早過ぎる時代の変化を、楽観的な調子を貫き、科学技術へのリスペクトをふんだんな事例で織り込んで、全網羅的に展開している。刺激的だ。下巻に進もう。

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2018年09月21日

Posted by ブクログ

私には難しかったですが、目まぐるしく変化していく社会に置いていかれようと必死にもがくことも必要なのかもしれませんが、一度立ち止まることも必要だと思いました。下巻も読んでみます。

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2024年05月26日

Posted by ブクログ

相変わらず、翻訳が読みづらいのだが、
それでも内容は理解できなくもない。

2007年がターニングポイントというのは、
なるほど、確かにそうかもしれない。

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2020年04月28日

Posted by ブクログ

パート1 熟考
・遅刻してくれてありがとう
パート2 加速
・2007年に一体何が起きたのか?
・ムーアの法則
・スーパーノバ
・市場
・母なる自然
パート3 イノベーティング
・とにかく速すぎる
・AIをIAに変える

著者は、トーマス・フリードマンで、代表作は『フラット化する世界』など。

ロの物書きが、現在進行形で世の中で起きている事をコラムとして書き連ねた物という印象。

この、十数年、いや、2007年から起きたテクノロジーの大加速に驚愕しつつも、直近で何が必要で、自分の子供の世代で何が必要となるのかについて筆者の視点からのメッセージが書かれている。

個人的に面白いと思ったのは、労働のパラダイムシフトに関するストーリーだ。AIによって仕事、労働が変化していくであろうと予想し、個人の好きな事をお金に変える方法として、料理教室であったり、スポーツの体験だったり、お酒が飲める絵画教室だったりを、紹介しつつ、子供達にしてはいけない質問として、「大人になったら何になりたい?」、「専攻はなんですか?」、「生活のためになにをやりますか?」と、職を見つけるだけでは無く、創り出す必要がある世の中になっていくとし、子供に与える最高の贈り物は”物の考え方”という。

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2018年12月03日

Posted by ブクログ

今は誰でもキーボードを叩くだけで歴史を創れる
2007年は歴史の当たり年
ムーアの法則 王様とチェス盤と米の昔話と同じ
テクノロジーは自らを土台とする仕組み スピードが加速する
スーパーノバ
言語を統計的手法で学習する
電話番号は時代遅れになる
ビッグシフトは労働力である限り学び続けることを要求する
株取引のアルゴリズムは乱高下があると完全にてをひく 暴落に繋がりやすい
高い人工増加率は教育や経済的向上に追いつけない  高齢か問題より深刻
女性の教育と避妊具で人工増加は抑えられる

パドルを水のなかに入れたままにしない パドルは舵ではない  急流て安定を高めるには流れより速く進もうとすること 仕事のイノベーションも同じ
社会の仕組みが追いつかない可能性がある
絶えず自分を作り直し生涯学習に邁進する必要がある

機械化で織物工の雇用は増加した 価格が下がり需要が増えたから
Atmによって生産性が向上し支店が増え出納係の雇用は増えた
仕事はなくならないが必要なスキルは高くなる

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2018年11月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「フラット化する世界」のような名作を書いてしまうとやはり後が難しいのだろうか。悪くはないが良くもない、という感じ

ムーアの法則通りのコンピュータ速度の進化、著者が「スーパーノバ」と呼ぶインターネットやクラウドの時代。人間と社会はこれまでずっと、だいたいにおいて変化に着実に適応してきたが、テクノロジーの変化は急激に加速し、それらの変化をほとんどの人間が吸収できる平均的な速度を超えてしまった。

少し立ち止まる瞬間が必要なんではないだろうか?待ち合わせの時に相手が遅れてくると、その間、色々と考え事もできてありがたい、というところからタイトルはとられている。

・人々はどんどんいらだっている。ウォルマートによると人は100ミリ秒ごとにいらだち、二分の1秒サーバーの反応が遅れると買うのをやめてしまう(遅れが生じるたびに取引処理が2%減る)

・これまで、仕事は見つけるものであったが加速の時代にあっては仕事を創り出さないといけない。エスカレーターの速度より速く昇らないといけないので、たえず自分を作り直し、生涯教育に邁進し続けないといけない。学習は知識よりも重要になってくる。

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2018年08月04日

Posted by ブクログ

ビジネスフローも、自分のOSもアップデートしていく時代。
(にしても本のタイトルがオシャレだよな)

#遅刻してくれてありがとう #読書記録 #読書記録2018

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2018年07月20日

Posted by ブクログ

題名だけみて、意味がわかりませんでしたが、「この忙しい世の中、相手の遅刻によってもたらされた時間は『考えるため』に有り難い時間である。
そんな意味が題名込められているようです。

中身は、今の言う世の中が、これまでにどう変わって来て、これからどう変わっていくのかについて実例を挙げて様々な視点で書かれてますが、正直私には難しかったようです。

言わんとしていることは分かるのですが、訳がしっくり来てない感じがします。(疲れが溜まってて、頭がうまく働かないと言う身体的もあるかもしれません)

とは言え、言いたかったこと、
この忙しく速さも求められる時代、しっかりと「考える」ことが大事であることは理解できました。


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2018年07月09日

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