伏見威蕃のレビュー一覧
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ボブ・ウッドワードが描くトランプ大統領像。
2016年末の大統領選挙においてヒラリー・クリントンを破って大統領となったトランプ。
ウッドワードは彼がもつ数々の情報源から得た情報を基に大統領選前後のトランプと、彼を大統領にしようとした人たち、そして当選後のホワイトハウスにおけるトランプと、彼の閣僚や側近たちの動向を詳細に描き出している。
ちなみに読んでいて、あまり意外性はない。というのも、報道されるようにトランプ大統領は高圧的であり、気まぐれであり、ナルシストであるというトランプ像がほぼそのまま出てくるからだ。
明らかになってくるのはトランプの中には彼の感じているアメリカ像、世界の中でアメリカが置かれている境遇、あくまでも彼が感じている境遇がある。すなわち、超大国として頼られる国であり、時にあまりにも頼られすぎ、他国が果たすべき責務までを背負いこまされているアメリカ。本来はもっと強く威厳があるはずなのに、他国から食い物にされているアメリカだ。
彼の側近には彼のアメリカ像に共感し、それを変えようとする、すなわちアメリカ・ファーストを進めようとする陣営と、そのように見えるのは国際関係の中で各国と協調しているからであり、アメリカがその役割を変えようとすることは逆にアメリカの不利を招くとするグローバリスト陣営だ。
トランプは前者の陣営の声を代弁することで大統領になったが、ある意味それはあくまでも彼の思い込みの中でのアメリカ像だ。トランプは一人の無知な少年で、二つの陣営に分かれた大人たちから、それぞれの主張を聞かされるといつも彼の主張が揺れ動くように見える。それ故にマスコミから「ぶれている」と喝破されると動揺して激しく抵抗する。
そしてその動揺を側近たちの責任として叱責する。
その繰り返しがホワイトハウスの中で絶えず繰り返されている。
ちなみに、安倍首相はトランプとの信頼関係を強く強調していたが、この本の中で彼の名前は出てこない。日本という国名も数回、片手程度しか出てこない。
アジアで取り上げられるのは中国と北朝鮮と韓国だ。
中国に対してはアメリカを貿易赤字に陥らせている国として攻撃するものの、中国が北朝鮮に対して制裁に出たのは自分と習の信頼関係のおかげだと信じている。
北朝鮮は核実験を強行し、そのミサイルがアメリカにまで届くようになりつつある脅威として。
韓国はその北朝鮮からの攻撃を検知する重要拠点という位置づけだ。アラスカの基地からでは北朝鮮からミサイルが発射されて15分後にならないと検知できないが、韓国からは数十秒後に検知が可能だ。しかし、トランプの口から韓国の名前が出てくるのはその軍事上の重要性ではなく、韓国が在韓米軍の維持にお金を出さないことに対する不満が原因だ。何度も何度も韓国が金を出さないなら、韓国に駐留している米軍を引き上げさせろと主張しては側近から止められ、韓国との同盟の重要性を説明されるということが繰り返される。
そう、日本の名前がトランプの口から出てこないのは、日本がお金を出し、アメリカの意見にも抵抗しないからなのだ。 -
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トランプ政権2冊目。1冊目がトランプ政権に賛同的な本だったので、反対サイドっぽい本を選びました(つもりでした)。
感想。反対サイドではありそうだが、だいぶ政治寄りで、かつストーリー仕立てで前回大統領選前から始まる内容は、予想していなかった。私はトランプ政権&その下での経済についての評価を端的に学びたかった。
本書は、トランプの人柄がよくわかり、それを押さえ込もうと苦労されている様子もよくわかり、その実態がFEARなのもわかって、全米大ヒットの暴露本?なのだろうが、私が読みたかった内容では無く、私の選択ミスでした。
そのため読み飛ばしただけです。 -
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無人の兵団というこれから来るであろう戦争の一形態について、
まさに2019年の今、周りに普通に存在するテクノロジーから、古くは機関銃が自動化として発明されたころまで遡って、その進化の歴史と、映画のターミネーターのスカイネットが出来るのか?をテクノロジーのみならず戦争の歴史と法の形成まで含めて述べられています。
前半は、近年注目が集まるAIと絡めたストーリーで、特に自律型兵器についての考察があり、「人間がループの中枢にいる。」事が重要という指摘。
この本を読んで、戦争は長い歴史を通じて、一応、法律が存在していて、民間人を巻き込まないとか毒ガスは使わないなど、どこまで効力があるのか分からない法が有るらしい事がわかった。
そして、出来る限り戦争という形を取りたくないと言いつつも、自分たちが自律型兵器を作らなくても、誰かが作って使うかもしれないというジレンマ。
「人間がループの中枢にいる。」事で過去の大惨事を防いで来た例を挙げつつも、株式市場では、機械同士のマイクロ秒のアルゴリズムの戦いが既に起きている事実も挙げている。
過去の兵器は、精度が低い為に、被害の規模を大きくしてしまうが、画像認識のテクノロジーでターゲットを精確に判定する事で最小限の被害で済む可能性にも言及しつつ、それでも「人間がループの中枢にいる。」事を筆者は支持している。
この本では、ドローンをはじめとして、アルゴリズムすら簡単に手に入る現状も紹介しており、混沌とした状況に頭が疲れる。
読後感としては、日本は、安価になり続けるテクノロジーを自己の力を誇示する為に人を殺すところに使うのではなく、災害救助や介護など、人を助ける為の活動に世界で一番投資して欲しいなと思った。
目次
第一部 地獄のロボット黙示録
1 スウォーム襲来 軍事ロボット工学革命
2 ターミネーターと〈ルンバ〉 自律とはなにか?
3 人を殺す機械 自律型兵器とはなにか?
第二部 ターミネーター建造
4 未来はいま造られている 自律ミサイル・ドローン・ロボットの群れ
5 パズル・パレスの内部 国防総省は自律型兵器を建造しているのか?
6 境界線を越える 自律型兵器の承認
7 世界ロボット戦争 世界のロボット兵器
8 ガレージ・ロボット DIY殺人ロボット
第三部 ランアウェイ・ガン
9 暴れ狂うロボット 自律システムの故障
10 指揮および意思決定 自律型兵器は安全に使えるのか?
11 ブラックボックス 深層ニューラル・ネットワークの摩訶不思議で異質な世界
12 死をもたらす故障 自律型兵器のリスク
第四部 フラッシュ・ウォー
13 ロボット対ロボット 速度の軍拡競争
14 見えない戦争 サイバースペースの自律
15 “悪魔を呼び出す” 知能を備えた機械の勃興
第五部 自律型兵器禁止の戦い
16 審理にかけられるロボット 自律型兵器と戦時国際法
17 非常な殺し屋 自律型兵器の殺傷力
18 火遊び 自律型兵器と安定性
第六部 世界の終末を回避する 政策兵器
19 ケンタウロス戦士 人間+機械
20 教皇とクロスボウ 軍備管理の雑多な歴史
21 自律型兵器はどうしても必要なのか? ロボット工学の地誌原則の探究
結論 運命などなく、私たちが作るものがある
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・トランプ大統領は、海外の同盟国の重要性や外交の価値を理解していない。
ー「北大西洋条約機構( NATO )」は、欧米諸国の結束の基礎だと多くの人は考えているが、大統領選挙運動の際、トランプはNATOを批判した。批判の根拠は金。GDP(国内総生産)の2%を防衛費として支出するという加盟国の目標に対し、ドイツは1.2%だったことを問題視した。
ートランプは、在韓米軍に年間35 億ドルも支出していることに激怒し、撤退を口にした。駐留国が金を出さないなら米軍は撤退させる。平和な世界秩序を維持するのは、アメリカの利益ではない、と考えているかのよう。
・トランプは、一瞬のひらめきで物事に対処し、その場の勘で行動することを好む。即興で工夫するのが自分の強みだと思っているかのよう。
・トランプがツイッターで誰彼なしに攻撃することを懸念する側近らは、ツイートする際、事実関係は正確か、筋が通っているかなど、校閲することを提案した。トランプはこれを認めたが、校閲のほとんどは無視し、好きな通りにやった。
・トランプは、ツイッターについて、「これは私のメガホンだ」と言う。フィルターを通さずに、国民に直接、語りかける手段として効果的と考えている。
・トランプは、北朝鮮の最高指導者・金正恩を、ツイッターで激しく非難する。それは「弱さを見せてはならない」と考えるから。「どちらが意志が強いのかの競い合いだ。リーダー対リーダーではそれが重要だ」と彼は言う。 -
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軍事面のAIの現状と将来を考察した、謂わば研究書だ。期待していたシンギュラリティ(ロボットが人間を超越する)の話ではない。だが、全く関係がないわけではなく、戦争で人間が使用するAIを搭載した兵器の将来は、何の規制もなければ(人間の何らかの関与がなければ)、ロボット兵器が勝手に攻撃対象を探索し、勝手に攻撃することになる。場合によっては、例えば、敵の工作などにより、敵・味方の区別なく攻撃することになる。国際的な調整の動きはあるが、いざとなれば、そんな調整は無視されるのがこれまでの歴史である。だが、我々は既に数百の都市を壊滅させられるほどの核兵器搭載ミサイルを、たった一隻の原潜に積み込んでいるのだ。射撃手のミス、あるいは機器の誤作動によって、地球は壊滅する。これをいかに防ぐか、著者にも確たる対策は見えていない。
500ページにも及ぶ大著だが、例が豊富に引用されているので、やや専門的ながら、また、議論が空回りする部分があるが、それほど苦労せずに読み進められる。 -
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本書の作者フリードマンの名著「フラット化する世界」が発売されたのは2005年だという。私が読んだのはその数年後だと思うが、インターネットの普及が先進国と新興国の格差を縮小させ世界をフラット化させる、との内容(だったと記憶している)が、その通りになったので洞察の正しさに感服した覚えがある。
本書は、その後の技術や政治、社会の進展から今後の生き方までを考察したものである。技術的にはクラウドやAIの進化であり、社会は貧富など格差が広がり、世界は気候変動や難民増加で混乱が進んだ。これらを解決するには、人々が助け合って暮らすようなコミュニティが説いている。作者が子供の頃に過ごした社会がそうだったという。
なんか、年寄りの回顧話の感があるが、さてどうだろう。世界はそのようには進んでいないようだし、フリードマンの洞察に感心する日が再びくるだろうか。 -
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ネタバレグレイマンシリーズの最大の見どころは、テンポよく引き込まれる戦闘シーンである。頭の中のスクリーンに映像が展開し、グレイマンが躍動する。
しかし、グレイマンは報われない。
暗殺者として名高いが、実は平和主義者であるという大きな矛盾を抱えている。そんな人間が簡単に報われてはいけないのである。その通り、シリーズを通じてグレイマンは偉くなるわけでもなく、とびきりかわいいパートナーと一緒になるわけでもなく(巡り合ってはいるが続かない)、必ず孤独で終わる。
今回もシリアを相手に八面六臂の大活躍を見せる。
でもいつも終わりは同じ。暗殺者としての評価は上がったが、グレイマンの幸せは訪れない。
この大きな矛盾がシリーズ最大の魅力だと思う。