伏見威蕃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2年前の著作をようやく読み終えた(ボブ・ウッドワードは最近またトランプに関する著作を発表したばかりだ)。
命令書を大統領のデスクから、側近がサインされぬよう持ち去る、という衝撃のプロローグにはじまり、選挙戦からトランプ政権前期の混乱が克明に書かれる。
それにしても克明である。「ディープバックグラウンド」インタビューで構成されるトランプ政権の恐ろしさ。
トランプ氏は本書にも言及があるとおり、元々大統領になる気などなかったのだろうとは思う。その立場に立たなければ幾らでも言えることがあるからだ。責任を負うことに関して、彼は無頓着であると感じる。
思いつき、思い込み、忘れっぽさ、気まぐれ、そして「嘘つき」と称されるその態度。プレゼンは聞かない。あくまで意思を通すことが「強さ」だと考えており、Twitterで「生の声」を伝えることを好む大統領。そして「強さ」を履き違えている節がある。本書を読む限り、トランプ氏には凡そ堪え性がない。そして、その道の専門家がいくら説いても聞かないあの頑なさ。「嘘だ」「でたらめだ」の多さ。説得が通じない男、トランプ。
政治というのは本当に一筋縄でいくものではないと思わされる。理想を邁進していけるのは恐らくフィクションの中だけで、政治はもっと泥臭く地味で報われない。一刀両断で何もかもは解決しない。しかしトランプ氏はそのことに気づいていないか無視している。そういう意味では、政治がよくわからない一般市民に感覚が近いと言えるのかもしれない。分かりやすく単純な言説は、一定の高評価は受けるものだ。しかし、それを選ばない理由は沢山あるのだ。
指揮系統の混乱ぶりも酷く、多くの側近がトランプ氏の元を去る。加えて家族が政権に入り系統も何もなく直談判する。
個人的にはよく4年もったな、という感じだが、しかし間もなく行なわれる大統領選挙もどうなるか全く分からない。トランプという人を変えるのは無理だろう。しかも彼は抑え込めない。これからの4年、どうなるのであろうか...。
トランプ氏のテレビ好きエピソードはさもありなん、という感じであった。ある意味メディアに掻き乱され過ぎているともいえる。 -
Posted by ブクログ
【無人の兵団―AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争】
来るべき未来に出現するであろう、汎用人工知能を持つ兵器の展望と、人との関わりのお話。
【スーパーインテリジェンス】での人間を越える汎用能力を持つAI出現や、【誰のためのデザイン?】での人とシステムのインターフェース設計を思い出しながら読んだ。
自律型兵器が一線を越える前に決めておくべきルールのいくつかは顕在化できてるものの、残念ながら全く定まっていないところで開発が進んでる。そもそも何をもって自律した兵器と言うのかってところから。
過去のエピソードや、物理的な領域に限定されない自律型兵器の戦場についても広く紹介があった。兵器の話に止まらない、AIの活用と未来を考える本。
#読書 #AI #兵器 #早川書房 -
Posted by ブクログ
自律型兵器の使用について、特に賛成でも反対でもなく、どちらの立場であってもよく検討しておかなければならいない事項を、具体的な内容とともに説明しており、非常に参考になった。
自律型兵器の問題は、結局のところ攻撃目標選択をAIという名のアルゴリズムに委ねている点であり、その(プログラムした人間の意図どおりという意味での)正確性と倫理的妥当性である(と私は考える)。
正確性はプログラムである以上限界があり、そのため現状は人間が自律型兵器のループ内に挟まる形となっているが、しかし人間が間に挟まろうが、意図をしないミスは発生するものであり、結局は自律型兵器の問題ではなく、例外事項発生時の対処を如何にするかの問題である。
後者の倫理的妥当性、つまり人を殺すという意思決定を、人間が下さずコンピュータが下すという行為の残酷さ、生命の扱いの軽さの問題については、そもそも人を殺すという行為そのものが残酷であり、アルゴリズムが決定したから残酷で、人間が決定した残酷ではないというのもおかしな話である。そもそもの判定プログラムのコーディングの時点で、どういった対象を殺害するという人間の意志は反映されており、直接の決定の部分をコンピュータが行ったから倫理的に妥当でないというのもナンセンスである。
ここまで考えると、自律型兵器の何が問題なのかよくわからなくなるが、しかし本書には倫理的妥当性に関して、その先のことが書いてあった。
人を殺すという意思決定は、人間が下そうが自律型兵器が下そうが残酷でおぞましいものであり、それが戦争というものであるが、そのおぞましい行為を自律型兵器に委ねてしまえば、人を殺すことにより生じる道徳的負荷を消滅または軽減してしまうことになる。
これは殺人という行為を悪いと感じなくさせてしまうことを意味し、確かにこういった意味で自律型兵器の問題は大きいと感じた。
遠距離精密兵器の登場により、殺人の道徳的負荷はどんどん軽減されっていっており、それを自律型兵器はより一歩進める可能性がある。
将来の戦争は、このまま殺人を前提としつつ、その道徳的負荷を軽減しながら実行していく形となるのか、それともサイバー戦のように、殺人は前提とせず、相手の国への意図の強要だけが行える形となっていくのか。
自律型兵器は、戦争のやり方という(従来戦の中での)作戦・戦術面の影響だけではなく、戦争のありよう・戦争への人間の関わり方を変えるという、より大きな影響を持つ重要な兵器なのだということに気づかされた。 -
Posted by ブクログ
実は、上巻の評価は3つ星にしていた。しかし、下巻に移ってからは、俄然面白くなった。上巻では登場人物のイメージが固まらず、プロットもどことなく漠然としていて分かりずらかった。下巻になると、それらが自分の中でも次第に定着してきて、正に読むのを止められないほどの面白さとなる。それには少人数・大人数の戦闘の描写の迫力が、目に見えるかのように活写されていることも大きな要因となっているだろう。主人公は一匹狼の諜報員で、敵に何度も痛めつけられるが、左手首を骨折しても戦いをやめない。超人的とは言え、現実にはあり得ないだろう。サブメインに女性が2人登場しているが、それぞれ主人公との関係が複雑だ。詳細はネタバレとなるので、これ以上は記さないが、結末はやや衝撃的、特に上司である女性の心理とその行動が・・・。