Posted by ブクログ
2020年10月01日
2年前の著作をようやく読み終えた(ボブ・ウッドワードは最近またトランプに関する著作を発表したばかりだ)。
命令書を大統領のデスクから、側近がサインされぬよう持ち去る、という衝撃のプロローグにはじまり、選挙戦からトランプ政権前期の混乱が克明に書かれる。
それにしても克明である。「ディープバックグラウン...続きを読むド」インタビューで構成されるトランプ政権の恐ろしさ。
トランプ氏は本書にも言及があるとおり、元々大統領になる気などなかったのだろうとは思う。その立場に立たなければ幾らでも言えることがあるからだ。責任を負うことに関して、彼は無頓着であると感じる。
思いつき、思い込み、忘れっぽさ、気まぐれ、そして「嘘つき」と称されるその態度。プレゼンは聞かない。あくまで意思を通すことが「強さ」だと考えており、Twitterで「生の声」を伝えることを好む大統領。そして「強さ」を履き違えている節がある。本書を読む限り、トランプ氏には凡そ堪え性がない。そして、その道の専門家がいくら説いても聞かないあの頑なさ。「嘘だ」「でたらめだ」の多さ。説得が通じない男、トランプ。
政治というのは本当に一筋縄でいくものではないと思わされる。理想を邁進していけるのは恐らくフィクションの中だけで、政治はもっと泥臭く地味で報われない。一刀両断で何もかもは解決しない。しかしトランプ氏はそのことに気づいていないか無視している。そういう意味では、政治がよくわからない一般市民に感覚が近いと言えるのかもしれない。分かりやすく単純な言説は、一定の高評価は受けるものだ。しかし、それを選ばない理由は沢山あるのだ。
指揮系統の混乱ぶりも酷く、多くの側近がトランプ氏の元を去る。加えて家族が政権に入り系統も何もなく直談判する。
個人的にはよく4年もったな、という感じだが、しかし間もなく行なわれる大統領選挙もどうなるか全く分からない。トランプという人を変えるのは無理だろう。しかも彼は抑え込めない。これからの4年、どうなるのであろうか...。
トランプ氏のテレビ好きエピソードはさもありなん、という感じであった。ある意味メディアに掻き乱され過ぎているともいえる。