伏見威蕃のレビュー一覧
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邦訳が出るたびに手にとってしまう現時点世界最高峰のアクション小説の一つ。主人公は元米軍の特殊部隊出身でそんなものが実在するのかわからないけどもCIAの秘密部隊に所属していたのだが、あることがきっかけでCIAとCIAから通知を受けた世界中の諜報機関から命を狙われていた。現在はCIAとも関係が修復されフリーランスの暗殺者としてCIAを中心に暗殺の仕事を請負っている。世界中で命を狙われていた時から悪人しか殺さない、という信条を持っているのだがここが難しいところで要は検事と判事と死刑執行人を一人で兼ねてしまっているのだが...その辺りを気にしなければ十分スリリングで楽しめるシリーズ。本作ではボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争時の戦争犯罪人を暗殺する仕事をフリーで請け負うのだが、それも狙撃すれば済む話をわざわざ近くまで行ってなぜ殺されるのか、を本人に通知する、というやり方をとったために戦争犯罪人が関わっていた人身売買に巻き込まれ...という話。この手のシリーズで難しいのは主人公は死なないと読者にわかってしまっている上でいかにスリルを作るか、というところだと思うのだが本作でも作者の腕は見事にその辺をクリアしている。悪役の設定も巧く非常に面白かった。血腥いのが平気な人には強くお薦めします。
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マーク・グリーニー『暗殺者の悔恨 下』ハヤカワ文庫。
グレイマン・シリーズの第9弾。グレイマンは何を悔恨するのか……そうか、闘う男グレイマンだからこそ、そこまでだったのか、と納得。
クレイグ・トーマス、スティーヴン・ハンターなどの作品と並ぶレベルの痛快無比で、非常に面白い冒険小説である。
性的人身売買組織に単身挑むジェントリーは拉致監禁され、ヴェネツィアに運ばれる女性たちを救出することが出来るのか……
拉致された女性たちがヴェネツィアに運ばれることがわかった。ボスニアの欧州連合法執行協力庁のタリッサは、ヴェネツィアに向かうグレイマンと別行動をとり、ハッカーを使って性的人身売買を行なう組織の情報を得る。
一方、ジェントリーはCIAに応援を要請するが、作戦本部本部長ハンリーはジェントリーの行動を阻止しようとする。相変わらず、孤立無援となったジェントリーは……
本体価格900円
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マーク・グリーニー『暗殺者の悔恨 上』ハヤカワ文庫。
グレイマン・シリーズの第9弾。
戦争犯罪人に制裁を加えようとしたジェントリーは非常に簡単なミッションをわざわざ手を煩わせるような手段で実行したことから、全く関係無い悪の組織と対峙することになる。些か造り過ぎのような状況設定なのだが、読み進むうちに面白くなっていく。
かつて全世界の諜報機関から命を狙われていた暗殺者『グレイマン』ことコート・ジェントリーは、依頼を受けてボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争時の戦争犯罪人を殺害する。その際、ジェントリーが護衛を務めていた性的人身売買組織のメンバーも殺害し、拉致監禁されていた女性たちを目撃したことから、彼女たちを救出しようと行動を開始する。人身売買組織により妹を拉致されたボスニアの欧州連合法執行協力庁のタリッサと遭遇したジェントリーは彼女と行動を共にするが……
本体価格900円
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【「いいかね」トランプはいった。「国を運営していると、意外なことばかりなんだ。すべてのドアの向こうにダイナマイトがある」】(文中より引用)
トランプ大統領本人に対する複数回のインタビューも行いながら、トランプ政権の内幕を描いた作品。発売されるやいなや全米で大ベストセラーとなりました。著者は、前作『Fear』でもトランプ大統領について記したボブ・ウッドワード。訳者は、米国関連のノンフィクションの翻訳を多数手がける伏見威蕃。
歴代の大統領を取材したウッドワード氏のトランプ大統領評ももちろん興味深いのですが、それ以上と言っても良いほどに読ませるのは娘婿のクシュナーによるトランプ評。側近中の側近が語る内容だけに、思わずなるほどと膝を打つ言及が多数見られました。
アメリカのメディア界はトランプ特需とも言える4年間だったんだろうな☆5つ -
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ネタバレまさか、2020年(本国で書かれてるのは2019年、いやそれでも)のこの世界で、冷戦構造の米ソ対決的な戦争小説が読めるとは思わなかった。舞台が20世紀なわけでもないのにやで。
それもスパイ謀略戦から山岳戦、航空戦(エリア88もびっくりなA10の対戦闘機ファイト!)、潜水艦も出てくれば、武装装甲列車(999かよ!)、戦車戦、民兵のゲリラ戦…とにかく戦闘シーンのオンパレード。なんて贅沢な小説。
政治的な描写は戦争をするために都合よくエフェクトかけてるとこも見受けられるけどまぁ許容範囲。現実世界でもトランプみたいなんが大統領になったりするんやから、これくらいはあり得るIFでしょう。
描写が残酷だし、記述が少々マニアックだし、一見戦争賛美ものにも読めるので、読者は選ぶと思うけど、ハマる人にはたまらんと思います。フォーサイス、カッスラーあたり好きな人は是非手に取ってみて!
俺は戦争小説は好みますが、戦争は絶対反対派です。抑止のための軍隊はやむなしと思うけど、政治決着こそ現代の政治の絶対義務だと思ってます。 -
Posted by ブクログ
副題に「AI、ロボット、自立型兵器と未来の戦争」とあるが、これらについて、「そもそもなんぞや」から始め、人の関与の度合いのありようの違いから
・オートメーション
・半自律
・監督付自律
・完全自律
の定義の違いを説明し、なぜ、人が判断に関与しない汎用AI自立型兵器が好ましくないのかを説明するためには、このくらいのページ数が必要になる。(そしてまた、民間の株取引では既に完全自律システムによる実害が発生していることも)
いわゆる「サイバー戦」に於いては、速度を考えればAIの助力を人間が受けるケンタウロス方式でさえ不十分で有り、部分的に完全AI自律に頼らざるを得ない可能性を考えると、そこに心配は残る。
また、おそらく「キルスイッチの無い完全自律無人兵器」は軍事用途よりも、中国のような国家が自国内の反体制派を弾圧するために使用されそうな気もする。
しかし、対AI欺瞞画像が既に発見されているとは驚きである。 -
購入済み
久々にみる軍事スリラーの大作。迫力とスケールの大きさに圧倒され、あっという間に読み終え
てしまった。
ポーランド軍が、電撃作戦を終えて退却するロシア軍を、第四の都市ヴロツワフに誘い込んで殲
滅を図った市街戦は壮絶。どんなに犠牲を払っても自国の尊厳と独立を守ろうとするポーランド
の人々には敬服した。たとえ国土が蹂躙され、国民に犠牲者が出たとしても、日本ではまず同じ
ことは起こらないだろう。
アフリカでも米・仏軍とロシア軍が激突。双方の知力、死力を尽くした戦いぶりはすごいという
ほかない。用意周到、緻密な作戦計画も、想定外のハプニングが重なれば一挙に崩壊してしまう。
まさに「千丈の堤も蟻の一穴から」とはこのこと。続編が出るならぜひ読みたい。 -
購入済み
久々の骨太ミリタリー作品
とても面白かった。近年のミリタリーものは、正規軍同士の戦いを描いた作品が少なく、
テロリスト相手のものが主流だったが、久々に骨太の作品に出会えた感じ。スケールの
大きさに圧倒された。クリスマスを狙ったロシア軍のヨーロッパ侵攻は、かつての「バ
ルジの戦い」を連想させる。アフリカの鉱山一つを確保するために、わざわざ大国ロシ
アがこれだけ大規模な軍事行動を起こすだろうか、という疑問もわくが、ともかく、早
く下巻が読みたい。
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Posted by ブクログ
「上下巻合わせてレビュー」
今作も面白かった。ようやくゾーヤと再会出来たのも束の間、規格外の強敵登場でグレイマンはこれまでで一番苦戦することに?!相変わらず周りは敵だらけで緊張しっ放しのグレイマンを取り囲む環境だが、そこでこれまで単独で仕事をこなしてきたグレイマンが成り行きとはいえ、アンセム(ゾーヤ)、ロマンチック(ザックとのギャップに苦笑)とチームを組んで陰謀に対峙していく。もちろん個性が強すぎる3人なので順調に行くはずもなく・・・そのあたりのバラバラっぷり、息があった時のチームワークのバランスが面白い。またゾーヤの過去もスリリングに描かれていて、それが現代に繋がるあたり構成が上手い。次回作はまた単独行動に戻るのか、チーム戦となるのか、いずれにしても今から楽しみ。解説の深見真氏の薄っぺらな解説が残念(本当にシリーズ読んでるのかよ)。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「S」という文字のようにねじれているが、人はねじれをなおす生き方を見つける。変わった題名だが、Mississippiの片田舎の子供たちは「S]をこう習う。
ロサンゼルス・タイムズ文学賞を受賞
少年二人の友情と、それが壊れてからの長い年月がある。
25年後に再びめぐり合った二人の運命が、簡潔に接続詞を省いた文章で積み上がっていく物語。読みやすくひざびさに読後感のいいミステリだった。
偏狭な田舎町の人々の仕打ちを黙って受け入れるラリーの生き方と、その底辺にある黒人と白人という人種問題も重くなく理解できるもので、ミステリというジャンルを超えて、この物語に人種の違う二人は効果的だった。
ラリーの家にゾンビの仮面をかぶった男が侵入して至近距離から胸を撃たれた。
ホラー小説を愛するラリー・オットは41歳になった今、人里はなれた家に住み孤独で静かな一人暮らしをしている。父親から受け継いだ自動車修理工場を持っているが誰も来ない。その理由は過去の事件にあった。
一方、黒人のサイラス・ジョーンズは極貧状態で母親と逃げていたとき、見つけた小屋に住み着く。母はラリー家の召使になった。彼らは同じ学校に通い親しい遊び友達になった。
当時サイラスは野球の才能があり学校ではスターで、白人の女の子シンディと付き合っていた。
誘い合って映画を見に行くのを、ラリーが手伝った。だがその日シンディは帰ってこなかった。現場にいて誘拐したのではないかと疑われたラリーは、それ以後自動車工場に来る客もなく孤独に暮らしてきた。
サイラスは野球で大学に進学したが肩を痛め、海兵隊に入り、ついに故郷に戻ってきた。いまでは「治安官」とか「32」と呼ばれている。
ラリーにあうことはなかった、過去にはもう関心がなかった。だが新たな失踪事件がおき、ラリーが撃たれ、二人を結ぶ糸がまた繋がっていく。
ラリーは命をとりとめたが昏睡状態で、目覚める様子がなかった。
サイラスはラリーの病室の警護に当たり、過去に少しずつ近づいていく。子供時代サイラスと同じチームにいたM&Mも 川で死体になって見つかっている。
サイラスが大学に進学してミシシッピの田舎を離れた後は彼らは交わることなくそれぞれに人生を生きてきたのだ。
ラリーの母親はまだ生きていたが、痴呆が進み、たまに霧が晴れたようなときにだけサイラスを思い出し、サイラスの母のことも思い出す。
そして過去の事件の糸口はこの母の朧な記憶の中で見つかる。
このあたりから短い記述が一気に重みを増す。
サイラスは忘れていたあの頃の思い出や彼らの家族の生活が、次第に甦ってくる。
ラリーと一緒に過ごした子供時代を振り返ってみる。
そして過去の事件、新たに発生した事件、現在のラリーの事件が徐々に解決に向かう。
少年時代は遠くなっていたが、糸はつながっていた、静かに運命を受け入れてきた孤独なラリーの描写がいい、スポットライトを浴びた過去があり運命を切り開いていこうとしたサイラスもいい、この話はミステリだけではなく良質の文学の香りがした。
題名は小学校で書き方を習うときのSという文字のこと。