伏見威蕃のレビュー一覧
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シリーズ6作目の本作が最高に面白い。
年末に発行される「この●●がすごい」系のランキング誌で高評価は必至だ。
今までは追われる側だったCIAの仕事を請け負い、香港に飛んだジェントリーは中国、ロシアの諜報機関と渡り合う大活躍。アクションはもちろん、ストーリーもミステリーとして充分の面白さ。主人公ジェントリーの弱さを共有できる女性の登場も、ハードボイルドを損なうことはない。とにかく、先を読み急がせるストーリーと、高い技量で繰り広げられるアクションのとりこだ。
台風の2日間を本書で過ごそうと思っていたのに、1日を残して読み終えてしまった・・・。 -
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見つけ次第射殺の指令が下されているグレイマン(ジェントリー)。シリーズを通して謎にされていたものが、本作品で明らかになる。とても大がかりな陰謀があったことが分かり、一連の謎は解決する。これでシリーズとして一区切りついた。本作品でグレイマンシリーズは完結かと思いきや、このシリーズは今後も続くようなことが、訳者解説で書かれていた。こんな面白いシリーズを今後も読めるのは嬉しい。それにしても、手に汗握るアクションの連続であり、読ませる作品である。スパイもの作品として一級品である。難しいこと考えないで、アドレナリンを出しながら、ワクワクドキドキの冒険ストーリーを素直に楽しめた。
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…小説で泣いたの久しぶりです。
だいたい、帯や裏表紙に書いてある「感動の~」とか
あんまり信用しない上に、
単なる売り文句だと思っているのですが、
いやー…良かった。これは良かった。
解説にもありますが、
余韻を楽しむ作品と云っていい程。
冒頭から憂鬱な気持ちに蹴落とされ、
そのほの暗いローテンションのまま淡々と進んでいきます。
ので、挫折しがちな文体かも知れませんが、
其処を超えて此のラストは味わっていただきたく。
こないだまで読んでいた東江さんの邦訳に比べたら、
あんまり技巧的さを感じない
訳文なのかもしれませんが、
その堅さもかえって良かった気がします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ長い間(4タイトルー本5冊分!)命をCIAから狙われ続けたグレイマンの最後の闘い?が描かれる。
真相を探ろうとするグレイマンと、それを阻止&殺害しようとする側が交互に描かれるが、緻密にその両側の活動が描かれているので読み応えがある。ストーリーは一直線でも、双方の思惑や作戦、さらには多彩なキャラを描きこんであるのでドラマが分厚くなっているし、シリーズ特徴である詳細な軍事ガジェットの描きこみも相まって一級の作品に仕上がった。肝心の殺害指示の真相も二転三転して、散々引っ張っただけはある。
元々グリニーはアクションのキレは定評がありながら、ドラマ部分がやや淡白な印象があったが、もはや押しも押されぬ一級の作家になった感がある。 -
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ネタバレ風変わりなタイトルは、ミシシッピー(Mississippi)の綴りを覚える時に、アメリカの子供が歌う歌詞の一部だということ。
アメリカ南部を舞台に殺人容疑をかけられている白人と、野球の夢を諦め地元に帰ってきた黒人下っ端警察官の、元同級生がおりなす物語
最後のあっと驚く仕掛けもあり、ミステリーとしても評価できるが、どちらかというと人間ドラマとしての読み方をしてしまう。二人の主人公と周囲の人間たちの悲哀と少しばかりの癒しが、ジワジワ心にしみてくる。読み終わった後の余韻がたまらなくいい。
友情、人間の信頼関係って簡単に崩れるけど、時間をかけてじっくり癒せるものでもあるんだなぁ。
主人公の一人ラリー・オットの生き様を読むにつけ、優しく正しく生きねばなぁ。と子供みたいなことを切々と思ってしまう。 -
Posted by ブクログ
本屋さんにいくと、必ず早川文庫のコーナーにチェックを入れる。
トム・ウッドさんのヴィクターシリーズや、マークグリーニーさんのグレイマンシリーズの新刊が出ていないか、面白そうなミステリーが出ていないか確認するためだ。数年前は、スペンサーシリーズや87分署シリーズの新刊を確認していたが、このシリーズはもう新刊が出ないからね・・・。1週間ほど前に本屋さんに行ったところ、ありました。マークグリーニー・グレイマンシリーズの新刊『暗殺者の反撃』。
かつての所属機関CIAから”目撃次第射殺”の対象だったグレイマンが、世界各地で追われ、攻撃を受け、切抜けるといった今までのストーリーから攻守反転させる展開だ。グレイマンがワシントンDCのCIA本部へ迫った。なぜ自身が追われなければならないか、真相を究明するためだ。
今までのシリーズで優柔不断だと思われた行動も、本書ではグレイマンの行動規範として魅力的に描写されている。工作員としての作戦実行力はもちろん魅力だが、20数年会っていない父親との邂逅や、CIAで活動していたころの回想も、グレイマンの人間的な魅力の一つとして書かれている。
圧倒的なアクションは、周到な準備と緻密な読みの上に成り立つ作戦行動の描写なので、飽きることもない。狙われる真相を究明するテーマから、ストーリーに謎解きの要素も多く、最初から最後までグッと引っ張っていかれる。
東京出張もあったので、新幹線の車中、ホテルのベッド、約束時間までの喫茶店と、あらゆる時間で一気に読切りました。
面白かった。 -
Posted by ブクログ
2004年秋から特ダネをつかむため米軍とともにイラク各地を訪れたワシントン・ポストの特派員スティーブ・ファイナルは仕事が原因で離婚し主夫に熱中するあまり鬱になっていた。そしてバリー・ボンズが薬漬けになったことを記事にし大陪審証言をリークしたとして収監された弟と悪性腫瘍で余命わずかの父を残し2006年再びイラクに逃げ出した、民間警備会社の仕事を10日間取材するとして。
取材先のクレセントで出会ったのはイラクでこれほど楽しそうにしている人間は他にいないという好青年のジョン・コーテー彼もまたアフガンとイラクの戦争から除隊し、平和な学生生活に耐えられず逃げ出したー達だった。「おい、ここを離れなきゃだめだ。大学に戻ったほうがいい」取材対象相手としては近づき過ぎだがスティーブはコーテに忠告しクレセントを離れた。そして父親が危篤と聞いて戻ったアメリカで聞いた新たなニュースはコーテ達5人がコンボイの護衛中にクウェートからそれほど離れていない比較的安全な主要補給路のルートタンパで誘拐されたと言うニュースだった。
イラクの傭兵の数ははっきりわかっていない。おそらく2.5~7.5万人の間で管理人、コック、トラック運転手や爆弾処理の専門家を含めると08年には軍以外に19万人がイラクにいたと推定される。民間企業との契約総額は850億ドルで米政府の戦費の1/5に当たる。しかし統計上は死傷者に数えられず戦闘にも参加していないことになっている。
クレセントの場合比較的平和なイラク南部へチームを派遣するには1日4~5千ドル、間違いなく攻撃されるファルージャだと35千ドルを請求する。警備部長の月給は1万ドル、チーム・リーダーは8千でメンバーは7千、しかし同じ仕事をやるイラク人には600ドルだ。そのイラク人は最も危険で快適な車内には入れない射手を務める。志願してクレセントの射手になるにはメール1本出すだけでいい、実際に52歳のトラック運転手のホーナーは持ったこともないAKー47を渡されそのまま最初の任務に就いた。「俺はランボーだ」と言えばそれが通じる世界だ。
2005/10/3に発行された連合国暫定当局(CPA)指令第17号に米軍に同行する民間業者の武器使用についてひっそりと発表された「警備任務に必要な場合は武器の使用を承認される」と。連邦法では準軍隊の使用を禁じているが、この指令では先制攻撃の禁止については曖昧で戦闘指揮官の努力目標として規定されている。軍であれば少なくとも指揮命令系統ははっきりしており、犯罪や違反をおこせば統一軍事裁判方で裁かれる。ところが民間警備会社には適用されず、CPA17号指令でイラクの国内法からも免除されている。傭兵を訴追するには実務的な試練にさらされていない法律を適用するしかなく、誰がそれを執行するかも決まっていない。
悪名高いブラックウォーターはイラク政府の免許と適切な武器許可のない会社とは契約を結ばないという新しい命令にも関わらず、国務省に守られ制御できない軍隊となった。道ばたに立っているだけの人を撃ち、対向車や追い越した車を撃つ。それでも何も報告されない。パーティで泥酔した傭兵は首相官邸近くをぶらぶらし、誰何した副大統領の警備員を撃って逃げた。「われわれは殺すために撃つんだ。それに、いちいち脈を確かめたりしない。」ある元傭兵の言葉だ。ブラックウォーターは占領政府のトップや米大使や外交官全てを警護しイラク戦争で10億ドルを得ていた。ブラックウォーターはイラク国民を恐怖で支配する傭兵の代名詞となりアメリカ人が憎悪される原因を作っている。
本書の題名「戦場の掟」(BIG BOY RULES)はブラックウォーターをはじめとする民間警備会社が自分達のルール=強者のルールで戦い死んでいくことから付けられている。米政府は傭兵達を無視しているが傭兵なしでは作戦を遂行できない。2-3回に1度の割合で襲撃される通常20人以上必要なコンボイ警備をわずか7人で実施したクレセントのチームは唯一同行したイラク人に裏切られ拉致された。コーテ達5人は後に死亡が確認されたがクレセントは拉致されると同時に給与の支払いを停止した。
自衛隊が駐屯したサマワでもこうした民間警備会社が警備を担当した。自衛隊がいくら武器使用規定を厳格に守ったとしても、その自衛隊を警備する民間警備会社が銃を撃ち放題だとしたら同じく憎悪の対象になるということだ。 -
Posted by ブクログ
1927年にミシシッピ川流域でアメリカ史上最大の洪水が起こったことはとても有名な史実であるにも関わらず、米国民の大方からは忘れられているという。その時代、その災害のさなかで密造酒作りを稼業に選んだ夫を持ったディキシー・クレイは、幼い子を洪水で失い、今では自ら密造酒作りの日々を送っている。
そこに一家惨殺の生存者である赤ん坊をひょんなことから連れ歩いていた密造酒取締官インガソルが現れ、ディキシー・クレイのもとに神の子を授ける。それが皮肉な運命の出逢い。水は方々で土手を決壊させ、多くの街を水底に呑み込んでゆく。この世の終わりとも言うべき1927年の世界の中で葛藤する男と女の出逢いを描く、南部の叙事詩が本書である。
この骨太の愛の物語を書き綴った語り部は、衝撃の短編集『密猟者たち』で、凄まじくぼくの心臓を打ち抜いたトム・フランクリン。ただし、今回は夫人との共同名義であり、その婦人は詩人であるという。そう言われてみれば、このフランクリンの初めて目にする長編作品、とても骨太でありながらたまらなく叙情的だ。映像で言うならばサム・ペキンパの世界。
常に轟轟と流れる大量の水の重低音をバック・ミュージックにして、時折り流れる硝煙の匂い。そこに生き抜こうとする大自然と戦う人間たちの姿。命を玩具のようにジャグルする非情な悪党たちと、南部男を象徴するような圧倒的存在感を見せる先輩取締官ハム・ジョンソン。
アメリカの歴史と時間とその世界の空気をまでも包括して表現しようとする作家の意気込みに溢れたペンワーク。これぞ小説! と言いたいくらいに印象的で、セピア色したノスタルジー・カラーいっぱいの力作活劇であり、大仕掛けな恋愛物語なのである。モルト・ウイスキーのストレートみたいな作品をお求めの方に!