伏見威蕃のレビュー一覧
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ネタバレ後半になっても期待を裏切ることなくテンポよく物語が進む。
特にグレイマンがイランに潜入してからは、本来単調になりかねない物語を、複数の組織や様々なかかわりの人物を描きこむことで章ごとに交互に描いて退屈させない。
基本的には無事に(変更された)ミッションを遂行できるのか?誰と誰が味方となり裏切り者となるのか?最後まで予断を許さず物語がラストまで運ばれる。
しかもこの作者の巧いのは、軍事アクションとしての武器や装備の描きこみが緻密な一方で、多彩な人物のキャラも描けるし、何よりも下手すると超人的すぎるくらい強いグレイマンを、ユーモアでくるんだキャラとして造形できている事。
それが物語に深みを与えている。
年に一作のペースらしいので次の作品をまとう。 -
Posted by ブクログ
本書を読んでいる途中でまたひとり、トランプ政権から人が去って
行くことが発表された。ジョン・ケリー首席補佐官が年末までに
辞任する。
辞任というより更迭かもな。政権発足後から側近の誰もが自分の
考えを大統領に吹き込み、娘のイヴァンカとその婿であるクシュ
ナーは家族であることを特権のように使う。政治経験もないのに。
秩序も規律もなく、カオスと化したホワイトハウスを正常化しよう
としたケリー氏の姿は本書の中でも涙ぐましい努力だった。でも、
結局一番の障害はトランプ大統領本人なんだものな。
こうなって来ると次はマティス国防長官が政権を去る日も近いかも
しれない。ティラーソン前国務長官辞任後、唯一のブレーキ役に
なっていたマティス国防長官が去ってしまったら、もう誰も大統領
の暴走を止められないかもしれない。それどころか、暴走に拍車を
かける人間ばかりが側近として残りそうだ。
マイケル・ウォルフ『炎と怒り』を読んだ時も思ったが、ホワイト
ハウスの上級スタッフは、単なる思い付きを最高のアイデアだと
信じ込んでしまう大統領に相当に振り回されている。
そうして、大統領が軽率な行動を取らないよう、執務デスクから
署名しようとした文書や草稿をこっそり持ち去っていた秘書官の
努力に敬意を表したい。
集中力が持続できない、語彙が貧弱、自分が思い込んだこと以外は
すべて「でたらめ」だと言い切る、政治上の手続きを理解しない、
ブリーフィングの資料にさえ目を通さない、自分の間違いは絶対
に認めないし、過去の発言はその時の気分でなかったことになる。
「あんたはクソッたれの嘘つきだ」。
トランプ大統領の弁護士が辞任する際、本人に向かってこそ言わな
かったが、胸にしまい込んだ言葉。大統領の元を去って行った人
たちの多くが、同じような思いを抱ていたのではないだろうか。
これが世界唯一の強大国の大統領の現実なんだよな。コメディ映画
のあらすじだったらどんなによかっただろう。あ、任期終了後に
映画化したら面白そうだけど、怒るだろうな、大統領。
どうしようもない大統領だけれど、シリアのアサド政権によって
子供たちが殺戮されていることに心を痛めている様子には彼の
違う一面が見られてよかった。
でもな、アメリカ国内では移民親子引き離し政策という愚策を
犯しているんだよな。メラニア夫人からの批判もあって、早々に
停止はしたが、今後のことは分からない。
何しろ政策全般が大統領の思い付きと、イヴァンカやクシュナーに
吹き込まれたことで決まってしまうのだから。
本書では政権発足後の約1年のごたごたを関係者の証言から構成
している。トランプ大統領の任期中、あとどれだけの人事の交代
があるのだろう。
次にアメリカ大統領になる人は、トランプ大統領が引っ掻き回した
ことの尻ぬぐいが大変だろうな。お気の毒な気がする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレグレイマン、今回はCIAから離れて単独で仕事を受けることになるが…。
舞台は中東、そしてイラン。今なお実際に泥沼の戦闘が繰り広げられている武装地帯、というイメージはあるのだけど具体的には全然わからない。
が、そこらは読み始めると丁寧に政治的背景も描かれているし、いい意味でストーリーはシンプル。
様々な立場の人間を巻き込み、敵味方の立ち位置が曖昧なうえ、それも次々に変わる中でグレイマンの孤立無援の闘いがキレの良いアクション描写を交えてテンポよく描かれる。
フレデリック・フォーサイズやトム・クランシーなどと似てはいるのだけど、このアクションのキレ、陰影のあるキャラ造形がこの作者の巧さ。 -
Posted by ブクログ
これまでに読んだ国際情勢に関するあらゆる本の中で群を抜いて素晴らしい。キッシンジャーはフォード政権で国務長官を努めた外交のプロであり、ベトナム和平を実現してノーベル平和賞を受賞したほどの大物である。その言葉は重く、優れた歴史観と洞察力を以って、国際情勢を地域別に開設している。
1916年 サイクス・ピコ協定を以って、中東はイギリスとフランスによって分割されることとなった。それは、歴史的根拠が何もないものであり、その後の紛争や戦争の火種を内包したものとなった。
イスラム世界にとっての世界は、ヴェストファーレン体制は世界秩序の考え方として対極にある。国家は世俗的なものであり。国際システムの出発点ではなく、宗教統一への道筋への通過点にすぎない。
アラブの春は、広場に群衆を集めるのには成功したが、独裁政権を倒したその後にどういうものが来るかという考えが欠落していた。