syo5のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
二宮敦人さんの作品は『最後の医者は桜を見上げて君を想う』以来で2作目。
『さよなら、転生人生』
いわゆるランプの魔神であるビルカが現れ、現世を離れ自分が希望する生き方が出来る「魂」に転生できる物語
転生とは魂のお引越し♪
ワオッ!なんと軽快な・・・
転生先は、魂が抜けた直後の肉体!!
ビルカが条件にあった魂を時空を超えて探し出し、依頼者の魂をその肉体に放り込むのだ。
その他設定として・・・
・知識と記憶は持ち越される
・言語野は能力として備わる
・転生は途中でやめることも出来る
・同じ人以外なら何度でもやり直せる
ほほぅ・・・
何だかメリットしかなさそうな転生ですな。
本作は、以下の章毎に3人の主人公の転生物語
第一章 楽園を捨てる理由
古狩サトルは会社を無断欠勤して訪れた海辺で、ビルカの魔法のランプを見つける。
サトルはブラック企業に勤めるが、今の世界に嫌気がさしていた。転生先には「遊んで暮らせて、誰とも競わずにすむ世界。そりの合わない人とは関わらなくて良くて、仲のいい人とだけ一緒にいられる世界」を希望する。
第二章 人が龍を滅ぼすとき
転生希望者はサトルの友人の本原隆太。
父親が社長の隆太は、父の後継ぎとなることに反発し高校卒業後ニートを続けている。ゲーム漬けの日々を過ごす隆太は、転生先として「強靭な戦士になりドラゴン退治が出来る世界」を希望する。
第三章 ゆるしがたき病
転生ビジネスを始めたサトルに初めて依頼して来たのは、重度のアトピー性皮膚炎に悩まされる鶴田愛美。愛美はアトピーが原因で学校でもいじめにあっていた。「健康な体であれば、肌が健康であってくれれば、他は普通程度でもいいという転生先」を希望する。
ネタバレは避けるとして・・・
とにかく転生先の世界観に先ず驚いた。
国境を渡るのは当たり前で、世界を駆け巡り、遥か彼方へ時空を超える。
人々の暮らしぶり、信仰、精神、文化の有り様から、壮大なスケール感を扱っているのが圧巻だった。そして、その中に忽然と魂を転生された3人の主人公達・・・
3人それぞれの立場やものの見方に、同じ現代人として共感しながら、その背景にある現代の生き方にも、作者からの問いかけを強く感じる。
転生することによって生き方がどう変わるのか、変わらないのか、或いは転生先から戻って来るのか、来ないのか・・・
知識と記憶を持って転生しているだけに、この転生をどう活かすのか・・・
主人公が希望した魂をもってなお、悩み続け、自分の生き方を選択していく様子は実に興味深い。
各章ラストに、転生された時代と場所の種明かしをしてくれる所もにくい演出だった。第二章と三章に至っては、現世に繋がる伏線回収まであり、すっかり魅了されてしまった。
装丁の美しさと各章のタイトルセンスも素敵で拘りを感じた。でも『さよなら、転生人生』だけはちょっと違う様な気がするのは私だけだろうか。
望みどおりに生まれ変わったら、本当に人は幸せになれるのか?自分の人生をみつめるいいきっかけにもなる作品だと思う。
読後は気持ちのいい爽快感と、作者から人生のエールを届けてもらったような気持ちになれた。
是非これはシリーズ化して欲しい♪
文体も読みやすく平易な表現が成されているので読書慣れしていない方にもオススメしやすい作品だった。
これから益々楽しみな作家さんだと思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ烏有さん達が宮木おじいさん達に悪者扱いされた時は焦った。
宮木礼さんが何も覚えてなくて、おじいさんの口車にのせられて烏有さん達を敵だと考えてしまうのではないかと怖かった。
烏有さん達が何をして何を守ってるのか分からないから、信じられない。仕方が無いけど悲しい。
江里さんが無事だったと分かった時の安堵が凄い。
梅村さんずっと後悔してたんですね。
まさか宮木おじいさん達が国生みの神にいいように使われてたとは。
桑巣の神や件の神がまた助けてくれた。
そこに在わす神がずっと守ってくれていた。
宮木礼さんは神義省に居た頃からあきつ神と一緒にずっと戦っていたのか。
誰も覚えてないけど良かったんだろうね。
まだ終わってないけど良かったと思える世界。 -
Posted by ブクログ
異常気象の中とはいえ、そこまでドラマティックなことは起こらず、どちらかといえば淡々とした恋物語が綴られています。
ガガガ文庫というラノベレーベルから出ていますが、これはもはや文学といえそうです。
ですから、「先生とそのお布団」と同じように、ラノベとしては売れないだろうと思います。
ただ、淡々としていながらもページをめくらせる力はあり、作者の力量を感じます。
この設定ですと、小松左京さん辺りが書くとまた全く別の話になるのでしょうが、思い出したのは小松さんの「日本沈没」の中で、ある家庭の奥さんが結婚指輪(あるいは婚約指輪だったか)と引換えにちょっとした食料を入手し、夫と言い合いになるエピソード。
これを何十年経っても覚えている私も、もしかすると、異常事態の中で統治機構がどうなる、みたいな話よりも、市井の人々がどんなふうに生きていくのか、という方に興味のあるタイプなのかもしれません。 -
Posted by ブクログ
ネタバレそれ(前巻)より時は遡り、20年前。
霊感商法詐欺を働いていた青年、烏有定人(うゆう・さだひと)は警察に捕まるが、連れて来られた先で始まったのは普通の取り調べではなかった。
そこにいたのは、元殺人課の刑事・切間(きるま)と、民俗学の准教授・凌子(りょうこ)。
烏有は「見える」力を持つために目を付けられ、警察の管轄内にある「領怪神犯対策本部」で2人と共に、日本各地の村々で起こる異常な現象に立ち向かうことになるが……。
「対策本部」が「特別調査課」に至るまでに、一体何があったのか?
最終章の驚愕、再び。そして胸を刺す衝撃のラストが待ち受ける。
蓋を押す神。人のために悪いものを押さえつけているかのように見えて、悪いものを出そうとしている神。
火中の神は、悪いものを焼き尽くしてくれる神。ただ、その悪いもの、には、悪いものの存在を知るものも含まれるという善悪を超えた基準が存在していた。
すずなりの神では、美談で語り継がれるも本当の話は無理矢理の生贄を要求していた悪神。
くわすの神は、村にまずくなって手に負えない時に降りてきて、繭に包んで全部持ち去ってくれる蚕のような神。それが、人であろうと違う神であろうと行ってくれる。触らぬ神に祟りなし、ではあるが、触らなくても何かする神というのが引っかかる発言だった。
最後の章で、「少しを犠牲に多くを救えるならそうすべきよ。私たちは危険な神を鎮め、人間を守るために、神秘を侵している。それなら、私たちが神の代わりをしなきゃ」と言っていたが、これは、畏怖することない傲慢な考え方だろう。だからこそ、最終的に神によって居なくなったもの。にされてしまったのだろう。
前作の過去編であり、物語の設定や登場人物、組織や地名に意味を持たせておりよかった。 -
購入済み
怪談ブームですが…
最近はどこかで聞いたな、読んだことあるなという怪談話や小説ばかりでした。
「こわいでしょ!」と全面に恐怖を出して怖がらせようとする怪談が増えたような気がします。
正直、この小説も期待せずに読みました。
結果、めちゃくちゃ面白かったです。
読みながら部屋を確認してしまうような、窓の光が気になったり、静かな空間が怖かったり。
忍び寄る気持ち悪さのような感覚を久しぶりに味わう事ができました。
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Posted by ブクログ
しんしんと雪が降り積む、という静けさに満ちた雰囲気がとても刺さりました。常に雪が降り冬が終わらなくなった世界を舞台にした物語で、物理的にも精神的にも「閉塞」を感じる世界観は、いまのコロナ禍を反映したものなのでしょう。そんな世界で不条理に突きつけられた「現状」と、それでも選ばなくてはならない「未来」に戸惑う高校生の主人公とヒロインの姿にリアリティを感じます。読みながらこの標題の意味をずっと考えてました。「冬」に対して逆らうのか、「冬」に起こる何かに背くのか。答えは出ませんでしたが、二人は「冬」に向きあっていたと感じます。とても素敵な作品でした。