伊岡瞬のレビュー一覧
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ネタバレ「20世紀の終わりに、この世界は終焉を迎えなかったが、圭輔の世界は崩壊してしまった」
主人公圭輔を取り巻く「達也」という、私の理解の範疇を超える倫理観をもつ少年が次々に引き起こす展開が気になりずんずんと読み進められたが、読後の印象は、暗く、重く、しんどいものだった。
この物語は二部構成になっていて、
• 第一部では、達也との出会い、両親を火事で失った後、達也と、その継母道子に引き取られてからの地獄のような幼少期が描かれている。
• 第二部では、寿人と牛島夫婦に助け出された圭輔が弁護士となり、皮肉にも殺人事件の被疑者となった達也の弁護人となる顛末が描かれている。
純粋な悪そのものである達也がど -
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冒頭の台風による土砂崩れのお話はどこに出てくるのかと探りながら読んでいった。
台風被害の20年後、その町の娘の清田千遙と、東京からやってきた坂田裕二が出会い、物語が進んでいく。
裕二の残酷な生い立ちには読むのも嫌になる思いだったが、いい出会いもあった。
子どもは親を選べない。どんな酷い仕打ちを受けても逃げることができない。でもそれを救ってくれた大人がいた。
数奇な運命を生きる裕二だけど、運命を受け入れてしっかり生きていることに安心した。
初めての伊岡瞬さんの作品。
冒頭の台風被害からの話から、急に変わって千遙と裕二の話、裕二が千遙に出会うまでのお話が意外とスムーズに進んでいて読みやすかった。 -
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高級住宅街の一戸建てに越してきた家族。
しかし、父親は勤務先での不祥事により自宅待機。母親は、パート先の所長と不倫関係、さらに同僚の誘いに唯々諾々と従い危うい羽目に。息子は、引きこもりの不登校。
この壊れかけた家族の状態が、それぞれの視点で綴られ、読み続けることに倦んでいると、事件が起きる。
この事件をきっかけに緊迫感が増し、犯人は?真相は?と俄然、頁を捲らざるを得なくなる。
やがて真相が明らかになるが、この家族に救いはあったのだろうか。
『悪寒』での白石真琴弁護士が本書にも登場し、その活躍が、ダルな家族の物語の中で一服の清涼剤となっている。 -
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ネタバレ浪人生の堀部一平が同僚の老人の部屋に行ったら、女性3人+少年で同居生活をしていた──。男からしたらハーレムで羨ましくもある環境。奇妙な関係性が徐々に明らかになっていく過程が面白かった。
また、吉井恭一という政治家の息子パートも同時進行し、まったく関わりのなさそうに見える2つのパートが交差していくのも目が離せない。
中盤で明かされる「恭一を脅迫するために、そっくりさんの一平は利用されていた」という、大胆な詐欺には驚かされる。以降は恭一をこらしめるいわば復讐劇に転換。
恭一に襲われた経験がある冬馬までも利用するのはやりすぎに思えた。演技とはいえ、トラウマ相手に似ている一平に襲われる役を演 -
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ネタバレ壊れゆく家庭を描くサスペンス小説。
新しく越してきた一軒家。希望にあふれたプロローグから、本編に入ると一気に暗くなる…中学生の息子は不登校のままゲームばかりの毎日。母は息子を心配しながらも、パート先の上司と密会。父は会社でコンプライアンス違反で突然出社しなくなる…
父親・母親・息子それぞれの視点から語られる展開とそれぞれの秘密がどんより感満載…そして知り合った小学生の少女の死から物語がスピードアップする。
家族が崩壊し、華やかだった庭が朽ちてゆく…ちょっとやりきれないが、息子が最後には前向きな姿勢を見せるところが多少報われたかな…
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伊岡瞬『朽ちゆく庭』集英社文庫。
伊岡瞬の作品にしては今ひとつ切れ味が無く、ハズレの作品である。陰鬱な雰囲気の中で繰り広げられる救いようのない物語だった。こんな嫌な小説は読むのが苦痛だ。
念願のマイホームを手に入れながら、互いに不倫する夫婦と虐めが原因で不登校になった中学生の息子。やがて、家族は崩壊し、朽ち果てた庭が残るだけ……
不登校の中学生の息子である真佐也の生活が好転することを期待し、かつてのセレブタウンに引っ越して来た山岸家であったが、真佐也は以前として不登校のままだった。父親の陽一は仕事が忙しく、家庭を余り顧みることはなく、母親の裕実子はパート先の上司と不倫関係にあった。