あらすじ
累計50万部突破『代償』の著者渾身。角川文庫75周年記念、文庫書き下ろし!
浪人生の堀部一平は、バイト先で倒れた葛城をに付き添い、自宅アパートを訪れた。
そこでは、晴子、夏樹、多恵という年代もバラバラな女性3人と小学生の冬馬が、共同生活を送っていた。
他人同士の生活を奇妙に感じた一平は冬馬から、女性3人ともに前科があると聞く。
一方、政治家の息子・吉井恭一は、執拗に送られてくる、過去を断罪する写真に苦悩していた。
身を寄せ合う晴子たちの目的、そして水面下で蠢く企ての行方は――。
暗い過去への復讐を描いた、心震わす衝撃のサスペンスミステリ!
「信頼、裏切り、後悔、敬愛、憎悪、憧れ、友情、希望。
そんなあれこれをぎっしり詰め込みました」
――伊岡瞬
感情タグBEST3
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浪人生がひょんなことから前科者の女性たちと知り合い。
大変面白く読みました。
主人公と政治家の息子の話が交互に進む中、主人公にこのまま幸せになってくんないかなと思うところで事態が急変し、その後はもう展開が止まらない。
こんなにやっちゃって、一体話をどう収めるのかと思ったらうまいこと着地したものです。多少片付けに入ってた感もなくはなかったですが、決して雑な終わりではなく、少し寂しくも素敵な最後。
人の死なない平和なサスペンスだなと思いました。素晴らしかったです。
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伊岡瞬作品を数冊読んで 今回はあらすじを何も知らず購入
真壁シリーズかと思いきや、刑事は全く出てこない
登場人物もそう多くはなく 不要な説明文などはあまりなくサクサク読めてしまい、次はどうなる?と3日で読んでしまった
登場人物それぞれの人生模様がよく分かり 様々な人間の本質が垣間見える
東野圭吾作品のように 最後には切なく温かい気持ちが残る作品である
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偶然のような出会いから始まり、距離が縮まったと思いきやある日忽然と姿を消す人たちとの記憶。
でもそれは嘘でもなく夢でもなく、ちゃんと現実だった。
人々の残酷な体験や記憶が渦巻く現実の中でも、読み続けていくと甘酸っぱい気持ちや青春も感じられた。世間では悪人認定される犯人でも、人それぞれ背景や理由がある。
たとえどのような状況にあっても時間は流れ、人は生きていく。
大切なことを失うことの絶望、残酷を感じた。でも命がある限り、人生は続いていく。苦しくも死に物狂いで生き続けるという強い「生」を感じた本でした。
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ホームセンターでアルバイトをしている浪人生の堀部一平が、同僚の葛城が職場で倒れた事をきっかけにトラブルに巻き込まれて行くストーリー。
葛城が暮らすひこばえ荘の住人たちが謎だったけど、だんだんと関係性がわかってきたものの、伊岡さんにしてはのんびりした内容だな…と思っていたら、やっぱり残酷な場面が待っていました。
とにかく吉井恭一が怖すぎます。彼自身の過去を知れば彼自身も可哀想ではありますが、だからといって…。こんな人間の目に止まってしまったら不運でしかないですね。
主人公の一平は主人公なのに大活躍とはいかず、むしろ探偵の須賀がヒーローに見えてしまいました。そして恭一の父親があのような結末を迎えるとは予想外でしたけど、権力を振りかざしている悪が成敗されたという点ではスッキリしたかな。
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身元引受人、元犯罪者3人の奇妙な生活。
各々偽名を使い、主人公と接触を試みる。彼女らの過去と目的が分かった瞬間から読者の視点も反転する。
暗闇の中にも光はあるのだろう
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おもしろかった。
浪人生の堀部一平はバイト先の同僚(お爺さん)が職場で倒れ、部屋まで送り届けるところから運命の歯車が狂いだす。
ぼろっぼろのアパートへ送り届けると、どう見ても親戚などではない女性3人と男の子が集まって来て、側から見ても奇妙な宴会に参加させられる。
その人たちの不可思議な関係に疑問を持ちながらも、なんだか興味が湧き一平と奇妙な住人たちとの交流が始まる。
しかしこの奇妙な住人たちにはさまざまな過去があり、とある縁から一緒にある事件について水面下で行動を起こしていた。
ミステリーではなくサスペンス。
最初から犯人もわかっている状態だったが、最後のまとまりもよく、ちょっとした寂しさを残しながら読み終えた時には、この話のその後がとても気になってしまいました。
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だんだん二つの物語が繋がっていく感覚がぞわぞわして面白かった。けど、エンディングが少し薄いかな?と思った。恭一のお父さん死んだのとかもっとインパクト付けても面白かったのに!あっさり書いてるのが逆に怖いのかな
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面白かった。普段、自分では選ばないような小説。最近、友人と読み終わった本を交換する、というのがちょっとしたブームになっていて、結構楽しんでる。
出てくる人みんな、体温を感じるというか、姿がありありと浮かんできて、あり得ない設定なのに、まるで目の前で繰り広げられているような感じ。不思議な読後感。
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伊岡瞬さんを読むのははじめてでしたが、ずっと読みたかった作品でした。2つのストーリー展開で描かれていて、どういうふうにどこでこの2つの話が交るのかとハラハラしながら読んでいました。吉井恭一とひこばえ荘一座。そこに安兵衛こと一平が絡んで、ある事件の結着をお見逃しなく。晴子と夏樹のある秘密の企て。読み終わったあとは、なんだかなぁ、爽やかな気分に浸ってしまいました。
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話にどんどん引き込まれ、さすが伊岡瞬だなという感じ。
登場人物それぞれにいい味があって、なんだか自分も仲間入りしたような錯覚に落ち入りそうになった。
恭一がともかく気持ち悪い。
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角川の株主優待でもらって本を読んだ。いつも伊岡瞬の本は読んでるけれど。なんだかスタートが不思議な感じがした。謎に包まれたミステリアスな女3人と子供1人きっと何があるんだろうなと思いながらも、ハラハラドキドキさせる感覚はなかった。最後10/1ぐらいで、なんとなくいつもの伊岡瞬のスタイルが出てきたような気がする。
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サスペンスという以外にはどのような作品かいまいち分からず読み始めました。浪人生の一平君がふとしたことから、3人のお姉さん方と少年に巻き込まれていくお話。
やり取りの描写というか一平君がほんろうする姿が、何とも、面白く楽しめました。夏樹さんとも、もう少し、いろいろあってほしかったなという願望。サスペンスとしてはいまいちすべてがよくわからなかった。都合がよすぎるし、すっきり感がいまいちでした。
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大好きな伊岡作品!アパートの住人たちと、主人公の絡みが面白い!どうして主人公はアパートに行ってしまうのだ、と悶々とした笑 でもアパートが拠り所になるくらい、主人公もきつかったんだろうな。
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警察ものとは違う伊岡瞬のもう一つの一面。初期作品にあったほっこり系。
読み始めは正直、ん?物足りない?と思ったものの気がついたら結構な頁が進んでいて、ああさすがだなという読ませっぷり。
重すぎない展開も案外心地よい。
他の既刊単行本も早く文庫化しないかなあー。
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気分が悪くなるような過激な場面と協力して何かを成し遂げようとしている場面で感情が激しく動いた。
終わり方がいまいち腑に落ちていないが、読んでいくうちに最初の説明していなかった部分と結びつきとても楽しかった。
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ふたつの話が少しずつ絡み合ってくるが、長くて退屈な場面も多かった。また、復讐が写真を送りつけるだけの薄っぺらい内容で、最後こそ罰を受けさせたような展開だったけど生ぬるさを感じた。衝撃的な展開もないが、嗜虐的で残酷なテーマだと思う。
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浪人生の堀部一平が同僚の老人の部屋に行ったら、女性3人+少年で同居生活をしていた──。男からしたらハーレムで羨ましくもある環境。奇妙な関係性が徐々に明らかになっていく過程が面白かった。
また、吉井恭一という政治家の息子パートも同時進行し、まったく関わりのなさそうに見える2つのパートが交差していくのも目が離せない。
中盤で明かされる「恭一を脅迫するために、そっくりさんの一平は利用されていた」という、大胆な詐欺には驚かされる。以降は恭一をこらしめるいわば復讐劇に転換。
恭一に襲われた経験がある冬馬までも利用するのはやりすぎに思えた。演技とはいえ、トラウマ相手に似ている一平に襲われる役を演じるのは相当キツかったに違いない。小学生とは思えないほどの、強靭な精神力は力強さを感じる。
ヒール役の恭一は「嗜虐癖」という、女性や子供を脅して泣かせることに快感の覚える変態っぷりで不気味さを放つ。そんな彼の癖を知りながらも、「恭一は優しいから」と、恭一に惚れ込む女が居たのも怖い。行き過ぎた狂気は魅力に変わるのだろうか...。
女性3人組と恭一、どちらも過去のトラウマで苦しんだ共通点がありながらも、女性組は良い方向に、恭一は悪い方向に進んだのは何故だろう。女性たちには葛城という親身になってくれる、優しい大人が居たからなのかな。もし恭一の父がまともで愛情を注いでくれる人だったら、彼の性格は曲がらなかったかもしれない。
サイドストーリーでは一平の恋愛が展開。美人お姉さんの夏樹に釘付けで好意を寄せていた一平が、地味な多恵に徐々に惹かれていき、最終的にはやらせてくれる夏樹の誘いを蹴って、多恵を選んだのは意外だった。俺だったら、誘惑に負けて夏樹を選んじゃうかもw
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これは、カラスの親指みたいな話だなあと思った。
ふたつの話がだんだん近づいてきてラストに向かうんだけど、もう少し絡まりが複雑なんじゃないかと期待してしまった。だから、そこはちょっと期待はずれ。
Posted by ブクログ
伊岡瞬作品にはイヤミスがたまにあるし、最悪な結末になるのではないかとヒヤヒヤしながら読んだが、終わり方は悪い感じではなかったし、ユーモアも随所にちりばめられ、いつもと違う感じ。
その代わり深みがなく分厚いわりにさほど印象に残らない作品になってしまっている気もした。
Posted by ブクログ
一平と恭一の二人の視点で展開され読み応えがありました。特にひこばえ荘の住人との関わりが面白かった。ただラストがいま一歩スッキリしませんでした。
Posted by ブクログ
浪人生の堀部一平は、親には予備校に通っていることにして、ホームセンターでアルバイトに励んでいた。
そのアルバイト先で、高齢者のアルバイターの葛城が倒れ、住まいのアパートに一平が付き添いで訪れることになる。
そのアパートには、年齢もバラバラの女性が3人、そして小学生の男の子が、葛城を含めて共同生活を送っていた。
一平は夏樹と云う魅力的な女性から「もうここに来てはダメ」と言われるのだが、好奇心と夏樹の魅力に惹かれ、再度訪れることになる。
その後、ちょっと親しくなった小学生の冬馬から、女性3人は前科者だと告げられる。
場面はガラリと変わり、大物政治家の吉井恭一は、差出人不明の写真を執拗に送りつけられ、過去の犯罪を問い詰められていた。
恭一は、少年期に性的虐待を受けた体験があることからか、人を絶望感に貶めることに快感を覚える歪んだ大人になっていた。
果たして送られてくる写真の目的は何なのか⋯
送り主は誰なのか⋯
恭一は独自に写真の送り手を探そうと探偵に調査させた結果、堀部一平が浮かび上がる。
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二つの物語が交錯して、真相にたどり着く物語。
前半、なんだかよくわからない展開でしたが、謎が謎のまま進んで、最後の最後で明らかになるパターン。
浪人生の堀部一平は、バイト先で倒れた葛城に付き添い、葛城のアパートまで送り届けます。
そのアパートでは、3人の女性と小学生の冬馬が暮らしている設定。
みな、葛城の事を大切にしている人たち。
いったいどういう関係?
そして、この人達にに巻き込まれていく物語。
何が起こるのかがさっぱりわからない。
3人の女性には過去があり、前科があることを知る。
何か知らの犯罪に自分もまきこれていくのか?
もう一つのストーリは、政治家の息子の物語。クズ男で、小さな子供や若い女性を嗜虐することに快感をもつ男。
その男のもとに、脅迫写真が...
誰が送ったものなのか?
この二つのストーリが絡んでいき、3人の女性たちがやろうとしていたことが明らかになります。
そういうことだったのね。
そしてクライマックスでは..という展開!
エンターテイメントとして楽しめました。
Posted by ブクログ
伊岡作品なので悲惨で胸糞悪い展開が待っているのではないかとヒヤヒヤしながら読みすすめたが、むしろあったかい気持ちになる人との関わりがあって。それぞれのキャラも立っていてみんなのことが好きになった。またひこばえ荘の住人たちと会いたい。
Posted by ブクログ
作風が、本当に「伊岡瞬」?と思うほど、最近の伊岡ワールドから随分と違和感を感じる、爽やか青春ストーリーという印象。
文庫版での新刊なので過去作品?
・・・だから悪いかというと、そういうわけでは無いのですが・・・
Posted by ブクログ
伊岡さんらしいイヤ〜な感じから,最後は意外なほっこりハッピーエンドでした。いつもとはちょっと違う雰囲気の作品でした。最後まで,犯罪らしい犯罪は起きずに、終わったので,肩透かしを喰らったように思いました。
いい作品だとは思いますが,好みではありませんでした。
Posted by ブクログ
普通に生きていただけなのに様々な悲劇に追い込まれた結果罪を犯すことになってしまった晴子や夏樹は、主人公の一平がいる普通の世界にいつでも復帰できるだろうと思いながら読んでいたが…。
不器用ながら子を心配し怒る親がいて戻る場所がある一平と、家族も家も全て失って戻る場所もなく転々とするしかない夏樹たちの終盤の明確な対比で、罪を犯すことの影響力を強く思い知らされる。
「あなたは選択肢をいくつか持っている。それを幸せっていうのよ」の言葉が後から後から効いてきた。
推理のエンタメ性より人間を見つめたテーマに深い“味力”。