【感想・ネタバレ】残像のレビュー

あらすじ

累計50万部突破『代償』の著者渾身。角川文庫75周年記念、文庫書き下ろし!

浪人生の堀部一平は、バイト先で倒れた葛城をに付き添い、自宅アパートを訪れた。
そこでは、晴子、夏樹、多恵という年代もバラバラな女性3人と小学生の冬馬が、共同生活を送っていた。
他人同士の生活を奇妙に感じた一平は冬馬から、女性3人ともに前科があると聞く。
一方、政治家の息子・吉井恭一は、執拗に送られてくる、過去を断罪する写真に苦悩していた。
身を寄せ合う晴子たちの目的、そして水面下で蠢く企ての行方は――。

暗い過去への復讐を描いた、心震わす衝撃のサスペンスミステリ!


「信頼、裏切り、後悔、敬愛、憎悪、憧れ、友情、希望。
そんなあれこれをぎっしり詰め込みました」
――伊岡瞬

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Posted by ブクログ

ネタバレ

大好きな伊岡作品!アパートの住人たちと、主人公の絡みが面白い!どうして主人公はアパートに行ってしまうのだ、と悶々とした笑 でもアパートが拠り所になるくらい、主人公もきつかったんだろうな。

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2024年04月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 浪人生の堀部一平が同僚の老人の部屋に行ったら、女性3人+少年で同居生活をしていた──。男からしたらハーレムで羨ましくもある環境。奇妙な関係性が徐々に明らかになっていく過程が面白かった。
 また、吉井恭一という政治家の息子パートも同時進行し、まったく関わりのなさそうに見える2つのパートが交差していくのも目が離せない。

 中盤で明かされる「恭一を脅迫するために、そっくりさんの一平は利用されていた」という、大胆な詐欺には驚かされる。以降は恭一をこらしめるいわば復讐劇に転換。
 恭一に襲われた経験がある冬馬までも利用するのはやりすぎに思えた。演技とはいえ、トラウマ相手に似ている一平に襲われる役を演じるのは相当キツかったに違いない。小学生とは思えないほどの、強靭な精神力は力強さを感じる。

 ヒール役の恭一は「嗜虐癖」という、女性や子供を脅して泣かせることに快感の覚える変態っぷりで不気味さを放つ。そんな彼の癖を知りながらも、「恭一は優しいから」と、恭一に惚れ込む女が居たのも怖い。行き過ぎた狂気は魅力に変わるのだろうか...。

 女性3人組と恭一、どちらも過去のトラウマで苦しんだ共通点がありながらも、女性組は良い方向に、恭一は悪い方向に進んだのは何故だろう。女性たちには葛城という親身になってくれる、優しい大人が居たからなのかな。もし恭一の父がまともで愛情を注いでくれる人だったら、彼の性格は曲がらなかったかもしれない。

 サイドストーリーでは一平の恋愛が展開。美人お姉さんの夏樹に釘付けで好意を寄せていた一平が、地味な多恵に徐々に惹かれていき、最終的にはやらせてくれる夏樹の誘いを蹴って、多恵を選んだのは意外だった。俺だったら、誘惑に負けて夏樹を選んじゃうかもw

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

普通に生きていただけなのに様々な悲劇に追い込まれた結果罪を犯すことになってしまった晴子や夏樹は、主人公の一平がいる普通の世界にいつでも復帰できるだろうと思いながら読んでいたが…。
不器用ながら子を心配し怒る親がいて戻る場所がある一平と、家族も家も全て失って戻る場所もなく転々とするしかない夏樹たちの終盤の明確な対比で、罪を犯すことの影響力を強く思い知らされる。
「あなたは選択肢をいくつか持っている。それを幸せっていうのよ」の言葉が後から後から効いてきた。
推理のエンタメ性より人間を見つめたテーマに深い“味力”。

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2024年03月21日

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