伊岡瞬のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大手新聞社の広告代理店「八千代アドバンス」が突然「清算」されることになった。
清算と倒産はもちろん違うが、社員にとっては会社が無くなる、ということで同じ意味にしかならない。
「再就職先は会社が責任をもって探し、皆さんの生活を守れるように支援していく」と、役員級の人たちは宣うけれど、どうせ自分たちの再就職先なんて、一般社員に情報を下ろす前に、早々に決まっていて、立場は安泰なんだろう。
そんな気持ちで身の振り方を考えていた主人公の畑井伸一は、突然いままでの制作の仕事とはまるで違う総務部長に任命される。理由は「余人をもって代えがたい人材」と見込まれたから。
昇格と言えば昇格。しかしながら乗っているのは泥舟。「つけ入りやすい性格と見透かされたから」の間違いだろう、と自嘲しながらも、やはり性格ゆえか清算に向けて連日真面目に取り組んでいた。
しかし、ある日、清算費用としてプールされていた2億円の口座の通帳と印鑑が金庫からなくなってしまった。手口からして内部の犯行としか考えられない。
誰が? 何のために?
物語の前半は清算業務にあたり、様々な立場の人が主人公・畑井の前を通り過ぎていく。しかも善人面していても腹に一物を抱えていそうな輩ばかり。
会社がなくなることが決まると、これほど人は疑心暗鬼になり、ヤバい雰囲気になるのか。容易に想像できる描写がヤケにリアルで、ちょっと感情移入し過ぎて、読んでいて気が滅入ってしまった。
もしかしてこれ、最後まで救われないパターンの小説? まさか自分が嫌いなジャンルのイヤミス系?
という感じで、中盤くらいまでのらりくらりと読んでいたけれど、中盤過ぎるとストーリー展開のスピードも早くなって、面白くなってきた。
ラストは悲しい真相だった。
この手の真相を語られると、日本は命に関わる、字義通りの致命的な問題を、何十年も放置したままなんだ、と感じた。 -
Posted by ブクログ
あとがきにあるように少年法に訴える作品ではないのはわかる。
けど、少年法に関して色々考えさせられる。
獣のような少年はこの世に必ずいてて、その少年を改心させるのが法の趣旨なら、そんな法律は間違ってる。
小説の中にあったようなとんでもない少年は存在してるし、被害に遭ったことを運が悪かっただけと終わることなんてできやしない。
皆、当事者にならないと考えないものというセリフがあるが、この言葉が正しい。
もっと社会の不条理にも目を凝らして、考えなければいけないな。
内容は、理不尽に少女を殺した少年らが殺害されていき、その背景にある闇を元教師が追っていくというもの。
犯人の出所や山岡の存在に少し違和感を感じたけど、読み応えあり、家族の大切さも再確認させてもらえた -
Posted by ブクログ
これは辛い、重い物語。
テーマは少年法。
薬丸岳を思い出させるテーマです。
小6の少女朋美が誘拐され殺害されます。
犯人は3人の少年。しかし、少年法に守られ、再び社会に戻ってきます。
4年後、その1人が転落死。
朋美の父親はの俊彦は失踪。
俊彦の復讐なのか?
そして、もう一人も不審死。
と、ありがちの展開ですが、ここからの味付けは伊岡流。
この事件の真相をジャーナリストの秋山と少女の元担任の香織が追うことになります。
なんで、元担任がここまでこだわるの?この香織の行動が変だなぁって思っていたら、なるほどそういうことですか。つらい。
そして、事件の真相は?
ということで、これまた辛い。驚きの展開でした。
さらに、最後、香織がとった行動が...
救われることを祈ります。
あとがきに書かれた筆者の言葉。
「この世界に神の慈悲などない。ただ、真っ白な闇が広がっているばかりだ。」
しかし、娘を持つ父親として、このような事件が起きたら、自分ならどうするか?
さらには、その事件当日に、自分がとっていた行動が..
後悔と犯人に対する憎悪。
とても、辛い物語でした。