あらすじ
尾木遼平、46歳、元刑事。ある事件がきっかけで職も妻も失ってしまった彼は、売りに出している家で、3人の居候と奇妙な同居生活を送っている。そんな彼のところに、家出中の少女が新たな居候として転がり込んできた。彼女は、皆を和ます陽気さと厄介ごとを併せて持ち込んでくれたのだった……。優しくも悲しき負け犬たちが起こす、ひとつの奇蹟。第25回横溝正史ミステリ大賞&テレビ東京賞、W受賞作。
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Posted by ブクログ
前読んだ伊岡瞬さんの作品が、私にはずしっと重い話だったのでしばらくお休みしてました。半年ぐらい積まれたままになってたこの作品も躊躇してたけど、もうそろそろ読もうと思って手に取りました。
主人公の尾木は罪を犯し刑務所から出てきた元刑事。警備の仕事についてはいるが、アルコールに溺れながらの生活。そんな彼の元には3人の居候がいる。石渡、ジュンペイ、恭子の3人。この3人訳あり。尾木も訳あり。そんな4人だからなのか、和気あいあいと暮らしている。まるで家族みたいに。そしてまた新たな居候が。訳ありの早希だ。早希が転がり込んできた事によって事件に巻き込まれていく。
面白かったです。デビュー作ということで、そこまでずっしり重くなくてライトな感じで読めました。私にはドタバタ劇に思え、義理人情もあり最後はジーンとくるところも。ただ、もう尾木を痛めつけないでとは言いたい。そこはちょっとな、という感じです。
尾木家にいる人たちは何かから逃げている人ばかり。それは人だったり、目を逸らしたい事実だったりと。その何から逃げているのかをそれぞれ小出しに明かしていくから、私は気になってしょうがない。みんなどういう事情があるのか知りたくて、ページをどんどん捲っていました。
あとは頭脳戦が良かったですね。尾木vsヤクザvs刑事。この三つ巴戦に勝つために尾木が痛みに耐えながらも奮闘します。不利にならないように仕掛けていくのが良かったです。
また伊岡瞬さんの別の作品読んでいきたいです。
(あまり重くない話限定で)
Posted by ブクログ
尾木 遼平(46才)は、刑事であったが、ある事件がきっかけで職場も家族も失う。そして、3人の奇妙な居候達と共同生活を送ることに。
そんな時、家出中の少女が天真爛漫な陽気と、厄介事を持ち込んで来た、、、
徐々に明らかになる居候3人の過去。
それぞれが悲しい過去を背負い、今日を精一杯生きる姿に、ウルウルします。
絵本に出て来る『虹の種』は、本当にあるのでしょうか?
悲しみで出来た虹は、きっと、いつか晴れた空の向こうで、見つけることができるのではないかと思います。
負け犬達の、明日の希望を渇望するピュアな姿に、ウルウルです。
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私には充分なハードボイルド。
この尾木というおっちゃん、人を想う気持ちの理想が高すぎる。まあいいか、くらいの感覚でいろんな人の人生をひょいと背負って行く。ただ、女性に弱い。本人は気を付けているようだが。特に元妻に対してはすごく不器用だったのかもしれない。
尾木さんに出会った人たちの虹が小さくなっていて欲しい。
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半分くらいまでは少しダラダラした感じでなかなか進まなかったけど後半は一気読みするくらい展開が早く面白かった
全ての謎解きがスッキリわかって
充実した気分になった
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ヤクザ登場。
異色の居候疑似家族の生活に新たな同居人が入ってきた。
そこが発端で事件に巻き込まれてしまいう。
異色ながらも団欒ができてきた住人達。
それが元刑事の尾木がヤクザに頼まれ新犯人を探し出すことにより、崩壊の危機が出てきた。
互いに干渉せず住んでいるだけだが、解決に向けてみんなが力を合わせるようになった。
犯人が恭子だったことはびっくりだったが、今まで散々人を傷つけてきた幹部の新藤がやられるのはスッキリした。ヤクザの人達の中でも利害が一致すればチームワークが働くことが面白い。
いつかこの同居人がみんなで住んでいなくても幸せな家庭を築けることを強く願った作品である。
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後半は結末が気になり一気に読めた。登場人物を整理するのにもう一度戻って読んだりもした。
刑事で仕事でした事なのに、辞めた後も絡まれたりするのは怖いな。
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冴えない中年警備員の尾木と同居人たちの元に家出の女性が転がり込んでから事件が起こる。自分も中年だからか尾木の心情がわかる気がする。昔だったらこう行動してたのにとかつい思ってしまう。立場は全然違うけど感情移入しやすい描写で面白かった。
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再読後再投稿
前回読んだ時には気づかなかった主人公の本懐がようやく理解できた。
主人公の元刑事が取り戻したかった家族のカタチ、色んな失敗を経て命懸けで守ろうとする姿が心に染みた。
はじめ読んだ感想として、主人公がただのお人好しの不死身と書いてしまったのが今更ながら恥ずかしい。
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作中に出てくる絵本がタイトルと繋がっているのだけど、その絵本、実際に販売して欲しいくらい美しいお話だった。
外で読んでいたのに、泣いたり笑ったりしてしまった。主人公が優しかったり人間臭かったりしてて好き。一気読み。
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遼平も恭子も早希も淳平も石渡も
不運すぎて過去が重すぎる。
虹の向こうとは、平穏な日々でしょうか?
いつか報われて幸せになってほしい。
伊岡瞬のこの淀んだ感じ好きなんよねぇー
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これがデビュー作かー
面白かった
設定も良いしもちろん初期ならではかなと思う所もなくはないけども
主人公のおじさんボコられまくってたけどタフで良かった(笑)
もっと伊岡瞬読むぞー
Posted by ブクログ
一人称で語られる酔いどれ男(大概、過去に傷を負った)が、敵対勢力にボコボコにされながら、それでも己の心に決めた信念を愚直に貫く。
ハードボイルド小説のひとつの典型ともいえるが、著者のデビュー作である本書も、それを踏襲していると言えそうか。
この主人公、自分の家で3人の居候(それぞれ深い悩みを抱えている)と同居して疑似家族的関係でいるというのがユニークで、そこに家出中の少女が転がり込んでくることにより、事件が始まる。
暴力団も絡まり、主人公も骨折するなど再三瀕死の重傷を負うが、休む間もなく直ぐさま行動を開始できることに少し違和感が拭えないが(笑)。
題名は、居候の一人が翻訳した絵本の内容からとられていて、小説のメインプロットと絡まっている。
Posted by ブクログ
読み始めて西村寿行が浮かんだ。
変わっているのは、主人公の尾木は、孤独でありながら、3人の他人と共同生活を続けていること。
5人目の早希が3日泊まった後、尾木は自宅に乱入してきた久保にボコボコにされ気を失った。
気づくと、早希は殺人容疑で拘留され、殺されたのは久保だった・・・。
ささくれ立った感があったので、前半読むのに少し時間がかかった。
尾木が脅され、真相を調べざるを得ない状況となってから、グイグイ物語に引き込まれた。
サンキュー、伊岡さん初めてやったわ、毎度ありがとう。
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元刑事が、ヤクザに脅されて探偵となり殺人事件を追うというハードボイルド。伊岡瞬氏のデビュー作。主人公・尾木遼平は元刑事だが、今は3人の居候と同居していた。そこに家出少女が転がりこんだと思ったら、殺人事件のオマケ付き。登場人物みんなに深い過去があり、徐々にそれらが明らかになる。真犯人は予想外でした。
Posted by ブクログ
うん、悪くない。
ハードボイルドな感じも良かった。
敢えて言うなら、
どうなるのかなぁと思っていたら、最後はサラッと終わってしまった。
タイトルにもある虹についての描写が弱く、虹について強く惹かれなかった。
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伊岡瞬のデビュー作らしい。デビュー作と言っても2005年なので特に時代背景に違和感はなく、かと言ってやはり読み慣れたいつもの感じでもない感じで少し読み終わるまで時間がかかったけど、話的にはなかなか面白かったかな。だだ主人公の尾木遼平怪我しすぎ。
Posted by ブクログ
タイトルの意味が後半わかる。なるほど!
ミステリとしてもだし、ハードボイルドな表現や主人公の過去との葛藤みたいなところも面白かった。向き合っていく感じ。
追い続けた犯人がわかるところはすごいあっさり(全然わからなかったけど)で、そこがどこかもどかしい。
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伊岡瞬さんにしてはそこまでのダーク感はなし。
主人公はものすごくお人好し。
そのお人好しの周りに集まる同居人3人+この物語の重要人物1人。
絆の感じられる作品かなと思う。
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帯の「優しい疑似家族。この中に殺人犯がいる」っていう言葉に惹かれて買った本。
もっとミステリー的なお話かと思ったら、かなりのハードボイルド感だった。
尾木さんが、アニメかってくらいボコボコにされる。
ラストお見舞いのお花の伏線は、なるほどねって感じ。
Posted by ブクログ
タイトルから想像もできないハードボイルド小説だった。
飲み屋の女性に誘われて家に行ったら、その女のヤバい彼氏が現れて揉み合いになった挙句死なせてしまい、服役した過去がある元刑事(主人公)。
その男の家に居候する、繋がりのなさそうな奇妙な3人の男女。
その家に転がり込んできた若い女。
その若い女を追って家にやってきたチンピラが死体として発見され、若い女は逮捕。主人公はチンピラが所属していた暴力団の組長から「本物の犯人を見つけ出さなきゃ、山に埋める」と謎の二択を迫られ、事件の解明に乗り出す…っていう物語。
虹の向こうっていうのは「死」のことで、いつか虹の向こうに行ったら、先に死んだ人(3歳で死んでしまった、主人公の息子)に会えるかな、という感じ。
冒頭、主人公が酔っ払いながらもチンピラ3人組をのしてしまうところから「これは…!ハードボイルドだ…!」と直感。酔っ払っても強い、元刑事の主人公なのです。
正直なところ、私はハードボイルドが苦手なので、こういうアンテナはよく働きます。
その後も「チンピラにやられて肋骨折れてるのに、ますますハードな立ち回りをする」「対立する暴力団組織に協力を持ちかけ、刑事時代に恩を売ってたおかげで十二分な協力を得られる」などのハードボイルド展開が続くも、事件の真相は意外な結末に…。
主人公も居候達も悲しい過去を抱えているため、その回想のために、過去と現在を行ったり来たり。
居候の女性の過去が、ハードすぎて、これはどこの北斗の拳的世紀末世界ですか…?
令和の現代なら、交通事故の被害者遺族がネットで誹謗中傷されることはあっても、その誹謗中傷した人が逮捕され刑事裁判を受けていたり、ちゃんと法律が機能していると思う。
これが2005年に刊行された本だとしても、地元有力企業の息子である事故加害者が、暴力団雇って被害者遺族に嫌がらせの限りを尽くすっていうのが…非現実的すぎてついていけなかった。
そして、主人公も、恭子以外の居候に対してちょいと不親切なラスト。家族なんじゃなかったのかい。
解説によれば、この小説はテレビ東京系でドラマ化されたそうで、「主演石田純一」。
テレ東公式でドラマのあらすじ読んだら、全然違う話でびっくりした…。
ドラマのあらすじを先に読んでたら、この本読む気はおきなかっただろうなぁ。
東野圭吾の否笑小説だっけ?あのシリーズの中にこういうのあった。小説が、せっかくドラマになるっていうのに、全然違う内容の2時間ドラマになる…ってやつ。そういえばあの話も、元はハードボイルド小説だったな。
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ハードボイルド系であり、さりとて読み進めると人間味が溢れる作品でもあり…って感じでした。
前半部分は、この作品に静かに引き込まれていきます。途中のハラハラドキドキ感がたまりません。
後半部分は、少し登場人物同志の繋がりが解りにくくなりましたが、一気の伏線回収!!!
読み終えてから、この題名が好きになりました!!!
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著者の作品は4作目かな?割とありきたりな構成に思えて、特にドキドキやハラハラを感じることはなかったが、それなりに楽しく読んだ。デビュー作みたいなので、過去に読んだ本が少しテイストが違って感じるのはその為か?
でもこの著者の作品を好きな気持ちは今も変わらない。
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伊岡瞬は『瑠璃色の雫』『代償』を読んで、これで3冊目なんだけど、デビュー作らしい今回のやつがいちばん面白かったかも。ハードボイルドミステリーなのに人情味あって重松清みあり、みたいな。
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ハードボイルドに区分されるようですが、そのわりにスピード感がない。
虹の絵本の話が出てきてからグッと引き付けられた。
犯人は誰かよりも、
主人公の気持ちを知りたくなる。
表現力は面白くて想像しやすく納得させられる。
Posted by ブクログ
横溝正史ミステリ大賞受賞作という事で読み始めました。
心優しい元刑事といろいろな理由から同居している人たちの物語、
登場人物がみな、心に傷を負っていて
どのようにまとまるかを想像しながら読み進めました。
中盤はゴタゴタしますが平和的な終わり方でした。
Posted by ブクログ
安定が過ぎる伊岡瞬。絶大な信頼に全体重をかけ手に取ったデビュー作だったが、ハードボイルドにしては柔らかい。ソフトボイルド、半熟だ。半熟卵は好物だが....壮絶な脱線の予感がするので急いでミッフィーを憑依(・×・)ーースッ
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元々は凄腕の警察官だった尾木遼平。「魔が差した」ある出来事によって失落し、酒に溺れ自暴自棄な生活を送る中年警備員となる。彼の家には3人の同居人。皆、個性光るが眼光はくすんだ訳アリの人間たちだ。
ひょんなことから4人目の同居人を招くこととなる。目を惹く美貌を持った女、高瀬早希。
その後、早希の男の転落死を発端に、それ以下が無いと思われた尾木遼平の人生は更に下層に潜り込んで行く事となる。果たして彼女は天使の皮を被った悪魔だったのだろうか。
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事前情報無しで手に取ったので、興味深い関係性だがいつまでも続く尾木と3人の同居人+早希のおかしな擬似家族模様をひたすら読み進める前半に早くも意思は削がれ気味だった。
それを留めてくれたのが私の好物「シュールな笑い」の言い回し。これが首かわ一枚で繋いでくれている状態が続く。
やっと物語が動き出し、ハードボイルドの片鱗にワクワクしてきた頃には半分以上読み進めていた。とんだスロースターターさんめ( ˶´˘`˶)σ)Д`)である。
伊岡瞬の作り出す小籠包系男子(訳︰ささくれ、厚い皮に身を包んでいるが中には情の熱さが隠れている。それが破れた皮からジュワッと吹き出してくる系メンズ)と、それが放つ数々のひねくれた比喩表現が大好きなのだが、それはデビュー作でも健在だった。むしろ無駄打ちがすぎるくらいの連撃でお腹いっぱい、幸せです。
とても面白かったのだが、主人公の原動力がイマイチわからない。それがハードボイルドと言われたら何も言えないが...。ヤクザ抗争も臨場感が感じられない。女の尻で滅ぶ組織。警察癒着はオマケ仕様。
タイトルに通ずる「童話 虹の種」は美しいものだったが彼の存在はもっと大切にして欲しかった。御役御免な扱いがこの話を後付品質に下げているようで勿体無い...。
そして何よりミステリとしてのオチが残念だ、伏線など最初から無かった。大砲一発で強行突破された気分である。
全体的なプロットはどちらかと言うとアニメ寄りなぶっ飛び方だったが、作者のロマンを感じた。
ここを経て「代償」「赤い砂」「痣」のその他素晴らしい作品達と、素敵なクセのある「漢キャラ」を数々作り出したのだなと思うと、原点であるこの作品を手に取って良かったと心から思いました。これからも追い続けますぜ!!小籠包デカ!!