伊岡瞬のレビュー一覧
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『教室に雨は降らない』
その不協和音を、希望の旋律へ。
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「一年経てば、ここを出ていく」
そんな冷めた決意を胸に、音大卒のエリート候補・森島巧が足を踏み入れたのは、小学校という名の「異界」だった。
1. 「腰掛け」の青年が、戦場で見つけたもの
音楽家の両親を持ち、自らもエリートの道を約束されていたはずの巧。
しかし彼には、音楽にすべてを捧げる勇気がなかった。逃げるように選んだ「臨時講師」という道。
チャイムと共に幕を開ける日常は、楽譜通りの平穏など微塵もない、剥き出しの戦場。
戸惑いながらも泥濘に足を踏み出す彼の姿は、どこか私たちの「不器用な日々」に重なります。 -
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ネタバレ第一章と第二章に分かれた二部構成の物語。
第一章では、圭輔のあまりにも悲惨な過去が描かれており、目を背けたくなる場面も多く、正直読むのがつらかったです。達也と道子が少しずつ生活に入り込み、居場所や財産を乗っ取っていく様子には、強い恐怖を感じました。
「その選択は間違っている」と思いながらも、当時まだ小学生だった圭輔に正しい判断ができなかったのも、無理はないと感じます。
第二部では、圭輔が弁護士として働いている姿が描かれます。あの過去から、ここまでよく生き抜いてきたなと思いました。そこには、中学時代の友人・寿人の存在が大きかったのだと思います。彼と、彼の叔父との出会いがあったからこそ、今の圭輔 -
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前読んだ伊岡瞬さんの作品が、私にはずしっと重い話だったのでしばらくお休みしてました。半年ぐらい積まれたままになってたこの作品も躊躇してたけど、もうそろそろ読もうと思って手に取りました。
主人公の尾木は罪を犯し刑務所から出てきた元刑事。警備の仕事についてはいるが、アルコールに溺れながらの生活。そんな彼の元には3人の居候がいる。石渡、ジュンペイ、恭子の3人。この3人訳あり。尾木も訳あり。そんな4人だからなのか、和気あいあいと暮らしている。まるで家族みたいに。そしてまた新たな居候が。訳ありの早希だ。早希が転がり込んできた事によって事件に巻き込まれていく。
面白かったです。デビュー作ということで -
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【慟哭の傑作】
伊岡瞬『奔流の海』:
引き裂かれた親子の運命
1.伊岡瞬さんへの信頼:
購読動機
私が伊岡瞬さんの作品を読む動機は、ひと言で言えば「伊岡瞬さんの作品だから」。
これまで、『本性』、『代償』など数々の作品を読んできました。彼の作品には凄惨な描写もありますが、私が心惹かれるのは、事件の動機・背景、そして結末から押し寄せてくる、筆舌に尽くし難い感情です。
彼はもはやミステリー作家というより、現代社会の「陰」と「光」を映し出す作家だと感じています。
彼の作品を読むことは、社会の現実と向き合うことなのです。
2.運命を分けた奔流:
物語の始まり
『奔流の海』は、静岡県を襲った巨 -
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ネタバレ文章もわかりやすく
展開もおもしろくすらすらと読めた。
警察から電話がかかってきたり、息子が捕まったり、追い詰められていく敏明の感情がスリルがあった。
妻はどんな時も敏明と武のことを心配し、敏明の言うことに従う、すごくできた方なんだなと思っていたけどやっぱり不満はたくさんあったんだなと、こんな完璧な人ばかりじゃないよなと安心した。
敏明は武の人生を、
「翳りゆくばかり」
と表現した。
しかし、最後の武の手記には
家族への思いが伝わってきて
家族の人生がこれ以上翳らないようにと願っていた。
幹人を心配し、幹人を信じてやれない敏明を心配し、そのように敏明を育てられなかったと自身を悔いた武。