伊岡瞬のレビュー一覧
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夫が突然お客さんだと言い、連れてきた男。それは、21年前に家を出ていった兄らしい。なぜそんなにも経ってから突然現れたのか?しかも、どこか気味が悪い、不審な気がする。この男は、何のために、なぜ現れたのか??
なるほど、、こう来たか、という感じ。本当に伊岡さんは、悪寒でも思ったけど人間の気持ち悪さというか、不気味な部分をそこらそこらに散りばめるのがうまい。なんだろう、なんかなんでもないことのようにかなり気持ち悪い部分を当たり前のようにスっと入れてくる感じ。そういうの大好きです。悪寒を読んですぐこれを読みましたが、個人的には悪寒よりこっちの不審者の方が悪寒がした。どちらかと言うと悪寒は、前半は割と難 -
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主人公の藤井賢一は42歳の会社員。第1部の冒頭に描かれるいくつかの場面だけで、彼が満足のいく生活を送っていないことが分かると思う。東京の本社から、系列会社の営業職として飛ばされたのだ。賢一がこの状況を耐えているのは、本社在籍時の不祥事のため。出向は単身赴任で、妻からはあまり帰ってこなくてもいいと言われ、娘の香純にすら電話もしたくないから用がある時はメールにしろ、と言われる。そんな四面楚歌の賢一に、現在の会社の部下である若い女性に優しくされ、食事にも行ってしまう。そこに、妻から混乱しているようなメールが届く。ここから、本当の物語が始まる。
第二部に入るにつれてどんどん状況が変わっていき、ころころ -
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はじめまして、の作家さんです、伊岡瞬さん。
本屋で表紙は何度も見てはいましたが、
表紙が重い!ハードボイルドですっ!って
手にとることはなかったのですが、You tubeの
読者家ノンさんのおすすめで、トライしてみました。
やっぱり読まないとわからないよね。読みやすい文体で、サックサック読めちゃいました。
内容もエンタメというか、『サトウミサキ』が
クズ男をエロティックに誘って、単に騙すんじゃなくて、しっかり交わっちゃって、さぁ大変!
相手をメロメロにしてからどーーんって、
落とすんだけど、何か次へ次へと読ませちゃう。
3章なんか、少し資産がありそうな痴呆気味の老婆に近づくサトウミサキ。し -
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ネタバレ一人ずつ何の関係もない登場人物の描写が続く。
そのうち、点と点が繋がっていく。何人かは、亡き者となるか、行方知れずになる。
犯人は、これまでの登場人物の中にいるはずだが、誰かが殺人鬼の仮面をつけているのか、それとも殺人鬼の顔を隠すための仮面をつけているのか。
仮面というタイトルの意図を想像しながら読み進める。
途中、刑事が囚われ、絶望的な状況に陥るが、そこからどう助かるか、の展開もヤキモキしながら面白く読み進められた。
誰しも、社会に適合するため、成功をおさめるために、それぞれの仮面はあるだろうけど、その下に隠されている素顔もまた、千差万別なんだと納得した。
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犯罪小説は大抵分厚くて読むのに勇気がいる。けれど良作の場合1度読み出すとページを捲る手が止まらずスラスラと読み進めてしまう。本書もこんな感じ。
途中までは誰か真の黒幕なのか、真相は何なのかとハラハラしたけれども、どうやらどす黒い闇だけが描かれる作品では無いことに終盤になって気がついた。
解説には本書がとある映画のオマージュになっているのではないかという指摘がある。確かに本書は純粋な人間の闇模様だけでは無い、人の善性をも描き出そうという姿勢が自分にも感じられた。
そしてこの本の良かった点のひとつは、あくまで詐欺を題材に、上手い具合に登場人物たちの行動の起動装置を連続させることで善と悪の繋ぎ -
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ネタバレラストについての考察だが、
浩樹は最終的に和泉夫妻を殺した(殺そうとした)ということだろうか?
まず、ラストシーンで友里が「鈴の音が聞こえた」と述べている点から考えると、
ラストシーンで友里が浩樹と出会った際に、友里は「鈴の音が聞こえた」と言っているため、浩樹の顔を見て、恐怖の対象でもあった「鈴の音」を思い起こしたということになる。つまり、その時の浩樹に、何かしらの残虐性や殺意を見出したのではないだろうか?
次に、
友里が浩樹に面談を行っている際も
浩樹は、
「雨が降ったせいで、面談する場所が、当初会う予定だった死角の多い公園ではなくなった。あなたは運がいい。」
「仮に例のイタズラで死人が -
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ネタバレ絶望の最下層にいたと思いきや、更なる絶望へと突き落とされていく物語の展開。
2転3転とする「真相」に、脳が混乱し、疲弊していく様は、主人公の絶望とストレスを少しでも共有できたのではないかと感じさせられるほど強烈だった。
【以下ネタバレ】
家族とは、最愛と憎悪の綱渡りだと、作品を通して思った。
ほんの一言で憎悪に傾き、小さな仕草で最愛に傾く。揺れに揺れながらも、細い綱の上を歩いてゆく。
そしていつか、月日が流れ、思い出が積もり、今までの「揺れ」を踏まえて、どちらかに大きく体が傾く時がくる。
1度、「憎悪」側に落ちたら、かけられた言葉が最愛でも、皮肉だと感じてしまうだろう。最愛側に落ちた別の家族