伊岡瞬のレビュー一覧
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『翳りゆく午後』の「午後」とは、人生の午後だろう。
高齢者による交通事故のニュースを見ては、またか!といつも憤慨している一人である。
しかし、家族がいくら言っても本人が頑として免許を返上しないという事情も知っている。車がないとどこにも行けないという事情も分かっている。
だが、人の命には代えられないのではないか。
運が悪かったら、最悪こういうことになるんだよ、という小説である。
元校長の父親・武(たけし)には世間から重きを置かれる地位にいた人間特有の頑固さとプライドがあり、屁理屈を振りかざすのが得意で、最初は主人公の敏明に同情していた。高齢の親に手を焼いた自分自身の体験から、感情移入もしてい -
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面白かった!正に450ページ一気読み。
面白いと言ってももちろん楽しいという意味じゃない。
第一部は、汚い言葉をあえて使うけど、「胸くそ悪くなる外道」が出てくる。
面白くてサクサク読むというより、怒りに我を忘れて止まらなかったという感じ。
こいつこのままで済むと思うなよ!!みたいな…。
反面あまりの過酷さに「読書は娯楽なのにこんな気持ちで読んでて本末転倒では?」と思ったりもした。
最後の解説でも香山二三郎氏が「第一部であまりの受難劇に心が折れそうになった読者も…」みたいな事が書かれてたけど、まさにその通り。
そして第二部。弁護士になった主人公。爽快リベンジが始まるのかと思いきや一向にその気配が -
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ネタバレ最後まで一貫して思ったのは、
優子さんは本当に心の底から恨んでたのかな?ということ。
お姉さんへの甘えだっただけじゃないのか。
子供は親にどこまで許されるか試すことがあるという。それが甘えだと。
家族から愛されないと感じる優子は、倫子を憎みながらも、受け入れてくれることに甘えていたのではないか。
一方倫子も、自分だけが血が違うことから、家族として必要とされているということを、優子をかばうことで感じていたのかも。
優子は倫子が羨ましかった。
お金や権力になびくことのない実直な旦那がいて、無条件に愛されている。
本当に血のつながった家族を作っていく様子。
すごく幸せに見えたに違いない。
そんな -
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ネタバレ男女学生のグループが日常から隔絶された環境に出向いて身を置き、そこで生命の危険を脅かすトラブルに次々見舞われていく…という、古今東西で頻々と使われてきた類型を敢えて採用する挑戦的な構え。
"弟切草"をモチーフに据えるという点も、ホラーにカテゴライズされる創作物においては典型の一つと言っても良い。
津山の事件を想起する向きもいるであろう、土着的な因習が放つ民俗臭を強く纏うエピソードを絡めるあたり、雰囲気はある。
懐かしの「13日の金曜日」を彷彿とさせるパニックホラーが展開された第一部に対し、第二部では後日譚の体裁をとり、各登場人物とのダイアローグ等の手法を交えいわゆる謎解き -
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人間の醜さと怒りを力強く描いたサスペンスミステリー、疾走感と緊張感でドキドキが止まらない! #追跡
■あらすじ
東京の住宅街で火災が発生、その家に住む老人と息子夫婦の遺体が発見される。通常の火災事故と思われたが、発見された遺体は刺されていることが判明、さらに現場から少年が失踪していたのだ。警察は捜査を開始するのだが、この事件の背後には隠された秘密があるようで…
■きっと読みたくなるレビュー
スピーディーでドキドキが止まらないドエンタメ小説、もうこの本そのまま脚本で映画にできちゃいそうですね。
伊岡瞬先生は粘り気のある警察小説のイメージが強かったのですが、本作はノンストップサスペンス。まず