あらすじ
かつて乙霧村で、戸川稔という男によって一家五人惨殺事件が引き起こされた。二十二年後、事件を題材にノンフィクション作品を書いた泉蓮が顧問を務める、大学の文学サークルのメンバー六人が乙霧村を訪ねる。事件当日を思わせる豪雨の中、彼らは斧を持った大男に襲われる。閉ざされた集落で何が起きているのか、全てを見ていたのはオトギリソウの花だけだった――。全面的に加筆修正を加えた戦慄のホラー・サスペンス完全版!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ラストについての考察だが、
浩樹は最終的に和泉夫妻を殺した(殺そうとした)ということだろうか?
まず、ラストシーンで友里が「鈴の音が聞こえた」と述べている点から考えると、
ラストシーンで友里が浩樹と出会った際に、友里は「鈴の音が聞こえた」と言っているため、浩樹の顔を見て、恐怖の対象でもあった「鈴の音」を思い起こしたということになる。つまり、その時の浩樹に、何かしらの残虐性や殺意を見出したのではないだろうか?
次に、
友里が浩樹に面談を行っている際も
浩樹は、
「雨が降ったせいで、面談する場所が、当初会う予定だった死角の多い公園ではなくなった。あなたは運がいい。」
「仮に例のイタズラで死人が出るなら、自分の人生を狂わせた泉先生のその妻であるあなたが相応しい。」
と伝えており、泉先生やその妻である2人に未だ執着していることが分かる。
ラストシーンでは浩樹、泉夫妻が乙霧村で出会う情景が描かれている。
何の目的で合っているのかは記載されていないが、浩樹と出会った際、友里はわざわざ不吉な予感がして熊よけの鈴を置いてきたのに、熊よけの鈴が「ちりん」となったのが聞こえたと述べている。
考えるに、
何らかの理由で泉夫妻は浩樹と会うことになり、乙霧村に訪れた。そこで浩樹には自分の人生を狂わせた作品を書いた泉蓮とその妻である友里を殺そうと企てたのではないなろうか?
事件関係者による聞き取りで明かされていく事実や、徐々に立ち込める不安感。
気がつけば、乙霧村で斧を持った殺人犯に追われている時とは異なる、背筋がゾワッとするような恐怖がゆっくりと私を追い詰めてくる。
深夜に読んだ自分を殴りたい気持ちです。
悪い夢見ないといいなぁ…
Posted by ブクログ
もう手に取ったら一日で読み切ってしまうとわかるくらい続きが気になってしまう作品。この村に訪れる登場人物が本当にミステリーの古屋敷で1人になっちゃう人くらいフラグをたてまくる。ジェットコースターのような大味の恐怖をまずあびて、ビクビクする。と思ったらとてつもなく静かな雰囲気になっていく。お化け屋敷とはまた違う、日常に戻っているはずなのに謎を残し続けているからかずっとまだ後ろに追いかけてくる人物がいるような感覚。最後の不穏さはもうどうしようもない。なぜまた再会というかあの場所に訪れる気持ちになったのか理解できないが最後の最後にこんな怖さを感じさせられるとは思わなかった。
Posted by ブクログ
立明(りつめい)大学の文学サークル『ヴェリテ』(フランス語で「真実」)は、ノンフィクション作家の泉蓮(いずみ れん)文学部教授が顧問を務めている。
泉は「松浦一家惨殺事件」を題材に『乙霧村の惨劇』という小説を上梓していた。
サークルメンバーの有志は、夏休みに馬籠宿方面への旅行を計画、ついでに泉蓮の小説の舞台となった「乙霧村」を見学に行くことになった。
第一部では、チャラい大学生たちがかつて凶悪事件のあった場所をミーハー気分で見に行って、立ち入り禁止の札がぶら下がる鎖を乗り越えて侵入した挙句に、過去の亡霊のような斧を持った大男に追い回されるという、なんというか自業自得の地獄絵図が展開された。
観光地、心霊スポット、どこにでも入り込んで写真を撮り、SNSにアップしていいねを稼ぎたがる輩のことは私も苦々しく思っている。
学生たちが引き起こした騒ぎは当然、大学の評判を落とし、サークルの顧問としての監督責任を問われた泉蓮の、教授としての立場もまずいことになってきた。
第二部では、学生たちの旅行に参加していた友里が、まだ何か隠されていることがあるのではないかと、関係者に聞き込みをしてまわり、それによって次々に新たな事実が明るみに出る。
物語の語り手である「友里(ゆり)」だけが、どこをひっくり返しても名字が載っておらず・・・何かあるのだろうなとは思っていました。
昔、「小説のモデルにされた」と作家を訴えた人がいましたが、何かの事件の当事者であった人たちは、それを小説などにされて広く読まれることで、何度も心に傷を負うということは確かにあると思います。
ましてや、脚色や改変が加えられていたり、事実と異なる表記があった場合には。
モデルがいることが分かっている作品でも、「これは小説、あくまでフィクションである」と心して読まなくてはいけないなと思いました。
おっと・・・ここに出てくる泉蓮は「ノンフィクション作家」という肩書きでした。
黒幕は意外な人物。
「彼」が持っていた本、『エディプスの翼』の内容が意味深であり、友里の聞き取りに対して次第に本心を露わにしていくのが恐ろしかったです。
Posted by ブクログ
22年前に惨殺事件が起きた村に、大学生がサークル活動という名目で訪れた。そこで過去と同じ惨劇が繰り返される…、みたいな事が背表紙に書かれていて、横溝正史の世界の匂いがプンプンすると思い読んでみました。
ろくでもない学生たちにうんざりしつつも、確実に迫ってくる者がいるという恐怖。横溝正史のあのおどろおどろしい感じがずっと続いていきます。でも残り1/3でアレ?アレ?アレ?となりました。そういう事件の解決もありなんだ、とそこが私の中でどんでん返し。結末も真相が分かりスッキリはするのだけど、これから何か不吉な事が起こります、という感じで話が終わったので怖い。私は絶対にアイツがやらかすと思う。
Posted by ブクログ
男女学生のグループが日常から隔絶された環境に出向いて身を置き、そこで生命の危険を脅かすトラブルに次々見舞われていく…という、古今東西で頻々と使われてきた類型を敢えて採用する挑戦的な構え。
"弟切草"をモチーフに据えるという点も、ホラーにカテゴライズされる創作物においては典型の一つと言っても良い。
津山の事件を想起する向きもいるであろう、土着的な因習が放つ民俗臭を強く纏うエピソードを絡めるあたり、雰囲気はある。
懐かしの「13日の金曜日」を彷彿とさせるパニックホラーが展開された第一部に対し、第二部では後日譚の体裁をとり、各登場人物とのダイアローグ等の手法を交えいわゆる謎解き=答え合わせが淡々と繰り広げられていく。
プロットが思った以上に趣向が凝らされていて、どちらかというと惰性で読んでいた身をぐっと引き寄せられた感があったので、ぎり星4つに昇格相成った。
ただ、年齢錯誤の仕掛けは本当に必要だったのか甚だ疑問で、「葉桜の季節に君を想うということ」の効果には遠く及ばない。
Posted by ブクログ
第一部はパニックホラー
人あらずものにも思われる大男に襲われる
第二部は後日譚
インタビュー形式で真相に徐々に近づいていく
怖かった
真相を色々と考えながら読んでいた
若干腑に落ちないところもあるけど面白かった
Posted by ブクログ
凄惨な事件が起きた村で、再び恐怖の幕が上がる。スリル満点のホラー展開にハラハラし手に汗握っていると、そこかしこの違和感に引っ掛かる。が、正体は分からず。
モヤモヤを抱えつつ読み進めていき…マジかよ、と…。予想外過ぎて言葉も無い。
どんでん返しを食らった後にもうこれ以上は何もないだろうと、最後の最後に気を抜いてしまったのがいけなかった。ラスト、まさかの戦慄が…。いやぁ面白かった。
Posted by ブクログ
前半は和風ジェイソンと言った感じのホラーパート、後半はその前半の解答パート。
ただ後半でも真実が明らかになりつつ次の謎も登場するので、どう着地するんだとわくわくしながら読んだ。
前半のホラー展開のオチ自体は物足りなさはありつつも(寧ろ肩透かし感すらあった)後半でオセロをひっくり返すようにこれまで「思い込んで」読んでいた部分をひっくり返されるさまは本当に驚かされたし、爽快感すら覚えた。
何より主人公の正体が……何か仕掛けがあるのは分かっていたが、よもやよもや。
やはり「思い込み」は危険ですね……気をつけねば。
Posted by ブクログ
初めはホラー小説かと思いきや、インタビュー形式の終盤でのどんでんが驚いた。
短いお話しでしたが、上手くまとまっていました。
悲鳴は飲み込め。あいつに見つかる。
かつて乙霧村で、戸川稔という男によって一家五人惨殺事件が引き起こされた。二十二年後、事件を題材にノンフィクション作品を書いた泉蓮が顧問を務める、大学の文学サークルのメンバー六人が乙霧村を訪ねる。事件当日を思わせる豪雨の中、彼らは斧を持った大男に襲われる。閉ざされた集落で何が起きているのか、全てを見ていたのはオトギリソウの花だけだった――。全面的に加筆修正を加えた戦慄のホラー・サスペンス完全版!
Posted by ブクログ
伊岡瞬のホラーサスペンス
22年前に一家五人惨殺事件が起きた「乙霧村」を訪ねた、大学の文学サークルメンバーに襲い掛かる出来事を中心に描いています。
う~ん・・・ちょっと思ってたのとは違う展開・・・これ、伊岡瞬の作品?
ズルい?フェアじゃない??これが落し所???
腑に落ちない感満載の読後・・ちと消化不良です(@_@)