我孫子武丸のレビュー一覧
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2020年、23冊目は、『殺戮にいたる病』以来、約7年振りの我孫子武丸。
冷えきった夫婦関係の末、妻が失踪した高校教師、辻。妻が殺害された上、汚職の嫌疑がかかった刑事、蛯原。二つの事件の背後に新興宗教団体の影が見えてくる。偶然出会った二人は共同捜査を開始する。
ミステリー仕掛けの捜査物、サスペンス。
《以下、ややネタバレ要素あり》
中盤以降のストーリーのドライブ感は抜群。クライマックスのちょっと出来過ぎ感~意外な程ベタなミステリー手法使った真相。まさかのオチ。
正直、★★★★☆評価はオマケ的。ストーリーのドライブ感。予想外のオチという点では、妥当も、クライマックス&オチの好みとしては -
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ネタバレ久々の我孫子作品だったが、やっぱり楽しめた。
主人公は小学5年生の智樹とそのクラスメイトである心澄望。
巻頭から2人が恐怖に怯えながら逃げるシーンが描かれているが、これが本作の重要なシーンでもある恐怖のリアル鬼ごっこ。
心澄望は警察官である父親から日常的に暴力を受けていて生傷が絶えない。
周りの大人達は心澄望に対する父親の虐待を疑いながらも、本人も父親も否定し、その事実を知るのは智樹だけ。
夏休みのある日、心澄望は弟の甲斐亜とあろう事か父親のパソコンを壊してしまう。
怯える心澄望はその事を智樹にはなし、父親殺害を企てて智樹と共に家に戻ると、そこで父親が弟である甲斐亜の死体を庭に埋め -
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ネタバレ本作も著者である我孫子武丸の良さ(凄さ)をしっかりと感じることが出来た。
主人公となる登場人物は教師である辻恭一と刑事の蛯原篤史。
1小説毎に教師と刑事が入れ替わりながら描かれ、2人は出会う。
互いに妻を殺された者同士、犯人探しの中でたどり着いたのは宗教団体《救いの御手》。
最終章のタイトルである弥勒(《救いの御手》の会長=一般的な呼称は教祖)が殺人の鍵を握ると思わせ続けながら、ようやくその姿を現し、弥勒が告げた言葉には驚愕の真実が。
警察内部を描いた小説でも、新興宗教を描いた小説でもあるが、読み終えた感想は立派なサスペンス小説。
読めば読むほど私は我孫子作品が大好きだ。
説明 -
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ネタバレ8の字屋敷で起こった、蜂須賀菊一郎殺しと河村美津子殺し。
最後に真相説明するのは、警視庁の速水恭三警部補の弟の慎二。
2つの事件とも、巧妙な殺人方法が取られている。河村美津子殺しの密室に関しては、ちょっと上手く行きすぎとは思うが。
菊一郎の死体が引きずられていた理由、常夜灯が交換されていた理由、左利きの話、空中に浮かんだボウガンの謎、ボウガンの意外な隠し場所等、すべてが合理的に説明されている。
8の字屋敷の特性も、犯行に上手く活かされている。
(この作品だけではなく、他の有名ミステリーもネタバレ)
この作品は、作中に挙げられているような有名ミステリーのパロディーが随所に見られる。
凶器として -
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ネタバレ速水三兄妹シリーズ第3弾。
結局シリーズ3作を3日で読破しちゃいました(笑)
前作までの愛すべきキャラ木下刑事の出番が少なかったのは個人的には淋しさを感じるも、犯人は犯行の中で2つのゲームを楽しんでいた。
2つのゲームの謎解きを進める中で、ゲーム相手であるべきCAT O'NINE TAILSの驚愕の正体がラストに判明する。
個人的には速水三兄妹シリーズの中では0の殺人が1番面白く感じた為☆4つ。
しかしながら、このメビウスが大好きな殺戮にいたる病のプロットであり、間違いなく忘れられない一冊となりました。
説明
大東京を恐怖のどん底につき落とす連続殺人が発生。犯行は金槌に -
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母親とふたり暮らしの優希の元に家庭教師に行った歩実は、彼女からパパが3年振りに会いに来てくれたと告げられる。しかし優希の父親は交通事故により亡くなっているはずだった。しかも優希は父親がバンパイアだと思っているのだった。
元々「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」という惹句で刊行されたミステリーランドの1冊として出ています。そのためページ数は少なめで判り易く書かれてはいますが、我孫子武丸の持ち味が遺憾なく発揮されています。
優希と歩実ふたりの視点が章ごとに入れ替わることや、はじめに性別の取り違えがあったので、これは叙述トリックが仕掛けられているのか? と身構えて読みましたが、そのため別に -
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面白かった。我孫子武丸らしいギミックで纏められてる良作。
サイコパスから逃げ続けるパニックホラー作品なんだけど、本当に最後がどうなるかわからないって点がとても良い。我孫子武丸なら最低なバッドエンドにしてしまうかもしれないし、ある程度救いのある物語として完結するかもしれない。だけれど目の前は本当に真っ暗でこの道の向こうに何があるかは皆目見当がつかない。
あと暴力の描写が、本当に生々しい。気の狂ってる人間が背後からやってくる恐怖が、犯人の視点を通してうまく描かれている。
あとがきを読むと、またこういう作品を描きたいとのこと。是非お願いします。