青崎有吾のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
平成のクイーンは、平成の怪物
時は19世紀末のヨーロッパ。"吸血鬼"が殺害された事件の依頼をされたのは、東洋の怪物専門の探偵一行。青崎ロジックは時代が変わっても健在。特殊な世界における掟、徐々に明らかになっていく証言・物証から導き出される唯一人の犯人。実に研ぎ澄まされた推論が展開されていきます。
奇怪ながら、コメディタッチで描かれた登場人物たちも良い。どちらかと言うと滑り気味だった「裏染天馬シリーズ」と比較して、ミステリ外でも見応えがありました。期待に胸が膨らむ次巻へ向けてのエピローグ・・・今後、最も注目していきたいシリーズの1つです。 -
文庫本版?
「水族館の殺人」は既に購入済みなのに、文庫本化による価格を下げての再販でした。アブナイアブナイ。
ちゃんと文庫本版であることを明記して欲しいし、前作「体育館の殺人」のように大幅加筆があったのかも知りたい。
そういう意味では、比較のために単行本版も残しておいて欲しかった。 -
匿名
ネタバレ 購入済みホームズを読んだことのある人は(あっ…)と察してしまうギミックや、ストーリーには関係のないちょっとした小ネタが随所に盛り込まれています
ギミックがわかってしまったとしてもそれらの使われ方が正典とは異なるので、直接事件のネタバレに繋がるほどではありません
もちろん元ネタがわからなくても十分に楽しめますし、逆にこれを読んでホームズに興味を持ってくれる人もいるかもしれない、絶妙な匙加減だと思います
常人離れした戦闘能力を持つキャラクターが増えてきたあたりから、能力バトルもののような要素が見受けられるようになってきました
新規の読者を引き込むためには仕方ないとは思うのですが、あくまでもメインは推理も -
Posted by ブクログ
とっても面白かったです!!
本レビューを書くにあたって改めて調べなおしてみたら、「直木賞候補」のほか、「本格ミステリ大賞」など数多くの賞を受賞されているのですね、納得。
舞台は、現代の高校生たち。
女子高生である射守矢真兎(いもりや まと)と鉱田ちゃんが、何のことはない「文化祭の場所取り」勝負に挑んでからの、目まぐるしく勝負に巻き込まれるようになったお話。
全5篇になっていますが、個人的にはタイトルにもなっている「地雷グリコ」がとても面白かったです!
<地雷グリコ>
読んだ人にしか分かりませんが、42.45段目の地雷の駆け引きが良かった。
またそれに続く「あっ、こりゃまた来るな。」と三発 -
Posted by ブクログ
平成の時代に起きた出来事をテーマとしたアンソロジー小説。
巻末に平成30年史が載っていて、それを見ると、短いようで本当に色々なことがあったんだな。と感慨深くなる。
収録作品としては、どれも面白かったけど、千澤のりこさんの『半分オトナ』が特に良かった。キーワードは二分の一成人式、児童虐待。
貫井徳郎さんの『他人の不幸は蜜の味』も印象的。
女子高生コンクリート詰め殺人事件、スマイリーキクチさんへの誹謗中傷。
どちらも自分の中で強烈な印象を受けた事件なので、胸が痛かった。
他人を誹謗中傷してしまう人は、間違いなくSNS辞めたほうが良い。
白井智之さんの作品は今回初めて読んだけれど、白井さん作品 -
Posted by ブクログ
青崎有吾さんの短編集。
ミステリは勿論、近未来SF、漫画作品の二次創作もの、百合系ノベルetc・・青崎さんのまえがきによると「屋根裏部屋のような」バラエティーに富んだ八話が収録されております。
各話それぞれの味があって良いのですが、特に個人的お気に入りは、
JR福知山線脱線事故を題材にした「加速してゆく」
書き下ろしの表題作「11文字の檻」
ですかね~。
「11文字の檻」は、監獄のような“更生施設”に収容されて、“11文字のパスワード”を当てなくては脱出できないというシチュエーションは、他の方も書かれていますが“水ダウ”の企画(「新元号を当てるまで脱出できない」、「清春の新曲、歌詞を全て書 -
Posted by ブクログ
作者の青崎有吾は"平成のエラリー・クイーン"と呼ばれているらしいが、ミステリ好きとしては恥ずかしながら今まで彼の名前を知らず、今回初めて作品を読んでみた。
別作品の書評で「いわゆる『本格派』は好きではない」と書いたことがある。この手の作品は謎解きのための手掛かりを厳密に提供し、推理の結果が何通りも出ないようにきちんと"説明"をしなければならない。その分、人物の性格や感情の推移、背景などの描写が少なくなり、私にとっては読み物としての面白さを損ねていると感じられてしまう。
その点、本作は予想を裏切りとても面白かった。本格派としての推理材料を提供し、「読者への -
Posted by ブクログ
本著者の作品初読みです。クイズノックのチャンネルで本書の『自由率ジャンケン』をやっているのを見て面白そうと感じ、手に取りました。
少しルールを改変した誰もが知る遊びで、頭脳バトルをしていく高校生エンタメ小説という感じ。ミステリーなんだけど、殺人とかはなく若年層にも安心しておすすめできます。
各キャラクターも魅力的で、主人公の真兎のONとOFFの感じや、対戦相手の強者感もあり、まるで少年漫画のバトルものを見ているかのよう。
ゲーム毎に章立てされていて読み切りやすいし、とはいっても各章との繋がりもあり、真兎の生い立ちや過去編が語られる中で人生感の深掘りや物語への引き込み方も上手と感じました。