西尾維新のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ暦くんにとっての正義や正しさに向き合う回。
ファイヤーシスターズに対する評価や老倉さん回などでも仄めかされていた、暦くんの正義感に彼自身が向き合う話。
正解を知るということは不正解を知ることでもあり、自分の正義の正体を掴むためには己の間違いへ向き合うことになる、そんな回。
ここのところ暦くんの失敗談ばかり続いていたので、なんだか第一作目に立ち返ったような展開があって嬉しくなった。間違いを肯定するでも否定するでもなく、ただその存在を認めるにとどめてくれたのもよかった。案外それがいちばん難しいので。間違いを正したい、理系アタマの暦くんなら尚更だと思うし。 -
Posted by ブクログ
本書は物語シリーズにおけるアララギ君の高校生活最後の一年間を大きく振り返ったものだ。その上で振り返りつつ、小さなエピソードを多数収録したのが本書である。短編集と言ったところだ。このひとつひとつのエピソードにちゃんとオチがあって、かつ物語シリーズらしさが存分に出ている。アニメも好きだがやはり原作もいい。この活字を巧みに使いこなすスタンスは、西尾さん並みのワードマスターでなければ難しいだろう。そしてまた、アララギくんの終始一貫した利他主義は、ここでもブレなかった。もっとも今さら彼にブレが生じるわけもない。殺されても曲がらない彼の信念には、やはり漢としての憧れを抱いてしまう。別に利他主義であることがいいこととは思えないし、彼もその思想を無意識にもっていたから痛い目を見ているわけだが、それでも尊敬には値する。やはり彼はすごい。
-
Posted by ブクログ
「続・終物語」について語っていく。先日ついに読み終えた。時系列としては卒業式の次の日くらいだ。高校を卒業しちょっとしたノスタルジーと喪失感に教われる最中、アララギくんは鏡の中の違和感に気づく。反射的に手を鏡に伸ばした結果、あろうことかアララギくんは鏡の世界に引きずり込まれてしまうのだった。あらすじはこんなものである。当初、このあらすじに目を通したときは内容が緩く感じてしまったのだが、結果から言えばそうでもなかった。ちゃんと出るとこは出るメリハリのついた展開は一貫していて、全然面白かった。今回の物語は割りと衝撃的な部分が多かった気がする。まず驚いたのは鏡文字である。アララギくんが鏡の世界にやって来てしばらくは、鏡の世界の住人の発言が鏡文字で書き起こされる。正直言ってめちゃくちゃ困惑した。簡単なひらがなならともかく、難解な漢字はルビが振ってあっても多分わからない。それに悪質な文字もある。例えば「ち」という文字が反転すると「さ」に近い文字が生まれて、それを見たときはよく見間違えた。マジで困らせに来ていた。こういうときは「人」とか「土」と「半」とかの線対象な文字がすごくありがたかった。次にいろんなキャラの裏面が面白かった。どんなキャラにもその要素としてキャラクター性というものがあるが、それが完全に真逆をいっていた。八九寺大明神はお姉さん属性になっているし、忍ちゃんはアセロラ姫だし、斧乃木ちゃんには表情があるし。羽川が猫で、神原が猿でとか自由度高すぎるだろ。Wordpressでもここまで自由度は高くない(どうしてここでワープロが出てきたのかは俺にも謎だ)。まあそんな感じでしっちゃかめっちゃかな世界観なのだが、デレデレな老倉さんというのは斬新で素敵だった。しかし老倉さんが苦戦する数学パズルを圧倒するだなんて、アララギくんの数学のポテンシャルは相当高いのか?最終的に鏡に写らない「20%の光」をアララギくんが無意識に助けてしまったがためにこんなことになったらしいが、そのあたりは流石アララギくんという感じである。「カンガルーじゃない、蛙なんだ」という名言(迷言?)は一生忘れないだろう(まあ三ヶ月もすれば完全に忘れるだろうが)。
-
Posted by ブクログ
本書では前作同様二話構成になっていて、おうぎライトとおうぎフライトがある。ライトの方ではアララギくんが友人の食飼ちゃんから彼氏とのいざこざについて相談を受けて、それと同時期にガハラさんから別れ話を持ちかけられる。この二つの出来事にはある共通点があって、平謝りされたという点だ。それも異常なまでの謝意で、誠意を押し付けてくる。アララギくんはそのあと老倉さんからも同じく謝り倒される。それらの件からアララギくんは怪異による事案であることを確信して、急遽帰郷する。そこで準レギュラーの日傘ちゃんや扇ちゃんと接触して、犯人探しを始める。それでまた新キャラがでてきてその人が犯人みたいな感じで終わるのだが、前作よりもテーマ性があって面白かった。被害と加害の哲学とか、謝罪の在り方とか、元来の物語シリーズの面白さがうかがえた。フライトの方では撫子がかつて自分に呪いをかけた同級生のもとにお見舞いに行く。そこで反省していない人を許すのは難しいみたいな話をして、そのあと貝木が出てきた。思わず高揚した。貝木が出てきただけでも嬉しい(*≧ω≦)。物語全体のオーラが変わるというか。それで撫子と斧乃木ちゃんと貝木が手を組んでアラウンドを倒しに行くみたいなラストで終わった。物語終幕への助走という雰囲気だ。あとは残すところ死物語だけとなった。
-
Posted by ブクログ
めちゃくちゃおもしろかった。物語シリーズモンスターシーズンの中でも、個人的には一番の出来だった。死物語は上下巻ともに本来の物語シリーズらしさが出ていて、最初から読んできた読者としては嬉しかった。しかし千石撫子のサバイバル能力というか、生存力が高すぎる。同い年とは思えない。しかし千石撫子ほど最初と最後の印象が異なる人物も珍しい。初めに登場した時のキャラクター性はもはやない。というか、千石は毎シーズンごとにキャラクターが変わっているな。神にもなればヤンデレにもなるし、最後の方はマジでカッコいい夢追い人だ。あと、専門家連中の秘密がいろいろ発覚したのは興味深かった。ネットで考察が載っていたが、それぞれが罹った呪いからどの部位を作ったかが推測できる。我煙さんは頭、影縫さんと手折さんは足、忍野は「腰を据えられない」から腰、貝木は「腹を割って話せない」から胴体。大した考察だ。というか多分、そういう風に作ってある。しかし化物語や偽物語の時点でそれを考えていたとは、素晴らしい発想力だ。つまりはあの時点でシリーズがここまで長期化することを見越していたわけだろ。2006年に初出版だったわけだから、14年ぶりの伏線回収だ。すごいな。まあさすがに忍野のころから仕組んではいないだろうが。