西尾維新のレビュー一覧
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西尾維新の記念すべき100冊目の作品。正確には講談社から刊行された作品のうち、ノベライズとトリビュート作品を除いたオリジナル作品のうち100冊目である。
主人公は探偵一家の次男・吹奏野真雲。「おじいちゃんが推理作家で、おばあちゃんが法医学者、父さんが検事で母さんが弁護士、お兄ちゃんが刑事でお姉ちゃんがニュースキャスター、弟が探偵訳者で妹はVR探偵」というように、家族全員がミステリ作品の探偵役にありがちな職業に就くなか、無職の真雲が家事を行い家庭を支えている。そんな真雲が首つり死体に遭遇したことをきっかけに、連続殺人事件を追うことになる。
西尾維新作品の魅力は、なんといっても個性的なキ -
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今回はシリーズ初の女性警部が語り部となり、それぞれ異なった視点から浮かび上がる今日子さん像が本作の見所である。羨望、好奇心、嫌悪、疑問といったそれぞれの警部のスタンスが事件と絡み合って一つの解として落ちるさまは毎度の事ながら見事である。殺害方法の異なる4つの死体を巡る事件はどれもあっさりとしており、やや物足りない感じもするが、短篇としてはバランスが良く、情報提示の順序から解決に至る手続きはどれもスムーズである。ワンアイデアを強引に繋げる語り口は相変わらず素晴らしい。ドラマ版を鑑賞後に読むと、今日子さんの所作の一つ一つが非常に可愛らしく映るせいか、ドラマ版の続編も期待してしまう。どの短篇も一話完
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突飛なタイトルであるが、モチーフや各章タイトルから想像できる通り、中身は江戸川乱歩の少年探偵団シリーズのオマージュである。オマージュ、と言ってもそこは西尾維新であるため、著者らしい独特の仕掛けが随所に施されている。メインキャラクターである5人の美少年は、どれもキャッチーで掴みやすいキャラクターをしており、やや記号的であるもののイメージしやすく、依頼人含めて6人という一場面の出演にしてはやや多い人数を、強烈なイメージ喚起で綺麗に交通整理しているのは素晴らしい技量であると思う。前半の推理パートは「星を探す」という依頼にやや退屈さを覚えたものの、中盤を境に事件のあらましはガラッと変わり、依頼人の少女
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忘却探偵シリーズ第4弾。ドラマ化の影響もあってか、語り部は久しぶりの隠館厄介である。ドラマから入ったファンにも馴染みやすく、前作キャラの再登場なのに話を知らなくても楽しめるというのは地味ながらも凄いことだと思った。今回は前回のような連作短編、もしくは中編集の体裁ではなく、一つの事件を扱った長編である。だが長編と言っても読みごこちは変わらず、むしろ導入部分の軽快なやり取りや、作者らしい言葉遊びや肩透かしなどは今作が一番魅力的なように思えた。人を巻き込んだ飛び降り自殺未遂という事件はやや小規模で面白みに欠けるものの、奇天烈な事件を奇妙な探偵が解決するという図式はやはりゾクゾクするものがあり、キャラ