村井理子のレビュー一覧
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狂信的なモルモン教徒の両親により学校に通わせてもらえなかった少女が大学に通い博士号まで取得するまでの回顧録。
自分がぬくぬくと育ってきている時にアメリカでこんな人生を送っている子供がいたなんて。
実話であるから安易な解決、分かりやすいスカッとした展開はない。どれだけ大学で正しいことを学んでも幼少期に叩き込まれた誤った知識・先入観を完全に捨てることができない描写が怖い。大学教育は著者の人生を確かに変えたけれど、変えられなかったものも存在する。
こんな家族なんてさっさと縁を切ってしまえばいいと簡単に思ってしまうのだけど、著者にはそれができない。家族を大切にするという洗脳かキリスト教文化の違い -
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ネタバレ村井さんの日記形式のエッセイというべきか、やっぱり村井さんの文章好き!翻訳家だけどエッセイ素晴らしい。あと小説も素晴らしい!巻末のメモリアル三姉妹、あまりミステリー好きじゃないんだけど、楽しくミステリー読んでる気持ちになれました。
今回のエッセイはとにかく涙、涙。最初の写真のページからハリーが亡くなるのは分かっていたのに、死にゆくハリーも、死んでしまったハリーに対する家族の気持ちも、そのあとの立ち直れない村井さんも、庭の草刈りしたらハリーのおもちゃが出て涙するなど思い出す姿も、とにかく何度も泣いてしまいました…ハリーへの愛が伝わってきて。
あとはやはり義父母の介護の話。読んでるだけで辛い…苦 -
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ネタバレ実は昔、日記みたいなブログをやっていたことがある。ほとんどアクセスのないサイトだったけれど、確か何年かやってたと思う。恋愛でジタバタしていた時期だったので、それはもう、振り返りたくもない文章を世に放流していた。ブログサービスすらない時代で、自分でMovable Typeを構築したり、その前はHTMLを書いてたくらいだ。なんならドメインも簡単なのを取ってた気がする。いろいろあって、サイトはもちろんなくなって、PCも入れ替えているうちにデータもどこかに消えてしまったはずだ。むしろありがたい。
文章を書くのが好きで、大したことがない日常のことをいろいろと書き綴っていたのに、書くことを仕事にしたら、 -
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タイトル的にはだいぶ ふざけてる感じなんですけど、 最終的に目標は ふざけてる感じ もするんですけど、一つ一つのプロセス、ヤギに に対する 掘り下げとかは意外に 科学的アプローチをたくさん使ってるので とっても興味深いんです。
そこがイグノーベル賞を取ったこの作家の力量というか 才能と言うか、、、人間て何だろうなと思います。この人、こういう感じで生活していけてるのか?
冒頭はかなり、あやしげな話ですが、普通に面白いです。
もやっとした時に読むと脳がほぐれていいと思います。 彼に出会って協力した人も、なんかわけわかんないと思ってたんだろうけど、そのちょっと引き気味の感覚っていうのも シュールで -
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書くこと、外国語翻訳に興味がある人は、すごく参考になるし、『私もやってみようかな』と思える情報に溢れている。
私も書くことが好きだけど、その分書き続けられることに憧れを抱いているので、そういうしょうさいの描写がすごく好きだった。下手でもなんでも、経験値を増やす、費やす時間を増やす…それが何よりもスキルアップに繋がるんだなぁと。
また、「『傷つけるから書くのをやめたい』という気持ちが、『誰』を傷つけることを恐れているのか、自分が傷つくことを恐れているんじゃないか」というのはなかなか的を得ていて、かつ厳しい目線だなぁと感じた。炎上しても、ネガティブコメントを見かけてもある程度受け流せる、ってのは -
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ネタバレ翻訳家に憧れて、翻訳の勉強をしたことがある。少ないながら、フリーランスとして産業翻訳を仕事として受けていたこともある。
でも私の場合は、それを「自分の仕事」として生きていくレベルには到底達することができないと結論づけた。
翻訳というのがいかに難しく、根気と熱意が必要な仕事なのかわずかでも実感をもって分かるから、著者の翻訳・言葉への向き合い方をとても素敵だと思った。
「翻訳家は、英語(外国語)ができるのは基本、
そのうえでどれだけ日本語を磨けるか、
これに尽きます」
強く共感すると共に、尊敬した。
そしてやっぱり、言葉のプロに憧れてしまう。 -
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仕事をしながら働いている女性3人の、「緊急事態宣言」前後の交換書簡…のようなもの。
文章を仕事の一部としていらっしゃいはするけど、それぞれの家庭にも重きを置かれてる感じが伝わってくる。
こどもが居たり、犬や猫がいたり、リモートワークだったりなかったりする旦那様とか。
作家の方よりなんとなく自分の境遇に近い気もして(いや旦那様おりませんけど私には)、読みやすかったし、共感もしやすかった。
ただし、仕事柄リモートワークでもなく毎日毎日逆にほんとに休みなく働いてたりもした時期もあったので、
「え、そこまで外出を悪と考えたりもすることもあるのか…」と思ったりもした。 -
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人間でいるのが嫌になって、ヤギになろうと思った。
もっとバカバカしい内容かと思いきや、「魂」「思考」「体」「内臓」「暮らし」といったテーマごとに、“どうすればヤギになれるか?”を真剣に探求していく。
別の視点や価値観から世界を見ようとする、ある意味で究極の試みだと思った。
「思考」について著者が強調するのは、人間だけが心の中でシナリオを作り、時間旅行をする生き物だということ。
「あのときこうしていれば」「明日はもっとこうすれば」‥無限の可能性と後悔に悩まされるその想像力が、人間の苦しみの元となる。
悩みの元ではあるけれど、その想像力でヤギ生活を本気で作り上げたのもまた人間らしさだと思う。
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「犬がいるから」にたまたま書店で出会い、著者のことを知りました。
著者の子ども時代から両親、お兄さん、親戚のことが綴られています。
一般的な「幸せな家族」ではなかった著者の家族。「家族」ってなんなんだろうということを考えさせられました。
外では一見ふつうの生活、ふつうの家族のように見えても、そうではない場合も往々にしてあるんですよね。
私もいわゆる「ふつうの幸せな家族」に憧れたていたのですが、そういうのはないのかなぁとも思います。
著者も最後に書かれています。
今でも「家族」についてはよく理解できないままだ。
どれだけ嫌悪感を抱いても、罵り合っても、お互いを求めてしまう存在。ひとりの方が