村井理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者の家族4人の生きざまと、家族が壊れていくまでの過程が描かれたノンフィクション。
緊張と争いの絶えない中、この家族はどんなに懸命に生きてきたのでしょうか。筆者にとって、一癖も二癖もある両親と兄との生活は、それは壮絶なものだったろうと思いますが、そこに確かに愛はあったのだろうと思います。それを感じられたから、あの最後のエピローグの言葉が出てきたのだろうと感じました。
読み終えた後、表紙の家族写真を見ていると、悲しいような、慈しみのような、哀れむような、なんと表現すれば良いのか分からない、複雑な気持ちになりました。
多くの人にぜひ読んで欲しい作品です。 -
Posted by ブクログ
次々と襲いかかる出来事との戦いの記録が、言葉通り本音150%で語られていて胸を打たれました。心臓の病気を抱えながら、膨大な仕事をこなす作者のバイタリティーに脱帽。そして、決して良好な関係では無かった義父母に対して優しい気持ちを失わない度量の大きさには驚かされます。
作者の実父母と兄に対する思いも所々に挟まれていて、心の重い荷物を奧底に押し込めつつ、前に進む作者の姿は見習いたいです。
認知症と知って群がってくるサギ業者や謎の人々についても書かれていて勉強になりました。
そして妻への感謝が足りな過ぎる作者の夫に対する怒りが沸々と沸いています。 -
Posted by ブクログ
著者の村井理子さんは、
「出版翻訳の仕事がしたいです。どうしたら翻訳家になれますか?」
という質問をされたら、
「まずは1冊選んでください。そして、その本を最初から最後まで訳してみるのはどうでしょう。」と答えるそうです。
それは「責任を持って1冊の本を訳す。それは想像以上の胆力が必要なことだから。」だそうです。出版社にも1冊を訳せるひとが、ここにいるという印象を持ってもらえるということです。
村井理子さんは、インターネット創成期からメールマガジンを始め、元祖ウェブメディアサイトを続けているうちに出版社から依頼を受け、しだいに出版翻訳家になっていったそうです。
出版翻訳家になるルート -
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2023年の1年間の日記を1冊にまとめたエッセイ(というか日記…?)でした。
とても面白くて興味深かったです。大変なこともあるのでしょうが、翻訳の依頼が来て途切れることなく出版翻訳の仕事ができているのはすごいと思います。ご自身では自信がないようなことも書かれていましたが、エッセイストとしても書籍を出版されてるくらいなので、やはり文才があるのでしょう。
ガチ恋をテーマ(?)にした原田とエイミーの話は創作なのでしょうか?エッセイの中に時折り織り込まれていて、良いアクセントになっていました。
読み終えたあとは、自分も日記でもつけてみようかな?という気になりました(でもたぶん続かないし、つけない気が -
Posted by ブクログ
2024/10/22予約 7
「子どものためにあらゆる事柄を手を抜かずやり遂げる母像」に縛られてはいけない、自分の健康を大切にするという主張が何度も出てくる。
50代になり30代の自分の肩を抱いてそう伝えたいという言葉には全くもって同意そのとおり。
自分の時間を捧げ家族を幸せにすることが自分の幸せでもある。けれどそれが自分を削る行為だと気づき、自分を大事にするようになる、これもそのとおり、頷きしか無い。元気いっぱいだった30代の私にも読ませたいが、あの頃は理解できなかったかも。
まだ若い方には、ぜひ読んでほしい。自分の健康は自分しかケアできない。
読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
「家族」というのは、昔も今も、難しい。
近しいからこそ、譲れない、許せないものがある。
でも、変に愛情も関係してくるから後悔や懺悔の気持ちも湧き上がる。
他人の家族の話は、あまり聞くことができないという意味で、赤裸々に書いてくださっているのがありがたい。
(一方でここまで書いても大丈夫か?と心配にもなるが…)
自分に重なるところ、重ならないところ、感情を揺さぶられながらよんだ。
文章が、少しあっちに行ったりこっちに行ったりするので、乱雑に感じるけれど、私は村井理子さんの書く文章を好ましく感じているようだ。
(ただ、ホラー小説の翻訳は読もうと思わない^^;)
ジェンダー的に、なぜ村井さ -
Posted by ブクログ
この父母は異常すぎる。彼らは子どもたちの可能性を潰し、未来を奪い、親のエゴに付き合わせて洗脳している。その子どもの一人である著者は結果として大学へ行き博士となったものの、両親からは祝福されず服従を求められ、未だに心に傷を負っている。著者はこれから先も強く生きてゆくはずだが、両親の元に残った兄姉達はきっと同じ躾を自分の子どもに施すのだろう。なぜならそれが正しいと信じるように洗脳されているのだから…。この輪廻から抜け出すことは容易ではない。彼らの子どもたちの未来を思うと胸が重くなる。
我々は、自分が他人から受ける影響、そして他人に与える影響力の強さについて知っておかねばならない。本書の最後の締め