村井理子のレビュー一覧

  • 全員悪人
    認知症の人の目線で描かれた小説というのは珍しいのではないかと思うが、そこは読者にも理解できる程度の論理的思考は残されている(でないとそもそも一貫した本にはならない)ので、あくまでもそういう体裁の小説である、というにとどまる。
    背景にある「認知症の人の発言に対して否定しない」等のケアの基本的な考え方が...続きを読む
  • 本を読んだら散歩に行こう
    著者が翻訳者でもあることを初めて知った。

    年代も近くそうそうと頷けることも多く、なにより本の選定が魅力的。
    挿画の犬もほのぼのさせてくれる。

    私には見つけられない本たちを紹介してくれて、ジャンルが広がった貴重なエッセイでした。

    「兄の終い」、を是非読んでみます。
  • 兄の終い
    読みやすいけど、肉親ならではの葛藤とか、兄の元妻との微妙な感覚の違いなども細やかに描写されている。特に残された子の良一くんの周りにいる先生や友達、里親さんの優しさに心打たれる。
    でも、逆に亡くなった兄自身の人間関係については全く触れられず、就職が決まっていた会社や、7年も暮らした多賀城市での関係先へ...続きを読む
  • イントゥ・ザ・プラネット―ありえないほど美しく、とてつもなく恐ろしい水中洞窟への旅―
    夏と言えば怪談だが、こちらもこちらで血が凍った。両者の共通点は、恐いもの見たさってところか。こちらにおいては語り手にもその気があるけれど…

    「その恐怖という感覚のなかから、人間であることの意味を感じとって欲しい。あなたも私と同じ、冒険家なのだから」

    水中探検家である著者の自伝。研究者の手足となっ...続きを読む
  • 本を読んだら散歩に行こう
    綺麗な色の表紙も絵も好きです。
    年齢的に共感出来る所が多かったです、戻った大好きなお正月は同じだなぁと思いました。
    コロナ禍で良かった事はお正月のんびり気ままに過ごせた事です。戻った大好きなお正月!
  • 家族
    さくら荘
    村井理子さんとご両親、そしてお兄さんが住んでいたアパート。
    朝、すぐ前の市場が動き始める音が聞こえる。
    活気もあり賑やかだったと思われる昭和40年代。
    そういう時代に、少し騒々しく多動な子供のことを理解する先生や
    大人たちがどれほどいただろうか。
    お父さんが息子に対して冷淡な態度を取り続け...続きを読む
  • 兄の終い
    長い間、連絡のなかった唯一の肉親の兄が、ある日突然亡くなった。兄は遠方で息子と二人で暮らしていた。元妻とともに、「兄の人生の終いを5日間で終わらそう」と奮闘するという著者の実話です。
    兄がそこで生きた7年間の証は、ゴミ袋にどんどん投げ込まれていく様に何とも言えない感情を抱きながらも、これは息子の人生...続きを読む
  • 家族
    これはいわゆる「機能不全家族」「毒親」「毒兄」の問題だけれど、ここまで壮絶だとは・・・。
    著者は1970年生まれで、幼少期から「ひとり」になるまでの人生を辿っていく実話です。家族って本当に厄介だと思う。逃げられるようで逃げられないずっと付き纏ってくるもの。時代は違ってもいつの時代も、その時代だからこ...続きを読む
  • 更年期障害だと思ってたら重病だった話
    こういうのもなんだが、面白い。
    村井理子さんの文章が上手いせいなのか・・・
    心臓の手術なんて想像できないほど大変そうなのに、その細かい部分をしっかり書かれて、なおかつ明るい。

    更年期だと思っていたら脳腫瘍であっという間に命を落とした親しい友人に、「更年期じゃない?」きっと言ったはずの自分を、私は今...続きを読む
  • 兄の終い
    読みたかった本。
    一気に読んでしまった。
    村井さんの本は二冊目だが、この前に読んだ「更年期障害だと思ってたら重病だった話」に比べてずいぶん読みやすかった。
    2019年10月30日に村井さんに塩釜警察からお兄さん死亡の連絡が入ってから、怒涛の数日間が語られる。
    スピードを持って語られる事と、兄の別れた...続きを読む
  • 全員悪人
    認知症の義母、鬱病の義父を翻訳家・エッセイストである著者が別居サポートするようすを、義母目線で綴った異色の作品。
    認知症という個人差の大きな病気を持つ人を主体的に描写することなどできるのだろうか、本人の尊厳を踏みにじることと紙一重なのではないか、などの心配は全くの杞憂であった!

    「私」(=義母)の...続きを読む
  • イントゥ・ザ・プラネット―ありえないほど美しく、とてつもなく恐ろしい水中洞窟への旅―
    ダイビング中のトラブルも息苦しくなるのですが、陸上でのジルの私生活も読んでいて胸が苦しくなりました。それほど昔の話ではないのに、アメリカであってもキャリアを切り開くなかで女性として苦い思いをしていたのだな。

    内容とは別に、訳注が絶妙のタイミングで適量組み込まれており、大変助かりました。フィートに細...続きを読む
  • 全員悪人
    認知症の本人目線で日常が語られる
    怒り、不安な気持ちの描写が多く、楽しい気分の描写が少なくて辛くなってくる

    自分や両親も含めた家族も、認知症になってしまう可能性があると思うと、他人事として読めなかった

    自分が認知症になってしまっても毎日機嫌良くいられるためにはどうしたらいいんだろう?
    自分の身近...続きを読む
  • 兄の終い
    家族の死という重いテーマだけど、とても軽快な文でぐんぐん引き込まれて一気に読んでしまった。
    家族だけと確執がある身内の死。
    途中泣けるシーンもあり、笑いも涙も感動も悲しみもが詰まったいい本だった。
  • 更年期障害だと思ってたら重病だった話
    リコさんの闘病記を改めて読む。
    前半が不安で満ちていて、そっから治るまでのスピード感(いや、実際には時間かかってるんだろうけど。)との違い。不安で体調が悪い間は読んでるだけなのに時間がすごーく長い気がした。
    病気に打ち勝つのはフィジカルだけじゃなくメンタルなんだよなーと思い知る。
  • イントゥ・ザ・プラネット―ありえないほど美しく、とてつもなく恐ろしい水中洞窟への旅―
    洞窟探検家、水中探検家、作家、写真家、映画製作者等々、様々な肩書を持つ著者の体験を綴ったノンフィクション。その活動はフロリダからメキシコ、果ては南極にまで及び、数々の実績を残している。その一方で、完全な男社会の中で手ひどい仕打ちも受けてきたことが明かされる。常に死と隣り合わせの冒険行は当事者にしか語...続きを読む
  • 更年期障害だと思ってたら重病だった話
    "私が一番大事にし、ケアしなければならないのは自分自身だったというのに、それを怠っていたのだ。そしてぎりぎりの状況まで自分を追いつめてしまった。なんと愚かだったのだろうと後悔した。 "

    "私は今、とても自分を大事にして、自分を中心にしてものごとを考えるようにしている。その中には、必要な検診は受ける...続きを読む
  • メイドの手帖 最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語
    予定外の妊娠で貧困に陥った作者は、向上心と知的好奇心を失わずに努力し続けて貧困から脱出。
    向上心を持ち続けられたのは愛されて育った子供時代で得られた自己肯定感が大きいのではないかと感じた。
    彼女が戦う困難の記録と、メイドして観察したワシントン州の家庭を覗き見する感覚でも読める。
    彼女が憧れてたどり着...続きを読む
  • 全員悪人
    普通に出来てたことが、出来なくなってましまう悲しさ。プライドを踏みにじられたと思い、募る他者への怒り。老いるとは、想像していたよりもずっと複雑でやるせなく、絶望的な状況だ。
    彼らの味方でいたいものです。
  • 全員悪人
    認知症になった本人の目線で、今思っていること、見ているそのままのことを正直に語っている。

    とてもリアルに表現していて、でも悲壮感がなくて思わずクスッと笑えしまう場面もある。

    「あれっ、ちょっと変⁇」と気づいてくれる家族が近くにいるということは、大事だなと思う。

    高齢になってくると突然出来なくな...続きを読む