村井理子のレビュー一覧

  • 全員悪人

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    「この物語は事実に基づいて書かれています」
    プロローグの前に記載されたこの一行が読んでいる間、頭から離れない。

    認知症になった80代の女性の視点で書かれた本作は、当事者の不安と恐怖がダイレクトに伝わって来て様々な感情が押し寄せる。

    中でも一番強く感じたのは悲しみ。

    認知症を患った本人は勿論の事、彼女を支える家族や介護士、誰一人として悪い事をしていないのに病気が「全員悪人」と思わせる。

    嫌な記憶が薄れて行くだけならどれ程良いか。
    猜疑心が高まり愛していた家族をも憎む。

    やり切れない思いになるが他人事ではない現実を感じた。

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    2023年02月17日
  • あんぱん ジャムパン クリームパン――女三人モヤモヤ日記

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    コロナ禍になってすぐ友人Hちゃんが貸してくれた一冊。人との関わりが希薄だった時期に、「貸してくれた本」という事実が誰かとつながっている感覚を持たせてくれた。

    内容もコロナ禍に考えを巡らせる3人のエッセイで、タイムリーな一冊だった。

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    2023年03月15日
  • 全員悪人

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    著者の義母の視点での“実話”だそうです。
    私の母もそろそろ認知症の影が忍び寄ってくるお年頃で、本人も気にしている様子。もしもの時のために、認知症の方とその家族の暮らしを知っておきたいと思って手に取った本です。
    実際に母が認知症になった時、この本のことを思い出せるといいな。認知症になった本人がどんなことを考えて、何が見えているのか、不安な気持ちなどに寄り添い彼女の尊厳を守れるようになりたいです。

    認知症を心配する母に「ボケたもん勝ちだよ」なんて言ってしまいましたが、そういうわけでもないんだな...本人も辛いんだね。

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    2023年02月03日
  • 家族

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    兄がどうだったか、こう思ってくれていたと考えて書いたことが愛されたくて認められたいと願い続けていた兄のにとって、救いになったと思う。お兄さんの気質が私にもあるので。
    毒親と切って捨ててしまうことも必要だけど、こういうふうに飲み込めるが自分の為にも良いようにも思う。憎んで恨み続けるのはきつい。

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    2023年01月02日
  • 村井さんちの生活

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    村井さんのことは存じ上げず、手に取りましたが、
    男の子のお母さん、という共通点から何度もぐっと来てしまう場面がありました。
    琵琶湖畔での暮らしも素敵でした。

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    2022年12月08日
  • 家族

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    『兄の終い』の方が読まれてるっぽいが、『家族』とセットになる本だと思う。しかも、『家族』の方がA面、面白いのだ。
    ここまで複雑で深刻な家族の事情を、凡庸にならず、愚痴やベタベタ感傷的にならず、いっきに読ませる文章にまとめているのがすごい。
    兄や母の異常さに目がいくが、単に誰かを「毒親」などと悪者にすれば片付く話でもなく、どこから拗れていってしまったのかわからない。自分の家族を振り返ることになる。

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    2022年11月09日
  • 家族

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    この家族のことを知ってしまった、知らない頃には戻れない、というような、
    読んだあと、心の奥に自分の知ってる風景として、この家族のストーリーが染みついたような感じがしています。幸せな温かい家族、という話ではないけれど、読まなきゃよかったとは思いません。

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    2022年10月31日
  • 全員悪人

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    認知症の人の目線で描かれた小説というのは珍しいのではないかと思うが、そこは読者にも理解できる程度の論理的思考は残されている(でないとそもそも一貫した本にはならない)ので、あくまでもそういう体裁の小説である、というにとどまる。
    背景にある「認知症の人の発言に対して否定しない」等のケアの基本的な考え方が小説を通して描かれているとも読める。

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    2022年08月20日
  • 家族

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    さくら荘
    村井理子さんとご両親、そしてお兄さんが住んでいたアパート。
    朝、すぐ前の市場が動き始める音が聞こえる。
    活気もあり賑やかだったと思われる昭和40年代。
    そういう時代に、少し騒々しく多動な子供のことを理解する先生や
    大人たちがどれほどいただろうか。
    お父さんが息子に対して冷淡な態度を取り続けた理由もP160で書かれているが
    全てが捻れてしまい、家族だからこそ簡単には解れない。
    P183
    〈生涯を通して、一度たりとも私を嫌うことなく妹として思い続けてくれた兄に対して、語り尽くせないほどの感謝の気持ちを抱いている〉
    少し居心地が悪くとも、やはり家族。

    特別サイトから
    〈いずれにせよ、私自

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    2022年05月25日
  • 家族

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    ネタバレ

    これはいわゆる「機能不全家族」「毒親」「毒兄」の問題だけれど、ここまで壮絶だとは・・・。
    著者は1970年生まれで、幼少期から「ひとり」になるまでの人生を辿っていく実話です。家族って本当に厄介だと思う。逃げられるようで逃げられないずっと付き纏ってくるもの。時代は違ってもいつの時代も、その時代だからこその問題を抱えているのだと思う。

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    2022年05月25日
  • 更年期障害だと思ってたら重病だった話

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    ネタバレ

    こういうのもなんだが、面白い。
    村井理子さんの文章が上手いせいなのか・・・
    心臓の手術なんて想像できないほど大変そうなのに、その細かい部分をしっかり書かれて、なおかつ明るい。

    更年期だと思っていたら脳腫瘍であっという間に命を落とした親しい友人に、「更年期じゃない?」きっと言ったはずの自分を、私は今でも後悔している。

    女性の4,50十代はいろいろと大変な時期だけれど、やはり何よりも自分自身を大切にすることが重要ですね~。

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    2022年04月23日
  • 全員悪人

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    認知症の義母、鬱病の義父を翻訳家・エッセイストである著者が別居サポートするようすを、義母目線で綴った異色の作品。
    認知症という個人差の大きな病気を持つ人を主体的に描写することなどできるのだろうか、本人の尊厳を踏みにじることと紙一重なのではないか、などの心配は全くの杞憂であった!

    「私」(=義母)の日常に現れる数々の「悪人たち」とそれに翻弄される「私」の怒り、戸惑い、不安、、、
    老いることの自認と事実の狭間でさまよう認知症老人の苦悩を、持ち前の雑さと極上のユーモアで痛快にさばく「あの子」(=息子の嫁、著者)のふるまいや視座からは、義両親への深い愛情と尊敬の念が感じられる。
    認知症患者に日々敬意

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    2022年04月08日
  • 全員悪人

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    認知症の本人目線で日常が語られる
    怒り、不安な気持ちの描写が多く、楽しい気分の描写が少なくて辛くなってくる

    自分や両親も含めた家族も、認知症になってしまう可能性があると思うと、他人事として読めなかった

    自分が認知症になってしまっても毎日機嫌良くいられるためにはどうしたらいいんだろう?
    自分の身近な人にも読んで欲しい本

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    2022年03月24日
  • 更年期障害だと思ってたら重病だった話

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    リコさんの闘病記を改めて読む。
    前半が不安で満ちていて、そっから治るまでのスピード感(いや、実際には時間かかってるんだろうけど。)との違い。不安で体調が悪い間は読んでるだけなのに時間がすごーく長い気がした。
    病気に打ち勝つのはフィジカルだけじゃなくメンタルなんだよなーと思い知る。

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    2022年03月19日
  • 更年期障害だと思ってたら重病だった話

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    "私が一番大事にし、ケアしなければならないのは自分自身だったというのに、それを怠っていたのだ。そしてぎりぎりの状況まで自分を追いつめてしまった。なんと愚かだったのだろうと後悔した。 "

    "私は今、とても自分を大事にして、自分を中心にしてものごとを考えるようにしている。その中には、必要な検診は受ける、その他、体の不調を放置しないというルールも含まれる。"(p.170)

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    2022年02月25日
  • 全員悪人

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    普通に出来てたことが、出来なくなってましまう悲しさ。プライドを踏みにじられたと思い、募る他者への怒り。老いるとは、想像していたよりもずっと複雑でやるせなく、絶望的な状況だ。
    彼らの味方でいたいものです。

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    2022年01月11日
  • 全員悪人

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    認知症になった本人の目線で、今思っていること、見ているそのままのことを正直に語っている。

    とてもリアルに表現していて、でも悲壮感がなくて思わずクスッと笑えしまう場面もある。

    「あれっ、ちょっと変⁇」と気づいてくれる家族が近くにいるということは、大事だなと思う。

    高齢になってくると突然出来なくなることが増えてきて、とても不安になり、恐れや苦しみに変わっていく。
    そして悲しくもなり、プライドを踏みにじられたと思い、怒る。

    老いていくということは、想像していたよりもずっと複雑で、やるせなく、絶望的な状況だと…。

    わかっていても無理難題を言い、攻撃的になる相手に普通に対応はできかねる。

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    2021年12月03日
  • 捕食者――全米を震撼させた、待ち伏せする連続殺人鬼

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    村井理子さんが恐怖に慄きながら翻訳していた、その「怖さ」が身に迫る。犯人の目的は「他人を支配し思い通りにすること」…村井さんが思わず戸締りを確認した気持ちが痛いほどわかる。冬のアラスカを舞台に始まる豊かで広大な自然、ショッピングセンターの駐車場は実にアメリカ的風景!けれどそこに機動力と見つからなきゃいいの精神と悪運を持つ犯人が待ち伏せしてるとは…それに加えて複雑な司法システム。市民はなにも知らされないままいったいどうやって自衛すればいいのか。車社会と情報化社会の行きつく先に軽く絶望しつつ、犯人が悪運尽きて捕まったことでせめてこれまでの犠牲者の無念がはらされることを祈るのみ。

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    2021年11月25日
  • ハリー、大きな幸せ

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    笑いあり涙あり、一緒に憤ったり。
    面白かったです。
    一番好きだったのは、ベッド戦争。
    病院の混み合う待合室で読んでたのだけど、ニヤニヤが止まらなくて困った。

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    2021年11月08日
  • 犬ニモマケズ

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    ハリーへの愛情が溢れている。
    先に最新作を読んだからか、より素直に愛情という感情が出ている気がする。

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    2021年10月10日