村井理子のレビュー一覧
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翻訳家である村井理子さんだが、エッセイもとても読みやすく共感できるところもある。
今作は、今まで読んできた『兄の終い』『全員悪人』『家族』『更年期障害だと思ってたら重病だった話』に通じる部分もあり、かなり人柄も知ることができた。
滋賀県が好きな様子や家族も含め、愛犬ハリーもとても大切にしていることがわかる。
だけど病気をしてから、自分を大切にすることを一番にして、生きてみたいという気持ちも伝わってきた。
自分が楽しくなければ何も始まらないと思う。
まずは自分が心地よく感じてないと家族にも優しくできないわけで…。
はやく一人になりたい!とタイトルにはあるが、それは家族が今いっしょにいるからで、強い結びつきがあるからだろう。
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Posted by ブクログ
世界を見渡せば、それこそ星の数ほどパートナー関係の人々がいる。
夫婦かもしれないし、同性同士かもしれない。
元は他人同士の二人が一緒に生活する以上、色んなトラブルが生まれるが、自分達だけが辛い、悩んでいると思っていたその問題点も、実は同じように悩んでいる人が沢山いるのだ。
しかも日本だけでなく世界中に。
人種や年齢が違っても、そこに生まれるパートナー同士の心の歪みは、どこか根本的な共通点があるようだ。
もしかしたら、自分達の悩みにも出口があって、そこに至るまでの解決策を既に見つけている人がいるのかもしれない。
カウンセリングでもなんでも良いから、先ずはパートナーや第三者と会話をしてみようかな。
きっと今のまま悩んでいるより、何か行動を起こす事がより良い明日に繋がっているのかもしれない。
なんて思わせてくれる本。
パートナーの片方だけが読むのではなく、二人で読むのが大事だと思う。
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Posted by ブクログ
肌のくすみもまぶたの厚さも身体が重いのも全て年齢のせいだと思っていた。
あぁ、更年期障害だろうな…が、実は心臓の病だった話。
突然倒れて緊急入院からの怒涛の検査が始まり、開胸手術を受けリハビリから退院まで。
著者自身が明るい性格だからか気持ちが暗くならずにスラスラと読める。
とても大変だったにも関わらず、鮮明に記憶していることも凄いと思った。
「バッチリっす!痛みを我慢する必要ないです」とやけに明るく軽い主治医のことばに思わずニヤリとなった。
今は元気かもしれないが、ちょっとでも体調に不安があるときは、無理をせずにゆっくり休み気になればすぐに病院に行くことだと改めて気づかせてくれた。
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トーマス・トウェイツは、ロンドン出身、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン及びロイヤル・カレッジ・オブ・アート卒のグラフィック・アーティスト。
トーマスが大学院の卒業制作として行った「Toaster Project」は、トースターをゼロから自作することを目標に掲げ、鉱山で手に入れた鉄鉱石と銅から鉄と銅線を作り、ジャガイモのでんぷんからプラスチックを作るなどして完成させたもので、世界中の様々なメディアで取り上げられ、その記録(日本語訳)は『ゼロからトースターを作ってみた』として2012年に出版(2015年文庫化)されている。また、完成したトースターはロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館のコレクションとなっている。
本書は、トーマスが第二弾として挑戦した「GoatMan Project」、即ち、ヤギのように四足歩行できる人工装具を使ってヤギになり、アルプス山脈を越えるプロジェクトを描いたノンフィクションである。尚、このプロジェクトは、イグノーベル賞(人々を笑わせ、かつ考えさせた研究に与えられる賞で、1991年に創設された)の生物学賞(2016年)を受賞した。
最初に、コンセプトを聞き、更に、(冒頭に書かれているように)そのきっかけの一つが、人間特有の悩みから逃れるために「人間をお休みする」ことと知ると、「何とバカげたことを」と思ってしまうのであるが、実際のプロジェクトの中で行っていくことは、ヤギの魂を知るためにアニミズムを研究し、ヤギの思考に近づくために脳の刺激実験を受け、ヤギの四足歩行を真似るためにヤギを解剖して補助器具を作り、ヤギと同じ食事をするために草から栄養を取る装置を開発するという、徹底したものである。
これらの実験や研究が何かの役に立つのか否かはわからないのだが、「役に立つこと=価値」という行動原理が限界に達し、社会に歪みすら与えつつある現代においては、役には立たないけれど面白いことをとことんやってみることに、また、その記録を笑いながら読んでいることに意味があるのかも知れない。
因みに、イグノーベル賞を継続的に受賞している常連国は日本と英国で、創始者のエイブラハムズ氏は「多くの国が奇人・変人を蔑視するなかで、日本と英国は誇りにする風潮がある」と語っているそうなのだが、それは、日本人的な発想・アプローチが、現代世界の問題を乗り越えていくためのヒントになることを示唆しているのかも知れない。(少々飛躍し過ぎだろうか。。。)
読者としても、「人間をお休みして」笑いながら読めばいい一冊なのだろう。
(2023年2月了) -
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生活や仕事をする中で、自分の気持ちとどのように折り合いをつけていくのか…というヒントが。
今日は、仕事絶対するぞ!という気持ちがとても強い時に限って邪魔が発生するのが人生。締め切りの日に限って避けることができないことに引っ張り出される。でも、過去の私が、未来の私に残しておいたわずかな時間(前倒ししておいた作業)によって、私は救われる。結局、自分を救うのは自分なのだ!書類を撮影し、Googleキープにアップロード、リマインダーを設定など、めんどくささに打ち勝ちすかさずやっておいたことが、自分を助ける。隙間時間を使った作業の前倒し。このちょこちょこした作業をやっておくことで、「過去の自分、ありがとう!」となる。
また、「お金が多くの問題を解決してくれる」ということも言っていた。最近ちょっとそれを感じたので、共感した。私の場合は、最新のドラム式洗濯機。洗剤自動投入、短時間で洗濯から乾燥までやってくれる。お金をかけることで、自分の時間を買う。初期投資は大きかったが、「これにお金をかけずして、何にお金をかける!」と思うほど、買って良かったとつくづく思う。
大病を経験し、著者が「大切な人と過ごす時間」についてはっきりと認識し、今が1番大切だとわかり、迷わず行動に移していること。
・やりたいことは迷わずやる。
・会いたい人に会う。
・伝えたいことは伝える。
・買いたいものは、あっさり買う。
・そして万が一失敗したとしても、後悔はしない。 -
Posted by ブクログ
引き続き、村井理子さんの手がけた本を読んでみた。
私の場合、前段「ゼロからトースターを作ってみた結果」の存在を知らないまま、この本だけを読んだが、おそらく前段から続けて読むとさらに面白かったとおもわれる。
さて、トースターで注目されたデザイナーというかアーティスト、兼、研究者のトーマスが、今回はヤギになるプロジェクト。
何を言ってるんだと思うが、それを本当に真摯にやってるのだから、なぜかこちらもそれについての疑問は無くなる。
各分野の専門家に丁寧に話を聞きに行き、クレイジーさに呆れられつつも、丹念にプロジェクトを練り直していく様子は尊敬に値する。
第1章の魂の話がけっこう長くて、離脱しそうになったが、2章の思考、3章の体、4章の内臓、と来て、どんどん話は短くなり、具体的になっていくので、後半は読みやすさが加速する。
そして5章で、トーマスはついにヤギと共に時間を過ごし、ヤギスタイルでアルプス超えを実行する。すごい。
というか、やっぱり足腰腕首がすごく痛そうだ。
バッタ?を食べるシーンは写真だけなのか、これは涙目にもなるでしょ。
2章の後半で登場した、人間もだんだん家畜化され、おとなしい個体が多く生き残ってきた、というエピソードが面白い。
若い、攻撃的な雄が、反社会的、反体制的みたいな理由で、死刑になることでその遺伝子が淘汰されてきた、とのこと。
そして動物にもいくつか存在が認められている、その種族で通じる、主に音声による複雑なコミュニケーション=言語についての一節が面白かった。
いわく、言語には過去を表すシステムがある。自己に起こった出来事を物語として、アイテムのようにいつも出し入れできることが言葉の強みであるというような話で、ふむふむと楽しく読むことができた。
カラーの写真が後半に多いのも注目。
グロいかもしれないがリアルさが伝わる解剖シーン、そして美しいアルプスとヤギとトーマス。
わざわざこの両者をカラーにしてある親切?設計にいろいろと恐れ入った。 -
Posted by ブクログ
1時間もしないうちに読み終えた。
あまりの短さにやや拍子抜けしたけれど、アタマの痛い現実であり、恐ろしい話だと思った。
もともとプライドの高い人や、努力家は、高齢者になるとそのギャップが受け入れられなくなりそう。
さらにこの女性は、既に90歳に近い夫に対しても、浮気していると常に疑っている。そういう感情もにじむのかと、改めて怖くなった。
当初、作中に出る呼称、あなた、が誰を指すのかなかなか分からず。
作者の村井さん≒あなた、なんだと理解してからは読みやすくなった。
先週亡くなった私の祖父は、96歳で認知症らしいものはなく、聡明なままだった。
社会の動きにも敏感で、周囲の人間の様子にも興味を持っていたが、体や気力の衰えは大きかった。それを本人が自覚できる分、別の苦しみがあったかもしれない。しかし昨今では、稀有なケースなのは間違いない。
認知症とその周囲について、誰しも無縁ではいられないだろう。近親者の中に見るべき近未来、自分の中の来るべき未来、と思うと、この本はとても他人事ではなかった。