あらすじ
――はじまりは、極寒のアラスカの地。
コーヒースタンドでアルバイトをしていた高校生サマンサ・コーニグが姿を消したのは二〇一二年二月二日のことだった。警察は最初、彼女が家出したものと考えた。だが、防犯ビデオの映像には、背の高い男が彼女を店内から誘拐する姿がはっきりと映っていた……。
――彼は獲物をおびき寄せ、むさぼり喰う。
全米各地に隠された謎の“殺人キット”、犯された数々の誘拐・強盗・暴行殺人、そして独房に残された12個の頭蓋骨の絵。2012年に逮捕され、唐突に獄中死した今世紀最大のシリアルキラーの実態を明らかにする、戦慄のノンフィクション!
「ページをめくる手が止まらない、圧倒的ミステリー」(「ニューヨーク・ポスト」紙)
「FBIを困惑させた、現代の怪物」(「ワシントン・タイムズ」紙)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
海外ものの犯罪系ノンフィクション(特に亜紀書房)を好んで読むのだけれど、これは傑作。冒頭から終章までぐいぐい引き込まれる。まさに事実は小説よりも奇なり。筆者の取材力にも脱帽。
Posted by ブクログ
極寒のアラスカの地。コーヒースタンドでアルバイトをしていた高校生サマンサ・コーニグが姿を消したのは二〇一二年二月二日のことだった。BFと喧嘩した事を知り、警察は最初、彼女が家出したものと考えた。だが、防犯ビデオの映像には、背の高い男が彼女を店内から誘拐する姿がはっきりと映っていた。
連続殺人犯イスラエル・キーズと捜査陣との攻防を描く。といっても、攻防と言える内容ではない。捜査陣が容疑者に翻弄されてばかりいる。まず、事件現場となったコーヒースタンドだが、翌日は何事もなかったかのように使用されている。犯罪につながる遺留品やDNAがあったとしても、きれいさっぱり洗い流されている。もともと、捜査に当たる側が事件性を考慮に入れなかったためである。
初手から失敗しているが、何とか容疑者らしき人間を確保した。しかし捜査陣の縄張り争いで、あまり上手くない尋問者が対応し、かえって自分たちが何も掴んでいないことを明かしてしまう。
犯人が自身の賢さに絶対の自信があり、犯行を誇る性格だったからよかったようなものの、そうでなければ何も明らかにならない。誇示するタイプは気味が悪い。対象を見つけるまで粘り強く、手術で意を小さくする。食べるわけではないのに、そのような事をするあたりが動物世界における捕食者と重なる。
彼は別人格の存在を示唆したため、矯正施設に入れられた。独房内で獄中死したため、疑わしい犯行は他にもあるものの、全ての犯行を明らかにできていない。
Posted by ブクログ
村井理子さんが恐怖に慄きながら翻訳していた、その「怖さ」が身に迫る。犯人の目的は「他人を支配し思い通りにすること」…村井さんが思わず戸締りを確認した気持ちが痛いほどわかる。冬のアラスカを舞台に始まる豊かで広大な自然、ショッピングセンターの駐車場は実にアメリカ的風景!けれどそこに機動力と見つからなきゃいいの精神と悪運を持つ犯人が待ち伏せしてるとは…それに加えて複雑な司法システム。市民はなにも知らされないままいったいどうやって自衛すればいいのか。車社会と情報化社会の行きつく先に軽く絶望しつつ、犯人が悪運尽きて捕まったことでせめてこれまでの犠牲者の無念がはらされることを祈るのみ。