村井理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ世の中には2種類の人間がいる、みたいなことを言うつもりはないのだけれども、あぁ、自分とは違う種類の人だなぁ、とつくづく感じた本だった。
そりゃ、ハリウッドのプロデューサーなんだから、そりゃそうだという気はするけれども、自分がメジャーかつメインストリームであることを疑わないタイプというか。
ここでいう「メジャー」は、本当に多数派かどうかよりも、世の中で多数派とされているかってことだよね、とつい皮肉ってしまうのは、多分自分がそこに乗り切れなかったコンプレックスからくる卑屈さだと思う。
ご本人もいろいろあって、その苦労や大変さは分かるのだけれども、生来の明るさもあるんだろう、なんとなく「自分が生きて・見てきた世界が正しく」て、「話しかければ受け入れて」もらえて、「輪の中心で生きていける」という、いわゆる“陽”な感じが、まぶしすぎる。
今回は、彼自身のミドルエイジクライシスを乗り切る物語とされているし、実際、これまで持っていたものを手放して、イギリスに移っていろいろやってるんだから、その行動力は尊敬するけれども、陽の人は、ミドルエイジクライシスの乗り越え方も陽なんだ……という、知らなくていいことを知った気分。
イギリスの、自分のルーツがあったお城を再生するにあたって、色々な困難にぶち当たって、その都度「思いもよらない!」「こんな大変!」となるのだけれど、大変さはさておき、まぁそういうぶつかり方をしたらそれはそうでは、とか、むしろなんでうまくいくと思った?とか、もうちょっと調査や根回しをした方がよいのではとか、そんなことが多くてなかなかなかなか……。
肝心の“セルフリノベ”も、もっと自分で手を動かす過程が書かれているのかと思ったら、そこはそれほどでもなく、あくまで職人さんの周りで掃除したり、ちょっと手伝ったりという範囲で、正直ちょっと物足りない。
なんなら補助金が下りてから、業者を使う手配をするとか、その後のお城の活用法を企画するとか、そっちのが活き活きしてるよね。
本業だしね……とは思うけれども、そこから脱却するための城再生プロジェクトだったのでは、みたいな、なんかこう、感想が堂々巡り。 -
Posted by ブクログ
「兄の終い」「村井さんちの生活」に続き、村井理子さん3冊目。
エッセイ集で読みやすいけれど、「はやく一人になりたい!」というタイトルにはちょっとだけ裏切られた感…
一人になりたいという思いは、子ども達の独立とか離婚などを想像したけれど、村井さんは全くそうは思っていない。
村井さんが一人になりたいのは翻訳という仕事が楽しくて集中したいから。
家族や犬の世話を済ませて、「はやく一人になりたい」そして仕事に没頭したいということなのだ。在宅ワークだからこその願いだ。
庭に作業場を作ったり、中古住宅を購入することも夢みながら、リビングの片隅で仕事しているという。
自分の仕事が楽しくて仕方がないという村井さんの翻訳本がますます読みたくなる。
そんな村井さんも双子の息子達が幼い頃の子育ては想像を絶する過酷な毎日だったようだ。
「母親になって後悔してる」というタイトルの本を読んだ彼女は、「もし子どもを生まない人生だったら…」と考えることすら許されない社会への違和感と母業への過度な期待に懸念を示している。
それでも、彼女自身は母親になって後悔はしていないようだ。
子育てをしたからこその様々な出会いが人生を豊かにしてくれたと感じているに違いない。
私自身も母親になったことで出来なかったことへの後悔はあまりなく、むしろ三人を育てたからこそ知ることができたことや出会うことができた人々への感謝ばかりだ。
村井さんが母親だからこそ書けたエッセイは、人々を共感させひとときの癒しとなっている。
子育て経験は翻訳にも活かされているだろう。
「はやく一人になりたい」といいながらも、家族との時間を一番大切にする姿には共感ばかりだ。
私自身も母親という経験を様々な場所で活かしながら、自分や家族を大切にしつつ楽しんで仕事しようと思う。
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Posted by ブクログ
ハリウッドのプロデューサーとして
セレブ寄りの生活をしていた著者。
母方の祖父の苗字を名前としてもらったが
その名は実は英国の由緒ある貴族を
ルーツに持つものだった。
ネットサーフィンでエゴサに近いことをして
その事実を見つけるのが現代っ子だなぁ。
ちょうど父親を亡くして気落ちしている
家族の心を癒すためにも
遠く離れた英国のお城をリノベするぞ!
と、息込んだのは良かったけど
日本の古民家再生でも大変なのに
あちらさんはデカい「お城」ですから。
常駐して少しずつ補修してくれるボブや
歴史を紐解いてくれる郷土史家のジェフ
そして古いものを守りたい地域の人々の
愛やらチャリティ資金やらやらで
なんとか計画は進んでいきます。
アメリカ人の目から見た英国の要素もあり
それも含めておもしろい本でした。 -
Posted by ブクログ
ワイン片手に家系図サイトをながめていた著者は、自分の祖先がイギリスのお屋敷(お城)に住んでいた事を知る。ポップウッドという珍しい名前だった事で、たどり着いたお屋敷だ。
以降、今では崩れかけたお屋敷を文化財としてよみがえらせようと、東奔西走する事になる。
イギリスとアメリカ、同じ英語という言語を使う国ではあるけれど、大英帝国の歴史とハリウッドのプロデューサーという立場は、まったく違う常識と価値観のようだ。ある意味、同じ言語でであることが余計に違いを感じさせるのかもしれない。
歴史あるものを大事に後世に伝えていこうと協力を惜しまない英国人。ようやく軌道に乗りかけた時に、コロナによる世界的なパンデミック。それを乗り越え、ポップウッド・ホールのリノベーションは続いているようだ。
楽しんで読んだ -
Posted by ブクログ
話のテンポがあってよかったが、読後感がよくない作品だった。作品が悪いという意味ではない。
どこの身内にも1人や2人、「困ったなぁ」と思う人はいる。その「困ったなぁ」の種類はいろいろで、病気だったり、経済的なことだったりする。読みだすと他人事ではないと感じる人が多いと思う。
作品中に兄が発達障害だったことをにおわせる記述がある。発達障害や鬱の人の周囲には、必ずといっていいほどその人のことを「優しい人」、「真面目で誠実な人」、「一生懸命な人」、「本当にいい人」と言う人がいる。しかし、この言葉で傷つく人がいることはあまり知られていない。私は昔はその言葉を真に受けていたが、最近は「普通の人なんだけど、どうしてこうなるのか」と言っていると受け取るようにしている。
筆者は優しいと言われる兄と比べられ悶々として生きてきた。本書では、筆者は最後に兄を許し認める心境になって終わっているが、兄が一命をとりとめた場合でも同じ心境になっただろうか。私は筆者が兄を許し認めたというよりは、兄が亡くなり兄から開放されたことから出た言葉だと思う。