【感想・ネタバレ】家族のレビュー

あらすじ

何度も手痛く裏切られたけれど、それでも愛していた。


舞台は昭和40年代、港町にある、小さな古いアパート。
幸せに暮らせるはずの四人家族だったが、父は長男を、そして母を遠ざけるようになる。

一体何が起きたのか。
家族は、どうして壊れてしまったのか。

ただ独り残された「私」による、秘められらた過去への旅が始まる。
謎を解き明かし、失われた家族をもう一度取り戻すために。


『兄の終い』『全員悪人』の著者が綴る、胸を打つ実話。

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Posted by ブクログ

あまりにも切なくて二日間で2回読んでしまった。
私の家族とは時代も構成も関係性も違う上に皆存命だけど、離れた家族を思うときの切なさって似てると思った。
登場する家族の一人一人の人物像イマイチ掴めなかったという感想をどこかで見たけど、フィクションでもない限りひとりの人間の人物像(しかも三人分)を数百頁で語るのは無理があるだろうと思う。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

普通の家族って何だろう、と考える。家族との関係に思い悩んだり、自分の中の暗い部分にぶち当たり生い立ちに思いを馳せる時、育った家庭がおかしかったのではと思ったことのある人は多いだろう。でも、そもそも普通の家族ってどういうことなのか。多かれ少なかれ「家庭の事情」は色々ある。同じ家庭で過ごし体験と記憶を共有する人数も違う。「他人」と共感できるのは、色んな家があるというその事実そのもの。家族にまつわるこの想いは自分だけのものだ。ひとりの女性による他人様の家族の記憶、締めくくりの率直なエピローグを通して、そう思う。

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2025年03月03日

Posted by ブクログ

著者の家族4人の生きざまと、家族が壊れていくまでの過程が描かれたノンフィクション。

緊張と争いの絶えない中、この家族はどんなに懸命に生きてきたのでしょうか。筆者にとって、一癖も二癖もある両親と兄との生活は、それは壮絶なものだったろうと思いますが、そこに確かに愛はあったのだろうと思います。それを感じられたから、あの最後のエピローグの言葉が出てきたのだろうと感じました。

読み終えた後、表紙の家族写真を見ていると、悲しいような、慈しみのような、哀れむような、なんと表現すれば良いのか分からない、複雑な気持ちになりました。

多くの人にぜひ読んで欲しい作品です。

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

著者が、家族の犠牲者では無く、他の3人が自分を生き延びさせてくれたのだと考えているとの記述に、そんなふうに考えられることがすばらしいと思った。とても私にはできない。家族のことで悩み続けているが私はまだ解決できない。そもそも亡くなった人には話ができない、わからないまま、というのは共感できた。
豊かな生活と、大変な生活が交互に訪れる人生をご本人は淡々と描いている。
どんな家族も外からはわからない。でも今、幸せな家族を持ち暮らせているならよかったと思う。

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2024年12月02日

Posted by ブクログ

感情の振り幅の大きな人が集まると、家庭は安心できるどころか、こんなにも危うい場所になってしまうのかと思う。
母や兄の唐突で不可解な行動が非難されがちだが、二人に対する父や著者自身の拒絶にもベクトルは真逆だがかなり極端なものを感じてしまい、その意味で書き手や登場人物への感情移入は難しいのに、どういうわけか、一気に読み終わったあと、涙が溢れてしまった。

「毒親の一言で母を、そして父を片付けようとは思わない」

最後に登場するいま現在の著者自身の穏やかで平凡な家族の姿と、それを目指しても離れるばかりでどうにも辿り着けず苦しみ通した四人。でもそれがかけがえのない家族のあり方だったのだと、年月を経て噛みしめるような言葉に胸を打たれたのかもしれない。

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2023年09月10日

Posted by ブクログ

プロローグ 古ぼけたアパートで始まる 

「川沿いの砂砂利を少しだけ港に向かって歩いた場所に、さくら荘はあった。」

まるで自分の目の前で
起きているかのように
「家族」が壊れていく。
胸が締めつけられて辛い、
しかしズーンとした重たさはなく
読み続けられてしまう。

著者はこの本を書くことで
「家族」を心の中に
取り戻せたのかもしれないと
エピローグを読んで思った。

「琵琶湖のそばの田舎町に
私は二人の息子と夫、
そして愛犬とともに暮らしている。
(中略)
育った家とは
正反対の穏やかな空気に
満ちたこの家で、常に心の片隅に
両親と兄の存在を感じながら、
私は暮らしている」

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2023年06月01日

Posted by ブクログ

読みながら何回も泣いた。。
家族だから、のだからの部分に苦しめられる瞬間がたくさんある
読み終わってからも自分の家族がバラバラになる日とか、ちょっとずつすれ違っていく日を考えて更に苦しくなって泣いてしまった

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2023年03月08日

Posted by ブクログ

著者と同じ年代を過ごしてきたこと以外に全然自分の家族と共通するところがないのに、何故か懐かしく切なく苦しくて愛おしかった。

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2023年01月02日

Posted by ブクログ

とてつもなく余韻が残る本。この本を読むと自分の家族について考えざるを得ない。家族と円満であろうが、問題があろうが、どんな状況にあるにせよ読んでよかったなと思う。当たり前のことだが、様々な形の家族があるのだなとわかる。恐らく、理想的な家族なんてない。あるのはそれぞれの家族の幸せや苦悩や葛藤なのだと思う。そういう意味である家族を取り上げたノンフィクション作品なのだろうと思う。

それにしても、当事者である著者が淡々とその当時の感情や現在の想いを決して感傷的になりすぎずに吐露していく筆致にも驚いた。著者の家族を俯瞰的にとらえ、一気に読者を引き込んでいく、その文章にも魅了される。

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2022年10月01日

Posted by ブクログ

村井さんが家族を書くときの空気感が好き
色々な想いが混ざりあって読みながら苦しさを感じるのに希望は決して無くならない、だけどやっぱり
常に不安に見張られたようなシンとした心地よさ

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2022年05月10日

Posted by ブクログ

『兄の終い』を読んでる最中から、著者の書く家族の話を読みたいと思ったので、web連載で執筆中と知った時は嬉しかったしタイトルが『家族』と聞いて期待値はそれなりに高かったのだけれど、いやはや…
予想をはるかに上回って凄いものを読ませていただきました。細かいエピソードはまったく違うのに、自分の家族も似た様な衝突や感情のすれ違い、大笑いした時の顔、忘れられない別れや出会いが有ったことが次々に思い出され、最後までページを捲る手が止まらない。
現実では双子の息子さんが高校生になる2022年春…名犬ハリー号との穏やかで平凡な日々はまだまだ続く!

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2022年04月09日

Posted by ブクログ

自分の家族のことを本当にわかっているんだと思った。

村井家は、みんなが全力で、それぞれがとても逞しくて、それぞれ愛情深くて、優しすぎるほど優しいのだろう。
そして、少し不器用だからか、上手く誤魔化すことができないのか、すれ違いぶつかり合うこともあったのだろう。
それこそ、本当の温かな家族なのではないだろうかと思った。

家族のことを人に聞かれて、自分はきちんと答えられるだろうか⁇
多分、無理だと思う。
理解できていないかもしれない。

いろいろなかたちの家族があるが、自分のことを冷静にはみられない。
今だに理想の家族ってあるのか、と考えてしまう。

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2022年03月08日

Posted by ブクログ

作者が血を流し方ながら書いたと言う通り辛い話だった。誰が悪い訳でもないし、どうすれば良かったかも分からない。生きる事は本当に難しく、普通の暮らしは実は貴重で得難い物で、普通にみえてもその奥には闇が隠れているのだ。

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2022年02月25日

Posted by ブクログ

「犬がいるから」にたまたま書店で出会い、著者のことを知りました。
著者の子ども時代から両親、お兄さん、親戚のことが綴られています。
一般的な「幸せな家族」ではなかった著者の家族。「家族」ってなんなんだろうということを考えさせられました。

外では一見ふつうの生活、ふつうの家族のように見えても、そうではない場合も往々にしてあるんですよね。
私もいわゆる「ふつうの幸せな家族」に憧れたていたのですが、そういうのはないのかなぁとも思います。
著者も最後に書かれています。

今でも「家族」についてはよく理解できないままだ。

どれだけ嫌悪感を抱いても、罵り合っても、お互いを求めてしまう存在。ひとりの方がどんなに楽だろうと思っても、いざひとりになると、寂しさに耐えられなくなる。

複雑です。もっとシンプルなら、容易に幸せになるのになぁと、思いました。

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2025年06月17日

Posted by ブクログ

穏やかな今があって良かった。
それを強く感じる。

本当に読みやすい。
内容は重いけどすっと読み終えました。

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2025年03月26日

Posted by ブクログ

言葉が出ない。
感想が書けない。
でも、
なんで村井さんの言葉は伝わるのか。
それが感じてくる本だった。


人の感情を読むことが苦手なお兄さん
自分の気持を言葉にすることが苦手なお兄さん

その分理子さんは、お兄さんの思いを、お兄さんが言ってほしいだろう言葉を探し選んで代わりに言ってあげていた。(時もあった。)

そして、お兄さんの表情を見て、あっていたのかを確かめる。いつもちゃんと見てるから、なんだかんだ見てるから、寂しそうになったら、今は寂しくなったんだなってタイムリーに気づく。

たぶん、本当はお母さんとかお父さんがすべきことなんだろうけど、それを理子さんはやっていたのかな。

ひたすら観察と想像とそんな自分を俯瞰し続け、
これだけの内容を淡々とまとめ上げる村井さんの筆致がすごい。

「兄の終い」を読んだことがある人は、ぜひこの「家族」も読んでほしい。
なんで良一くんの亀と魚にあんなに真摯になれたのか、それもわかると思う。

エピローグの余韻が残る本だった。

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2024年09月22日

Posted by ブクログ

家族って、どうにもならない。
親は選べないし、どうしても性格が合わない親子、兄弟もいるだろう。
なのに家族だから、全てが嫌いなわけじゃなく、でも迷惑はかけないで欲しくて、どうしようもない家族の後始末を全て終えた作者の重い気持ちがしんどかった。
完璧な人間はいない。ただ自分の後始末の目処は立てないといけないし、なんとかなるだろうは結局何とかする人が我慢して背負ってるだけ、、

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2024年07月09日

Posted by ブクログ

かつて確かにこの世に存在していたとある家族の鎮魂歌。村井理子さん、トーマス・トウェイツの翻訳では読んでいたが、ご本人の文章では初めてだ。面白かった。

人からは平凡といわれる人生でも、当事者にとってはそれぞれがドラマチックでかけがえのない人生なのだ。その事実に改めてはっとする。だから、理想的な家族であることも実はそんなに大事ではなくて、傷つけあいながら、背を向け合いながらでも、それぞれの形で共に同じ時空間を生きた事実の方がむしろ大事なんじゃないか。原家族という共同体を、そのままの形で肯定することで自分自身をも肯定しようとする作品のように感じた。カサヴェテス『ラブ・ストリーム』を思い出す内容だった。

個人的に兄タカのめんどくさくも憎めない感じとその末路がどうにもこうにも刺さった。これだけでも読んだ甲斐があった。

ところで、表紙の家族写真にひとつツッコミ入れてもいいですか。「いや、普通にそっくりじゃねーか(笑)」。鏡ないんかい。

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2023年07月25日

Posted by ブクログ

家族という集合体はなんて厄介なんだろう。

昭和のノスタルジー香る表紙のモノクロ写真。
この微笑ましい写真からは想像も付かない村井さん一家の凄絶な家族の歴史が綴られている。

父親と発達障害の様な特性を持つ兄との相容れない関係性が辛い。
我が子との約束より異性を優先し、本音が全く見えず曖昧な言動を繰り返す母親も嫌だ。

夫婦は他人でも子供にとって両親は絶対の信頼を寄せる対象。
兄妹はどんなにか苦しかった事だろう。

細くて浅いひび割れから大きく亀裂が入り壊れていく家族があまりにも切なかった。

四人其々の孤独が胸に迫って来る読後。

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2023年02月18日

Posted by ブクログ

兄がどうだったか、こう思ってくれていたと考えて書いたことが愛されたくて認められたいと願い続けていた兄のにとって、救いになったと思う。お兄さんの気質が私にもあるので。
毒親と切って捨ててしまうことも必要だけど、こういうふうに飲み込めるが自分の為にも良いようにも思う。憎んで恨み続けるのはきつい。

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2023年01月02日

Posted by ブクログ

『兄の終い』の方が読まれてるっぽいが、『家族』とセットになる本だと思う。しかも、『家族』の方がA面、面白いのだ。
ここまで複雑で深刻な家族の事情を、凡庸にならず、愚痴やベタベタ感傷的にならず、いっきに読ませる文章にまとめているのがすごい。
兄や母の異常さに目がいくが、単に誰かを「毒親」などと悪者にすれば片付く話でもなく、どこから拗れていってしまったのかわからない。自分の家族を振り返ることになる。

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2022年11月09日

Posted by ブクログ

この家族のことを知ってしまった、知らない頃には戻れない、というような、
読んだあと、心の奥に自分の知ってる風景として、この家族のストーリーが染みついたような感じがしています。幸せな温かい家族、という話ではないけれど、読まなきゃよかったとは思いません。

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2022年10月31日

Posted by ブクログ

さくら荘
村井理子さんとご両親、そしてお兄さんが住んでいたアパート。
朝、すぐ前の市場が動き始める音が聞こえる。
活気もあり賑やかだったと思われる昭和40年代。
そういう時代に、少し騒々しく多動な子供のことを理解する先生や
大人たちがどれほどいただろうか。
お父さんが息子に対して冷淡な態度を取り続けた理由もP160で書かれているが
全てが捻れてしまい、家族だからこそ簡単には解れない。
P183
〈生涯を通して、一度たりとも私を嫌うことなく妹として思い続けてくれた兄に対して、語り尽くせないほどの感謝の気持ちを抱いている〉
少し居心地が悪くとも、やはり家族。

特別サイトから
〈いずれにせよ、私自身は、狭くて古いアパートで一緒に暮らしていた彼らに対する最大の感謝を込めて書いたつもりだ〉

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2022年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これはいわゆる「機能不全家族」「毒親」「毒兄」の問題だけれど、ここまで壮絶だとは・・・。
著者は1970年生まれで、幼少期から「ひとり」になるまでの人生を辿っていく実話です。家族って本当に厄介だと思う。逃げられるようで逃げられないずっと付き纏ってくるもの。時代は違ってもいつの時代も、その時代だからこその問題を抱えているのだと思う。

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2022年05月25日

Posted by ブクログ

ややこしい父や母、兄。
その三人が今は他界して、穏やかな自分の家族を手に入れているエンディングに「あの"四人"は今、私の心の中で静かに暮らしている」の意味は…?

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

お、重たい…。『実母と義母』も壮絶だったが、こちらはもっと壮絶だ。でも振り返ればそこに愛はあったんだな…家族って不思議だし、会わない家族はそれなりに事情があるということを胸に刻んでおこう。

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2024年04月02日

Posted by ブクログ

自分と同世代なので自分や周りの友達、親戚などと重ねてしまうけれど、家族の形はそれぞれ全く違う。

親ガチャという言葉もよく使われる中、自分の生活がうまくいかないことを、親や家族のせいだと思っている人に読んでほしいと思います。

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2023年08月16日

Posted by ブクログ

家族であってもお互いに傷つけあったり、それでも愛おしかったり。ひとつの家族のストーリーがこんなにも濃くて切なくて懐かしい感じがする。

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2023年03月01日

Posted by ブクログ

実話なのだがこれだけの壮絶な話をあからさまに本にした事、凄いと思った。本当に包み隠さず書いたのだと思う。兄の終い、、もこの本の前に読んでいたが色々と繋がった。

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2022年05月06日

Posted by ブクログ

「兄の終い」を読んだので、気になって読んでみました。
途中読むのが少し辛く感じるほどだったので、筆者自身が書くのは相当痛みを伴うものだったろうなと感じました。

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2022年02月25日

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