【感想・ネタバレ】未解決殺人クラブ~市民探偵たちの執念と正義の実録集のレビュー

あらすじ

アメリカには下記のような、「市民探偵」が多くいる。
・40年逃げ続けた「黄金州の殺人鬼」を追い詰めた作家
・娘を殺したギャングをSNSの偽アカウントで騙して捕らえた母親
・身元不明遺体の頭蓋骨から似顔絵を描き、何百枚もの写真から見つけた会計士
・仕事から帰宅し、家事を終えると夜な夜なコンピュータの前に座り捜査をする手芸店店員
・猫をいじめる動画をネットに上げた犯人を、その動画の背景から割り出そうとするアナリスト

実際に起きたいくつもの事件とそれを解決した市民探偵たちへの取材から
あまり知られることのない彼らの正義と執念を描いた一冊。
連続殺人鬼に遭遇した人の証言など、手に汗握るスリリングな面も。

Netflix『猫いじめに断固NO!:虐待動画の犯人を追え』『なぜ殺したの?』、映画『ザ・スレッド』など映像化された事件も掲載。

<目次>
1 なぜ彼女を殺したの?
2 世界初のサイバー探偵
3 私の初めての「事件解決」
4 Web探偵
5 マザー・ロード
6 捉えられた黄金州の殺人鬼
7 フォーエバー・ヤング
8 すべては殺人からはじまった
9 『猫いじめに断固NO!:虐待動画の犯人を追え』
10 ルカ・マグノッタの仮面を剝ぐ
11 バイオインフォマティクス(生物情報学)のロード氏はまさに神
12 探偵がしくじるとき

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

面白かった。最後の章で「過熱した市民探偵」への警鐘が鳴らされる。しかしそれ以外は訓話的でなく、ジェーン・ドゥに対して名前を見つけるような、もっとヒューマニティある市民探偵の、狂気と執念について書かれているので安心して欲しい。

0
2024年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

硬い信念と情熱的すぎる趣味の延長で突き進む、市民探偵たちの物語。
人生を賭けてまで取り組む人もいて、「未解決事件」の放つ求心力の強さを感じる。そして解決に繋がるケースの多さに驚き。
現地では有名なのだろうけれど、知らなかった強烈事件ばかり。
最後にネット探偵や集団圧力の怖さにも触れ、持ち上げてばかりではなく光と影の面も伝えている。
久々に手に取った海外ノンフィクションで、もっと他にも読みたいと感じた。

0
2024年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「アンナチュラル」というドラマを夢中になって見ていた。ドラマの主演の石原さとみが「何で焼いちゃうかなぁ」と不平を漏らすシーンを覚えている。火葬だとDNAが残らないからだ。

未解決事件に興味を持つ人は多くいると思う。しかしその解決に心血を注いで活動している人は、日本では少ないのではないだろうか。
民探偵、と書かれているが、日本ではまず無理だろうな、と感じる。自らの安全は自らが構築しなければならない、ということを骨の髄まで染みわたっているアメリカ人だからこそ出来るように思える。もちろん法制度が違う、というのはあるけれど。

この本はパソコンやスマホで調べながら読むのがおすすめだと思う。私もパソコンで事件名を検索バーに何度も入れながら読んでいた。

市民探偵と呼ぶには凄すぎる人々がたくさんいる。
DOEにもアクセスしてみて、その後、日本の行旅死亡人サイトも見てみた。DOEは、英語表記なので詳しくは分からなかったけれど、画像が沢山あるのが驚きである。日本は行旅死亡人サイトに写真はほぼない。ケースによっては復顔されているものもあるのかもしれないけれど。

テッド・バンディから逃れることが出来た女性が市民探偵になるなんて、運命を感じる。

黄金州の殺人鬼の逮捕に関しては本当に驚いた。一人でここまでの犯罪を起こせるものなのか、と。しかも気づかれずに。

ルカマグノッタ事件は全く知らなかった。仔猫を殺す動画を沢山の人が躍起になって犯人を捕まえようとする。それはそれで狂気を感じるけれど(私が別に大の猫好きではないからかもしれないけれど)、殺人に移行するのも恐怖を感じる。自己顕示欲がこじれるとこうなってしまうのだろうか。

最後の章、探偵がしくじるときを読んで、思い出したことがある。
以前、ある県で学生がイジメによる自殺をした。そのイジメをした側の学生たちの個人情報がネットに流れ、住所を特定されていた。そしてその学生と同じ名字の会社が業務妨害と言えるくらいの電話がかかってきたということがニュースになったのだ。その会社は学生と何も関係がなかった、という。
鬼女板という名称で呼ばれる掲示板サイトがあり、そのサイトの中で、写真から場所を特定したり、実際に現地に行ったりする人がいる、と知っていたが、そのイジメ自殺騒動をパソコンで見ていて、ちょっとした高揚感があったものだ。
間違えられた人、は一生トラウマになりかねない。

書籍の始めに捧げられたジャーナリストが何故行方不明なのか、知りたい。

0
2024年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ネットで見かけて。

あらら、また読んだことのある本が登場するとは。
しかもいきなり「まえがき」とは、「木曜殺人クラブ」は有名なのか。

警官でもなく私立探偵でもない一般市民が、
インターネットでの検索や情報交換、情報収集、画像分析を通じて、
身元不明の遺体の身元を探し当てたり、殺人犯の居場所を突き止めたりする。
それぞれの理由で、困難な調査の沼にはまっていくが、
最初の方に紹介されていたトッドが印象的だった。

トッド・マシューズは高校で出会った女の子から、
彼女の父親が遺体を発見した話を聞く。
遺体は19年たっても身元が分からず、テントに包まれていたため「テント・ガール」
と呼ばれていた。
彼は、話をしてくれた女の子と9か月後に結婚するが、
新婚の時からテント・ガールの身元調査に明け暮れ、
昼間は調査をして、夜工場で働く生活が続く。
収入は少なく、調査にかかる費用の負担は重くとなれば、
いかに知り合ったきっかけとはいえ、奥さんとけんかになるでしょ。
11年の調査の結果、とうとう身元をつきとめられて良かった。

娘を殺され、犯人のギャングを突き止めるべくSNSで偽サイトを作った母親の話や、
猫殺しの犯人を追ったが、捕まえられないうちに犯人が人を殺してしまう話とか、
思っていたより重い話もあったが、全体的に面白かった。

ただ、一番印象に残ったのは訳者のあとがきだった。
先日、子供が寝る時に横溝正史的な本を読み聞かせる親はいないだろと突っ込んだが、
子供を寝かしつけるために公園で首つり死体を発見した話をする母親が実在した。
その「どんぐり公園」にすべてを持っていかれた気がする。

0
2024年05月17日

Posted by ブクログ

ネットの発展で誰もが私立探偵になれるようになった時代。それは警察も匙を投げた未解決事件を解決に導く事もある。
政府捜査機関以上に勤勉に仕事をする私立探偵の姿には目頭が熱くなるものの、それだけではなくネットの発展から来る探偵たちの暴走にも警鐘が鳴らされている。これは面白い。

0
2024年03月21日

Posted by ブクログ

集合知によって未解決事件を追う素人探偵たちは、時に警察官の捜査能力を上回り、未解決事件に一筋の光をあてる。
一方、文責を負わない素人探偵たちが暴走した時、事件に無関係の人が犯人にされたり、警察の捜査に大いなる支障をきたすという、負の側面もある。
インターネット、そしてSNSの登場により、誰でも容易に探偵になることができる恐ろしさを教えてくれる一冊である。

0
2024年01月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

殺人事件の調査となるとちょっと腰が引ける感じはするのだけれど、特定の情報にたどり着くためにひたすらコツコツ調べる(身元不明遺体の似顔絵をもとに、該当時期の高校卒業アルバムを地道に調べるみたいな)作業に没頭する感じは理解できる。
しかもこの場合、未解決の事件を解決するという、社会的意義までついてくる。

こういうノンフィクションはあまり興味がないのに、これを手に取ったのは、村井理子さんが翻訳していたから。エッセイで何度も触れられていて、人の興味を引くのがすごくうまいよなぁと思いつつ、読んだけれども、村井さんが訳したものすべてが手に取るところまでいったわけではないので、自分のなかにもやっぱりこういう領域に興味を掻き立てられるなにかがあったんだろうと思う。

それにしても、日本ではこういう市民探偵みたいな話、聞かないなぁと思うのだけれど、興味のレーダーに引っかからないだけなんだろうか。それとも凶悪犯罪の検挙率の高さとかが関係しているのだろうか。
あったら参加したいかと言われると、悩んでやめそうな気はするけれど。

ここで取り上げられている方は、なにかしらの実績をあげているので、「趣味だよね」とはもう言えないくらいの時間を割いているし、プロフェッショナルだったりもして、見知らぬ被害者に、そこまで想いを持って取り組めるのは尊敬と同時に、ちょっと怖くもなる。

最後の章では、“市民探偵”の暴走とも言えるような件も取り上げられているように、この時代、誰かの個人情報を追いかけるという怖さとセットなようにも思える。

凄惨な事件も多く、そもそもこんな怖い事件が世の中で起きていいのかと、背筋が寒くもなる。
事実として読む価値は大きいけれど、事件の詳細な描写もなかにはあるので、苦手な方はご注意を。

0
2025年04月03日

Posted by ブクログ

欧米のケースばっかりなので、元ネタが分からなくって全然楽しめなかったが、基本情報知ってたら面白いんだろうなとは思う。

0
2024年09月02日

Posted by ブクログ

アメリカには40年逃げ続けた「黄金州の殺人鬼」を追い詰めた作家など「市民探偵」と呼ばれる人たちがいる。
実際に起きたいくつもの事件とそれを解決した市民探偵たちへの取材からあまり知られることのない彼らの正義と執念を描いた一冊。
連続殺人鬼に遭遇した人の証言などもあって、なかなか面白かった。個人情報保護が行き過ぎてる感のある日本では、こういうことは難しいだろうなぁ。

0
2024年08月11日

Posted by ブクログ

推理小説の世界では当たり前の“素人探偵”だが、それを地で行く驚異の人々を取材したノンフィクション。
もちろん、なんの権利も背景もない人達なので、武器となるのはインターネットだ。驚くべきはその執念で、発生から40年以上も経った連続殺人犯を突き止めた例もある。犯人だけでなく被害者の身元の特定に貢献したケースも取り上げられていて、遺族の心情に思いを馳せた。しかしSNSによる犯人特定の暴走で、無関係の人が被害を被る場合もあり、日本でも問題になった。
興味深く読んだが、写真が掲載されていればなおよかった。

0
2024年07月20日

「ノンフィクション」ランキング