村井理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とても面白かった。読む前は人間社会の中で生きるのを中断してヤギのような生活をした記録を書いただけの本かと思っていた。読む前の自分のヤギに対する解像度は4足歩行をしている反芻動物くらいだったけれど、ヤギの外部骨格を作る過程をたどることで、たとえば背骨は真っ直ぐだということや鎖骨がないことを知った。ヤギの解剖した骨をヒトのように組み立てているところは、発想が面白いし、ヒトの骨格と非常に比べやすくなった。ヒトもヤギも他の動物もやはり自分の生活に特化した形質を持っているから、能力を比較して優劣をつけるものではないなと改めて思った。筆者がヤギになるまでさまざまな困難があったけれど、ヤギになりたいという熱
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Posted by ブクログ
とてつもなく余韻が残る本。この本を読むと自分の家族について考えざるを得ない。家族と円満であろうが、問題があろうが、どんな状況にあるにせよ読んでよかったなと思う。当たり前のことだが、様々な形の家族があるのだなとわかる。恐らく、理想的な家族なんてない。あるのはそれぞれの家族の幸せや苦悩や葛藤なのだと思う。そういう意味である家族を取り上げたノンフィクション作品なのだろうと思う。
それにしても、当事者である著者が淡々とその当時の感情や現在の想いを決して感傷的になりすぎずに吐露していく筆致にも驚いた。著者の家族を俯瞰的にとらえ、一気に読者を引き込んでいく、その文章にも魅了される。 -
Posted by ブクログ
自分の家族のことを本当にわかっているんだと思った。
村井家は、みんなが全力で、それぞれがとても逞しくて、それぞれ愛情深くて、優しすぎるほど優しいのだろう。
そして、少し不器用だからか、上手く誤魔化すことができないのか、すれ違いぶつかり合うこともあったのだろう。
それこそ、本当の温かな家族なのではないだろうかと思った。
家族のことを人に聞かれて、自分はきちんと答えられるだろうか⁇
多分、無理だと思う。
理解できていないかもしれない。
いろいろなかたちの家族があるが、自分のことを冷静にはみられない。
今だに理想の家族ってあるのか、と考えてしまう。