まず、すごかった。教育の力が、というよりもなによりも、誤った信念という暴力。そして誤った信念から生じる物理的な暴力。すさまじい。
ノンフィクションであり、筆者であるタラ・ウェストーバーの自伝。
サバイバリストであり狂信的なモルモン教徒である両親とその7人の子供を中心に、子供の1人であるタラがいかに
...続きを読むこの狂信の渦から脱するのか、その過程でキーとなる教育とそれが彼女に与える影響を著者自ら回顧しながら生々しく、本当に生々しく描かれていく。
特に彼女の兄の、彼女への物理的な虐待の描写は辛い。
読みながら何度も、一刻も早く逃げて欲しいと祈る。
そして、それでもなお、家族と家族でありたいと望む彼女に無力感を感じる。
彼女は学才に恵まれ、外側の世界から手を差し伸べてくれたということも幸いだったのだろう。もしそうでなかったらと思うと、心寒い思いがする。
教育を受けることというのは、ただ知識を詰め込むことではない。ただ新しいことを知るだけではない。
幅広い選択肢があることを知り、そのなかから適切に選ぶ能力を養うことなのだと改めて感じさせられた。暴力や支配で選ばされるのではなく。
いや、ほんと、すごかった。おなかいっぱい。