タラウェストーバーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私自身も家族の問題(相手は母親)を抱えています。
本書を読みながら、「この気持ち知ってる」と思うことが何度もありました。
また、父親が精神疾患を患っていると気がついた場面は、私も同じような体験をしたことがあるため、久しぶりにその時の記憶が蘇りました。
本書の冒頭に「タイラーへ」とあり、最初は、タイラーが誰なのか、なぜそう書いてあるのか分かりせんでしたが、本書を読み進めていくうちに理解し、胸がしめつけられる思いでした。
あれだけの経験をした著者はいまも苦しんでるいると思いますが、日々に少しでも穏やかな瞬間が訪れることを願わずにはいられません。
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Posted by ブクログ
この父母は異常すぎる。彼らは子どもたちの可能性を潰し、未来を奪い、親のエゴに付き合わせて洗脳している。その子どもの一人である著者は結果として大学へ行き博士となったものの、両親からは祝福されず服従を求められ、未だに心に傷を負っている。著者はこれから先も強く生きてゆくはずだが、両親の元に残った兄姉達はきっと同じ躾を自分の子どもに施すのだろう。なぜならそれが正しいと信じるように洗脳されているのだから…。この輪廻から抜け出すことは容易ではない。彼らの子どもたちの未来を思うと胸が重くなる。
我々は、自分が他人から受ける影響、そして他人に与える影響力の強さについて知っておかねばならない。本書の最後の締め -
Posted by ブクログ
文庫本で600ページに及ぶが、ある家族の7人きょうだいの末っ子の女性に、これがドキュメンタリーかと思わせるような事件が次々に起こり、目が離せないうちに短時間で読み終わった。原理主義的モルモン教徒の父親の下で社会から孤立して暮らしている家族の物語は、最近日本で話題になっている旧統一教会の親との関係で悩んでいる宗教二世を思い出させた。終末論や陰謀論を信じて疑わない父親による支配と兄弟による暴力、そして夫に支配され子供を守らない母親から逃げ出すようにして飛び出した著者は奨学金を得てケンブリッジ大学からハーバード大学まで進んで博士号を取得した。そこでハッピーエンドと思いがちだが、親子や兄弟の関係は変わ
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Posted by ブクログ
こんな現実があり得るなんて途中まで信じられなかった。作り話しを読んでいるのかと思った。でも、そんな残酷な現実から抜け出そうとあがき、もがいて自分の道を切り拓いた彼女がいるのは事実なのだから、これが作り話しだと言うには失礼すぎるだろう。
酷い仕打ちを受けてなお、ケンブリッジで博士号を取得してなお、彼女が家族への愛を捨てていない事実にも心が震えた。教育を選ぶか、家族を選ぶか迷い、教育を選んだことで家族を失う現実に直面し、大きな悲しみに心神喪失する彼女の愛情深さ。両親や兄弟と分かち合い、穏やかで平穏な暮らしをどれほど望んでいたのだろう。今もきっと望んでいるはずだ。
この本に書かれていることを、私 -
Posted by ブクログ
まず、すごかった。教育の力が、というよりもなによりも、誤った信念という暴力。そして誤った信念から生じる物理的な暴力。すさまじい。
ノンフィクションであり、筆者であるタラ・ウェストーバーの自伝。
サバイバリストであり狂信的なモルモン教徒である両親とその7人の子供を中心に、子供の1人であるタラがいかにこの狂信の渦から脱するのか、その過程でキーとなる教育とそれが彼女に与える影響を著者自ら回顧しながら生々しく、本当に生々しく描かれていく。
特に彼女の兄の、彼女への物理的な虐待の描写は辛い。
読みながら何度も、一刻も早く逃げて欲しいと祈る。
そして、それでもなお、家族と家族でありたいと望む彼女に無力 -
Posted by ブクログ
狂信的なモルモン教徒の両親により学校に通わせてもらえなかった少女が大学に通い博士号まで取得するまでの回顧録。
自分がぬくぬくと育ってきている時にアメリカでこんな人生を送っている子供がいたなんて。
実話であるから安易な解決、分かりやすいスカッとした展開はない。どれだけ大学で正しいことを学んでも幼少期に叩き込まれた誤った知識・先入観を完全に捨てることができない描写が怖い。大学教育は著者の人生を確かに変えたけれど、変えられなかったものも存在する。
こんな家族なんてさっさと縁を切ってしまえばいいと簡単に思ってしまうのだけど、著者にはそれができない。家族を大切にするという洗脳かキリスト教文化の違い -
Posted by ブクログ
にわかに実話とは信じられなかった。
ついこないだの話。なんなら年下、
それもあの世界のアメリカで生まれて⁉︎
出生届も出されることなく幼少期を山奥で過ごし、両親からは周囲とはかなり逸脱した生活、思想を埋め込まれる。当然学校にも病院にも行ったことがない。
父親の危険な仕事を手伝いながら、死がよぎる程暴力をふるう兄、それを見てみぬふりをする母。これが自然と思って育った彼女は、やがてひとつひとつ氷を溶かすように、怯えながらも家族以外の世界を受け入れていく。
度々起こる暴力的なシーンは読むのも辛かったけど、知りたい学びたい、自分でありたい、人の強い気持ちは、それすら黙らせることのできるほどの力もある