あらすじ
一刻もはやく、兄を持ち運べるサイズにしてしまおう。
憎かった兄が死んだ。
残された元妻、息子、私(いもうと)
――怒り、泣き、ちょっと笑った5日間。
「わたくし、宮城県警塩釜警察署刑事第一課の山下と申します。実は、お兄様のご遺体が本日午後、多賀城市内にて発見されました」――寝るしたくをしていた「私」のところにかかってきた1本の電話。それは、唯一の肉親であり、もう何年も会っていなかった兄の訃報だった。第一発見者は、兄と二人きりで暮らしていた小学生の息子・良一君。いまは児童相談所に保護されているという。いつかこんな日が来る予感はあった。金銭的にも精神的にも、迷惑ばかりかける人だった。二度目の離婚をし、体を壊し、仕事を失い、困窮した兄は、底から這いがることなく、一人で死んだのだ。急なことに呆然としている私に刑事は言った。「ご遺体を引き取りに塩釜署にお越しいただきたいのです」
兄は確かに優しいところもある人だった。
わかり合えなくても、嫌いきることはできない。
どこにでもいる、そんな肉親の人生を終う意味を問う。
遺体を引き取り、火葬し、ゴミ屋敷と化している兄のアパートを整理し、引き払う。そして、何より、良一君の今後のことがある。兄の人生を終うため、私(いもうと)、元妻(加奈子ちゃん)、そして息子(良一君)の5日間の修羅場が幕を開ける。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
こんな最後を迎えることができたらと、息子のお別れ会の時に感じた。
たくさんの人に手を振られて去っていく姿と、孤独で亡くなっていた兄。
兄が大切に愛情を持って育てた息子は、こんなにも愛されているよ。と伝えたい。
許せないことって、家族ならなおさらある。
もういいんじゃない。って自分に言えるまで許せなくてもいい。でも、大好きだった。
家族だから。それも、忘れないでね兄よ。
Posted by ブクログ
小説みたいな実話なので入り込んで一気読み
子は鎹とは言うが、こう言う形のカスガイもあるのだなぁと沁み沁み思った
理子さん、義姉さんが居てくれて本当に良かったですね、と心底思いました
おつかれさまでした
Posted by ブクログ
今、私が抱えている問題そのもので、何年か後の自分のことのように感じました。
家族だからと言って受け入れられないことがある。いや、家族だからこそ、受け流せない。
でも、折り合いをつけていかなくては。自分のためにも。
Posted by ブクログ
おもしろくてあっという間に読みました。
兄が亡くなって、後片付けをする妹…。
私も叔父が亡くなったあとの後片付けを手伝ったことがあるので、他人ごととは思えませんでした。
土地勘のないところでお葬式と賃貸物件の退去は本当に大変です。
限られた時間でいかに出費を少なくするか…この著者は金銭的な不満を書いておられませんでしたが、私なら、このお兄さんのためにはお金を出したくない、と思ってしまいます。
でもね…ちゃんとしてしまうんですよね…。
Posted by ブクログ
映画「兄を持ち運べるサイズに」の原作だと知り、読んでみた。フィクションの小説だと思っていたが、主人公の名前が著者と同じであること、現在の生活環境も同じようであることから、どうやら実話のエッセイのようなものかと気づかされた。
遠く離れた宮城の街から届いた兄の死の知らせと、未成年の息子を除けば唯一の肉親(妹)であることから兄の死後の"終い"をすることとなった主人公・"私"(村井理子さん)。"私"の叔母や、兄の前妻・"加奈子ちゃん"、前妻との娘・"満里奈ちゃん"と共に兄の死後の手続きや、アパートの後片付け、死ぬ直前まで兄と一緒に暮らしていた息子・"良一君"(前妻との子)の身の上の手続きに関して奔走する様は本当に大変そう。そして、良一君がいくら加奈子ちゃんの実の息子だとしても、親権者が亡くなった以上、親権者の血縁者の立ち会いがないと自由に会えないし、引き取りにも時間がかかると知って驚いた。子どもを守るためには必要だろうけど、父の遺体を見てショックを受けているなか、母が来てくれているのに数週間施設や里親の元で過ごさなければいけないのは大変だなぁ。(今回のは施設も里親さんも本当に良い人だから救いだが)
本を読んでいる限り、亡くなった"兄"はどうしようもない人間に見えるし、その兄を優先し続けて父の遺した喫茶店を水商売に替えた主人公の母も"私"をないがしろにしたどうしようもない親に思える。ネットの言い方を借りれば"長男教の毒親"だろうか。
それでも、"私"は兄に対して「どこから見てもダメな人だったけど、こんなに突然死ぬほど悪いことでもしただろうか?」(p.64)と想いを馳せる。そして、ゴミ集積所で兄の遺品が詰め込まれたゴミ袋を次々と投げ入れながら、兄に対する怒りやそれまでの確執も一緒に捨てていく。"私"、村井理子さんは気持ちに折り合いをつけながら、兄の最期を送る優しい方なんだろうななと思った。
"私"が、兄の前妻・加奈子ちゃんや、兄の娘・満里奈ちゃん、息子・良一君と共に兄を送った5日間の記録。
読んでいるこちらも一緒に葬送の旅をしているようで面白かった。ついでに、多賀城の街に行ってみたいなと感じた。
Posted by ブクログ
著者との間に確執のあった実兄が急逝し、数日間でゴミ屋敷のような部屋の片付け、各種手続きをしなければならないというシリアスな内容ながら、気持ち的にはそんなに重くならず、でも物語のような内容に引き込まれてあっという間に一気読み。
(この本に書かれている中だけで)全体的に見るととんでもないお兄さんだと思うが、目頭が熱くなる場面も何度かあった。家族写真が飾られていたところは切ない気持ちになった。
今回、実写映画化されるとのこと。気になる。
Posted by ブクログ
オダギリジョーにつられて読みはじめたけど、全体の構成も章の合間のイラストもスッキリ&シンプルに描かれていて、身内の死後の後始末というヘビーな内容に関わらず、サクサクサクサク、テンポよく、滞りなく一気に読めてしまいました。
初めて読ませてもらう作家さんだったのに、こんなに相性がいいなんて驚きでした。
文章の簡潔さや表現の平易さ、読みのリズムや漢字とひらがなの表記バランスの良さもさることながら、実は私がこの作品で特に気に入ったのがイラストでした。
一見、描きなぐったような絵なのにめっちゃ躍動感があって、ふたりの女性が数日間で大仕事をやり終えなくてはならないという覚悟、勢いとパワーを感じました!
Posted by ブクログ
文章が読みやすくあっという間に読める本。
簡単に言ってしまえば生きるの下手系の兄、でも憎めなくて人からは愛されている兄のお話。著者が淡々と終いをするところに驚きつつお兄さんがお兄さんなりに必死に生きた痕跡が伝わって心がじーんとする。息子の良一くんがまたとても良い子、そしてお父さん譲りか?周りの人に愛されている。
本を嫌いになっていなかった
20代のころ、世の中に置いてけぼりになった私は、小説に救いを求め、小説が大好きだった。子供が生まれたらゆっくり本は読めなくなったが反面、本の世界にしか自分の世界が持てなくなり、活字に飲み込まれそうな恐怖を感じ、小説からはなれた。そしたらどんどん語彙がなくなり、再び小説をよみはじめたけど、読んでも心がえぐられるような気持ちにしかなれなかったり、集中出来なくなったりして本が嫌いになったのかと思った。歳をとってしまったのかと思った。この作品は久しぶりに夢中になって読んだ。本が嫌いになった訳ではないし、老化で読めなくなったわけではないし、私が喜びや共感をかんじるものが、この世からなくなってしまったわけではないと感じた作品。
Posted by ブクログ
映画『兄を持ち運べるサイズに』の原作実話エッセイ。過去の経緯からほぼ交流を絶っていた兄が突然死。警察から連絡を受けた著者が、遺体の引き取りと遺品整理に宮城県まで赴く。その一連の「人生の終い」をさらりと描く。とても興味深いく読んだし、参考にもなる。人ごととは思えないし、自分の終いももうわずかとも言える。
Posted by ブクログ
著者のお兄さんは不器用ながらも必死に生きようとしていたんだなと思わせる内容だった。
実の妹である著者とはあまり良い関係では無かったようだが、一緒に暮らしていた息子が父親との暮らしを良かったと思っていることが感じられ胸が熱くなった。
Posted by ブクログ
日経新聞夕刊のエッセイの中でも度々触れられていた、実兄の死にまつわる出来事をユーモアを交えて記録した小説仕立ての長めのエッセイという感じ。後に映画化されている。人生には色々あること、当たり前ではあるが本人にしか判らないのが人の生であること、を改めて思い知らされる。
Posted by ブクログ
映画がとてもよかった。
兄がいるので読まないとでも読んでいいのかな、自分の兄生きてるし…。でも自分も未来に「兄の終い」するのかもと思いながら読みました。警察から連絡あってきちんと「終い」するのが偉い。こんなひどい目に遭ったら縁切って保証人にもならないかも?!家族の形はいろいろあって、うちは最後はどうなるだろう。村井さんのように、最後にはきちんとさようならと言えるといいな。
Posted by ブクログ
絶縁してた兄が突然死し、その後始末についてまとめた本。
時系列順になっており読みやすい。
急病で亡くなってしまった兄についてだけど…
乱暴で嘘つきで人間関係のトラブルが多く身内に借金をして、妹に絶縁されるような男性が2度も結婚して(うち少なくとも2度目の奥さんはかなりの美人)計4人も子供がいるという事実に打ちのめされた。笑
Posted by ブクログ
映画「兄を持ち運べるサイズに」の原作とのことで、友人からのオススメ。
家族であっても、家族だからこそ、憎しみを抱いている人が亡くなった時、人はどんな気持ちになるのだろうか…
先日、離婚したばかりのDV元夫が急死した友人に、失礼ながら訊ねてしまった。
その答えは二人の関係性によりけりなのだろうけれど、やはり様々な弔いの作業を経て憎しみは浄化されていくように思えた。
村井理子さんも、兄の元妻と共に弔うことで様々な感情を整理していく。
一人では投げ出したくなるような作業も共に進めてくれる人がいることで随分救われたのではと思う。
残されたアパートの様子から兄と子の生活ぶりを知ったり、生保担当者や甥の里親夫妻に亡き兄の生前の暮らしの様子を聴くことで、兄の知られざる姿を知る。
自分の知らない故人の生き方を知ることは、何よりの弔いなのかもしれない。
そして、自分自身の故人への感情も穏やかな物にしてゆけそうだ。
母が亡くなって25年。
母の友人から昔の話を聴くことが苦手だったけれど、今更ながらもう少し母を知るのも悪くないかもと思えた。
Posted by ブクログ
とんでもねぇ兄貴が突然死。
家族は私しかいない。
そんな理子さんの道中での様子が赤裸々に書かれていると、紹介されており、どんなのかなぁ?
面白おかしく?
いや、兄貴が死んだんだからそうも行かないか?
などと気楽に読んでいたら、、、、
お兄さんには息子がいて、
シングルファザーで、、、、
と、話が繋がっていき、、、、
とんでもない兄貴の後始末をする妹役も大変なんだけども、、、
別れた奥さんや息子さんがものすごいいい子、いい人たちで、、、、
とんでも兄貴。
めちゃくちゃいいやつだった?
ってラストに思わせられてしまい。
周りの人たちの優しさや、子どもの真っ直ぐさに胸が打たれました、、、、
Posted by ブクログ
憎悪と情、安堵と後悔、様々な相反する感情が入り混じる中で「一刻もはやく、兄を持ち運べるサイズにしてしまおう」とする怒涛の「処理」のプロセス。その書き振りにどこか爽快感もあり、断捨離に近い感覚なのかも。良一君に関わる人々が皆優しくて救われる。映画も観よう。
Posted by ブクログ
私は相談支援員をしている。よく聴くのはどうしようもない兄のこと。どうしようもない姉の話は聴いたことがない。縁を切りたい、私には関係ない。兄の面倒まで見られない。村井理子さんの書く部屋の様子も想像できる。一生懸命生きていても、ズボラに生きていても死に方は選べない。単身世帯が増えてこの様な最後を迎えてしまう方がいる。ついこの間まではおせっかいおばさんがいたるところにいてうるさいくらい世話を焼いてくる人もいた。最近は私も含め、近所の人のことは見てみぬふり。どうしていったらいいのか、分からない。そんな現実を突きつけられた様だった。
Posted by ブクログ
文章が読みやすくて、臨場感もあって、あっという間に読み終わった。
やはり村井理子さんの文章は良い。
「家族」を読んでからの方がお兄さまとの関係性の解像度が上がって楽しめます。
Posted by ブクログ
◾️ページ数 P169
◾️読んで抱いた感情
もの悲しいけど前向きにもなる、身内が亡くなった後は大変だなぁ、他人事じゃないな
身内が亡くなった後処理は本当に大変そうだなと思った。家族の突然死は誰にでも起こり得る事で、検死の書類作成料金が5〜20万もする事や、金額が医者によって違う事など思わぬ出費があるんだと驚いた。
Posted by ブクログ
星4.5
映画化されるということで読んでみる。
著者の兄は、周りに迷惑をかけ続け、小学生の息子を一人残して、宮城県多賀城市のアパートで54歳で病死する。
唯一の身内である著者は、夜間の塩釜署からの電話を受けて、宮城に向かい、兄の前妻と共に、慌ただしい数日を送るのだった。
凄まじい汚部屋の掃除をしたり、各種手続きを済ませ、小学生の息子を前妻が引き取るまでの忙しい日々を描くのだが、暖かい小学校の先生や同級生に見送られ、読後感は爽やかだった。文章もとても読みやすく、一気読みだった。
映画も見てみたいものだ。
Posted by ブクログ
迷惑をかけっぱなしだった兄が小学生の息子を残して突然死したという連絡を受けて、引き取りに向かい様々な後始末をした5日間のおはなし。
自分も似たような経験がある。
ある日突然警察から電話がかかってきて、離婚した旦那が自宅で死亡していたのが発見されたという。
この話で言うと加奈子ちゃんの立場だったけど、子供は既に全員こっちに引き取ってたので向こうにはいなかったし、加奈子ちゃんの様に率先して片付けに行くでもなく彼の姉に全てを託して終わりにしてしまった。きっと義姉はこの話と同じようなことをしたのだろうと思うと、まかせっきりにして申し訳なかったなぁと思った。
散々迷惑かけられ、憎いとさえ思った兄(私にとっては旦那)も、亡くなってしまえば許せるという気持ちは理解できる。
だってもう迷惑かけられることはないんだから
ある意味、開放感なのだ。
そりゃ結婚して、子供まで作ったんだから他人以上に想い合い幸せな時期もあったのだ
血を分けた肉親なら生まれてから成長の過程で一緒に過ごした思い出もあるだろう
迷惑をかけられるようになってどうしようもなくて別れたとしても幸せだった過去が消える訳ではない。
生きてるうちは迷惑で、死なないと許してもらえないなんて、考えたら不憫だとは思うけど、きっと生きてるうちに許されるようにできたはずだから、自業自得と言うしかないかな。
Posted by ブクログ
実家を離れ各地を放浪した著者の兄が、なぜか遠く離れた宮城県のアパートでゴミ屋敷状態で急死した。不仲であった妹(著者)と元妻らと、兄の小学生の息子の手続きや片付けなどに取り組むが……
Posted by ブクログ
人生を終う ほとんど縁が切れていた兄の突然の死とその後始末。
なかなか体験できることではないし、体験談として聞くこともないだろう。
わずか数日で火葬からアパートの片付けに奔走する著者と兄のもと奥さん。
やはり普段から死を意識して生活することは必要かもしれない。
Posted by ブクログ
人の死の終わりがもたらすことが書かれてました。自分も最後は一人になると思うけれど、死後のことは迷惑かけないようにしなくては、と思い知りました。また作者さんは嫌いだったはずのお兄さんを許せたのは、意外だった。人ってかわるのね〜結果オーライでしょうか?
Posted by ブクログ
突然の死に際して筆者の兄⇔妹という関係性に加え、加奈子ちゃんの元妻⇔元夫と息子という関係性も描かれ、どちらもなかなかに大変。
縁を切る、縁が切れない、とはこういうことなのか。手続き的にも、感情的にも。
当事者にならないとなかなか知らない様々な手続きが(死んだ人がダメ人間だったこともあり)ライトに読める。
それにしてもすごい出費。これお金持ってなかったらどうするんだ?
Posted by ブクログ
スルッと読むことが出来る本。
兄への複雑な思いと、さりとて幼い頃からの情に、感情の表現がとても素直に書かれていて、死者への感情をさて置きこうあるべきだとかよりも、自分の気持ちに正直に考え行動出来る著者に、自分もこうあれるようにと思った。
Posted by ブクログ
過去の確執により疎遠になっていた兄が突然亡くなったことで、死後手続きを通じて、著者が感じたことや経験を書き綴ったエッセイ。
最初は悪いものしかなかった兄への印象が、死後手続きを通じて知った兄の形跡や、思い出された過去の記憶を通じて、少しずつ変わっていくのが印象的だった。
死は突然訪れるものであることを実感させ、家族、親族との関係性を改めて考えさせられるような本だった。
Posted by ブクログ
話のテンポがあってよかったが、読後感がよくない作品だった。作品が悪いという意味ではない。
どこの身内にも1人や2人、「困ったなぁ」と思う人はいる。その「困ったなぁ」の種類はいろいろで、病気だったり、経済的なことだったりする。読みだすと他人事ではないと感じる人が多いと思う。
作品中に兄が発達障害だったことをにおわせる記述がある。発達障害や鬱の人の周囲には、必ずといっていいほどその人のことを「優しい人」、「真面目で誠実な人」、「一生懸命な人」、「本当にいい人」と言う人がいる。しかし、この言葉で傷つく人がいることはあまり知られていない。私は昔はその言葉を真に受けていたが、最近は「普通によい人なんだけど、どうしてこうなるのか」と言っているだけと受け取るようにしている。
筆者は優しいと言われる兄と比べられ悶々として生きてきた。本書では、筆者は最後に兄を許し認める心境になって終わっているが、兄が一命をとりとめた場合でも同じ心境になっただろうか。私は筆者が兄を許し認めたというよりは、兄が亡くなり兄から開放されたことから出た言葉だと思う。