松岡圭祐のレビュー一覧
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今年の1冊目。毎年恒例の松岡先生の作品から。昨年読んだ『黄砂の籠城』の続編で義和団事件を中国側から描いた作品。
“無知の農民蜂起団が国家の軍団にのしあがり、列強に立ち向かっていく物語”ではない。自らの暮らしを脅かす洋人を倒すために立ち向かった“数”だけが頼りの集団を、清国が巧みに操り特攻兵として利用し、結果国家諸共に粉砕していく物語である。義和団の一兵卒は知識を得、兵隊となることに無垢な喜びを得る。本主人公である張たちリーダーたちはこのカラクリを知りながらも流れに身を任せるしかないその苦悩に焦点をあてている点が興味深い。
「“自分たちでも立ち上がれれば国を変えられること”に自ら気づけただけ -
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007が好きという理由だけで目に止まったこの本。
2004年前後、当時流行ったもの(電車でGO!、倖田來未、AKB48オーディション…)が散りばめられていて、そんな時代よねぇ、と懐かしく淡い気持ちになった。007ファンとしても、ピアースブロスナンからダニエルクレイグに代替わりした件やシリーズの映画名がちょこちょこ出てくるあたりも心をくすぐられる。
島の人たちの温かさ、素直さ、おおらかさを感じながら、要所要所でクスッと笑える要素もあり、読んでいてほのぼの、ちょっぴりハラハラ。最後は爽やかな気持ちで読み終えた。
直島がアートの島と言われるようになった経緯を知ることにもなって、素直に「読んでよかった -
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1900年春、北京の東交民巷で起きた籠城戦(義和団事件)を、史実に基づき描いた物語。
本書の冒頭は2017年春、商談のため北京を訪れていた櫻井海斗は困難な取引を請け負っていたが、先方の重役であるエリック・チョウ(イギリス人と中国人のハーフ)は何故か好意的で、日本人であるあなたがたと仕事がしたいと言う。更に彼は、まさにその場で起こった義和団事件について語り、櫻井は高祖父である櫻井隆一やその上官である柴五郎が残した功績について知る。
本編では、義和団の暴徒化から始まり、外国公使館区域である東交民巷に列強11カ国(ベルギー、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカ、オランダ、ロシア、イギリ -
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沖縄での修学旅行中に、米軍基地に侵入し、武器密輸の巨悪を壊滅させてしまうあたり、主人公・結衣のパワフルさ(破天荒さ)は健在です。
次第に周囲の人々と交流したり「絆」を感じたりするようになってきた彼女の生きざまに、感化される(テロリストの娘というレッテルを外して彼女自身の「正義」に共感する)登場人物が少しずつ増えてきていることも、読者として嬉しく感じます。
ただ、結衣の行為が(虐げられる弱者を開放するためとはいえ)殺人という罪であることから、その場で育まれた「絆」が長続きしない(少なくとも表面化しない)というのが、この作品に一抹の「もの悲しさ」や「無常感」を与えており、それが魅力ともなっているの -
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高校事変も9作目。結衣と勇次の戦いのクライマックスにあたる巻。
同時代性が色濃く出る作品なのだが、本作はそこが若干薄め。新型コロナや政権交代なんかは設定上あまり触れられなかったのかもしれない。それでもオリンピックの延期に絡んだ話は出てくるし、今現在結衣が日本で生きているかのような話になっている。
話の設定や敵が仕掛けてくる策がどんどんエスカレートしていただけに、本作はそこが物足りなくなっていることもたしか。人間の慣れって怖い。でも、これくらいの方がいい気がする。暴力性のあるアクションシーンや敵の策略をくぐり抜ける結衣の戦闘の知恵はさらに増しているとさえ思ってしまった。
毎巻帯に次巻の刊行予告が -
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相変わらず、結衣の活躍には舌を巻きます。
公安警察上層部の陰謀(暴走)により、窮地に陥る結衣ですが、もちまえの戦闘技術と機転で切り抜け、これまでの状況を根底から覆す結果を導き出すさまは爽快です。
シリーズ1作目からの物語も繋がり、大きな世界観が築かれています。ハイペースで続刊が刊行されており、次なる結衣の戦いも目が離せそうにありません。
いよいよ、日本で暗躍する海外マフィアとの「目に見える形」での直接対決が始まりそうで、ハラハラさせられます。
第1作で出会った「友人」との絆も意識するようになった結衣の成長もまたこのシリーズの魅力の一つです。 -
ネタバレ 購入済み
大団円
推理劇で少々だれて 探偵譚で消化不良であったのがこの最終巻ですっきりしました。欲を言えばもう少し華蓮に活躍を期待したかったのですが 今までの登場人物が皆でてとても楽しかったし 結末には安心(?)しました。読んでて楽しかった。この一言です