Posted by ブクログ
2021年03月05日
この作品こそ「特等添乗員αの難事件」シリーズ最高傑作。これほど満足し感動したのは1作目以来。
「世界に一つだけの花」が色んなグループにカヴァーされる話が浮かんでは消えた韓国。これは本当の話で「らいおんハート」とかはカヴァーされてるのに「オンリーワン」を謳うあの名曲はカヴァーされてない。そこの洞察こそ...続きを読む、本作をシリーズの中で特別な物にしてる。
ソウル市内の地理、K-POPのペンの特徴、番組観覧と、およそ生半可な知識では書けない徹底した内容。未成年のまま練習生としてソウルに送り込まれる日本人が増えている現状への危惧、何もかも現代を反映している。
なおK-POP嫌いの中高年が爪弾きにされたと感じて酷評する傾向があるが、これは22歳が主人公の話だ。本当の添乗員がババアしかいないと主張したところで、シリーズ第1巻から若い添乗員しか出てこない。今更そこに文句を言うとは読者とも思えない。
この絢奈ら3人がツアー客のために奔走する姿は美しい。こんなに温かい添乗員は他にいない。
シリーズでは絢奈は「閃きの小悪魔」であって、ずるい思考を遺憾なく発揮する。1巻から敵を嵌めていたし、2巻でもツアーを抜け出してマカオのカジノでヤクザと渡り合っている。もともと現実を超越した添乗員なのだから特等添乗員なのであり、ババアばかりの現実の添乗員と一緒にされても(しかも6巻でかよ)困る。
なお莉子もQシリーズが連続刊行してた6年間は、四季が何度巡ってもずっと23歳。αシリーズも4年間ずっと22歳だった。しかもすべての作品は刊行年の設定。7年経って22歳はおかしい?そんな人はシリーズに向いてない。