フランツ・カフカのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ翻訳者解説がとても良かったです。
カフカの世界への間口を広げてくれているよう。
『わからなくても気にする必要はない』
実際、分かったような分からないようなが、グラグラと何度も繰り返すのが、カフカ作品です。
失敗することさえできない、隣人までの距離、法の前に、平穏を嘆く、虚栄心、使者、下へ、せめて、すべて無駄だった、心を剣で突き刺されたとき、志願囚人、海辺の貝殻のように
などが好きです。
しかし、読み返すたび変わるような気もするし、他の人は全く違ったりするでしょう。
誰かに刺さらなくても、また他の誰かにはきっと刺さる文節があるはず。 -
Posted by ブクログ
文庫本の3分の1が解説を占めてたから意外と短い物語で驚いた。
カフカ的なんて言葉が出るくらいには人々に衝撃を与えた作品、なるほど確かに他にないキレと視点がある。
家族とは?自分とは?
「起きたら虫になってた」という究極の不条理が、誰でも抱えうる不安や恐怖を紐解いて行く。
走ってたら虎になった訳でもなく、悪い魔法使いにカエルにされた訳でもなく、なんの理由もなく虫に。
振り切れた不条理が面白い。
個人的にはカフカの陰鬱な自己嫌悪が如実に出た作品に見える。
かなり好き。
訳した川島隆さんの解説がかなり読み応えがあった。
「ああ神様」の翻訳者により異なる訳が面白かった。
表紙絵の変遷も面白かった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「100分で名著」で興味を持ち読みました。
感想としてはグレーゴルは父や母、妹などに虐待に近いことをされているとも言えますが、
グレーゴルは虫になったときに病にかかったといっていましたが実は醜い姿になっていたのではないでしょうか?
責任感の強そうなグレーゴルは疲れて病にかかり虫になった幻覚を見て虫のような動きをしていたのではないでしょうか?
もしくは夢落ち説もあるのかなと思いました。
また、作者のカフカも人生や願望に寄せて作っているのかと思いました。
当時20世紀では不治の病の結核によりカフカは彼女と結婚ができず40歳で亡くなりますが、亡くなる直前に書いた本「城」では主人公が城まで行こうとしま -
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『100分de名著』で取り上げられた川島隆氏の新訳。
ある朝目覚めたら、巨大な虫に変身していたグレゴール。虫になった理由も、回復の方法もわからない。無論仕事にも行けない。一体彼はどうするのか…?
ものすごく大変な出来事に遭遇しているのに、グレゴールが淡々と落ち着いているのがシャープで怖い。彼が気にするのは、もっぱら遅刻した出張や、実家の借金や、妹の進路であって、自分の変身の回復法ではないのだ。まずそこで、私たちは驚き、この作品に釘付けになる。
まるで身体障害のある人を急に抱えた家族のような様相を呈する家族たち。困惑するなという方が無理な、想像し難い現実に、一家はかつての和やかな家庭から、 -
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かれこれ20年ぶりぐらいになるだろうかというぐらい離れていたカフカ。だいぶ印象が違う。若い頃に読む『変身』と今読む『変身』はやはり違う。主人公が可哀想でありながらしかし家族の邪魔になり、かつ最後家族は解放されている?家政婦への態度や間借り人たちへの態度からも分かるとおり、何か釈然としない感情は引き続きもっている訳で。
光文社古典新訳文庫でカフカを読むことの意味は訳者の丘沢さんが史的批判版に忠実に訳されていることにあるだろう。白水社版や新潮社版で大胆に改行がされていることを知って驚きを隠せない。文章を分けるのは日本語とヨーロッパ語の違いから理解はできるが改行は維持できるだろうに。『城』なんて文字 -
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ネタバレ『100分で名著』でカフカ『変身』の回を見て、カフカにとても共感し読みたくなった。
「起きたら巨大な虫になっている」というストーリーは、虫が大の苦手な私にとって想像するだけでも鳥肌が立つほどの嫌悪感があり、この小説を読むことは一生ないだろうと思っていた。
番組を見て良かったと思う。
読むにあたってどの翻訳で読むか迷ったが、新潮や角川と比べて翻訳が一番新しい岩波を選んだ。
翻訳小説の日本語の読みづらさが少し苦手なのだが、岩波文庫改訳版(2004年)はわりと読みやすくて良かった。
この本には『変身』と『断食芸人』の2作品が収録されている。
(以下、ネタバレを含みます)
『変身』
突然何か大 -
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言わずと知れたカフカの名作である。
ある朝グレゴール・ザムザは何やら不穏な夢から覚めると1匹の大きな毒虫になってしまう。無論、タイトルの「変身」はその激的な冒頭文のことを指しているのであろう、そう思った。
毒虫になったザムザは部屋から出られずに1人で生きることは出来なくなったため家族が養ってあげることになった。なんて優しい家族なんだ。人間の食べものは食べられずに残飯を好んで食べ、人の言葉を失った代わりに虫の鳴き声で話し、本当にただのでかい毒虫になってしまったのである。そしたら家族もかつてはザムザだったその毒虫を「ただの毒虫」として扱うようになっていく。
嗚呼そうか、タイトルの「変身」とは家 -
Posted by ブクログ
『審判』カフカ
100分で名著。
これで取り上げて欲しい1冊となりました。
1.購読動機
筒井康隆さんの読書の極意と掟のなかの一冊です。プロが影響を受けた書物に関心が芽生えたからです。
2.本書の内容
主人公は銀行エリートです。
30歳の誕生日に逮捕をされます。
それが物語の始まりです。
なぜ逮捕されたのか?
結末は?
読者の関心を引っ張りながら物語は淡々と展開します。
無実を信じる被告。
それがゆえの楽観。
しかし、時の経過とともに、無実を証明する戦いに体力、神経をすり減らす日々。
証明するために、自ら情報をとりにいき認識できる現実。
裁判所なる組織。
裁判官の上級、下級。
弁