フランツ・カフカのレビュー一覧
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ネタバレ特に印象的だったのが、グレゴールの家族がもっと手頃な家に引っ越せば成り立つにも関わらず「良い家」に住み続けることの描写と、グレゴールという大黒柱が不在になったことで逆に家族がそれぞれに出来る仕事で家計を成り立たせていく描写。 与えられ続けた恵まれた環境を手放せない執着と、頼るべきところが無くなってもそれなりに現実を維持させ続けられる強かさを感じる。 人間の弱さと強さの両面が描かれていて、とても印象深く、何度も繰り返し読みたくなる。
人は何をもって他者をその人と見なすのかという点でも考えさせられる。 なぜ家族は虫になったグレゴールを彼であると認識できたのかというのも、その思考材料になりそう。朝 -
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カフカに初めて触れた。「変身」が代表作とか。
没後100年を記念して?出された本。
カフカが俳句を書いたわけではない。
彼が残したことばを、そのまま載せたり作品から切り取ったり、
五七五に収めるわけでなく、自由律のように80句に見立て、
編訳者が解説を加えている。
カフカが初めての私は、彼の解説でカフカを知る。
「鳥籠が鳥を探しにいった」
「ときおり体が八つ裂きになりそうな不幸を感じる」
「家族のなかで、他人よりももっと他人のように暮らしている」
「夕方、森へ。月が満ちている」
なんとも悲観的な、、、
どうもカフカは世の中になじまなかったらしい。
今でいえば発達障害だったのかも。
作品も -
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ネタバレ『変身』を読んだときに感じた、カフカ作品独特の読み心地をたっぷり堪能できる本だった。
どうしようもない不安、自己肯定感の欠如、悪夢のような断片。
そういうものがカフカの文章には漂っている。
あまりにも自分を卑下しすぎていて、「そんなに言わなくても……!」と逆におかしさを感じてしまうことすらあった。
しかし、起きている出来事も人物も自分とは違うのに、「これは私のことだ」と思ってしまうことも多かった。
カフカのこういう部分に惹かれるのだと思う。
編訳者解説で、カフカの作品は大半が未完だということを知って驚いた。
しかしその未完の状態こそが、カフカ作品の特徴で魅力だという。
この断片集を読んで、 -
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ネタバレ翻訳者解説がとても良かったです。
カフカの世界への間口を広げてくれているよう。
『わからなくても気にする必要はない』
実際、分かったような分からないようなが、グラグラと何度も繰り返すのが、カフカ作品です。
失敗することさえできない、隣人までの距離、法の前に、平穏を嘆く、虚栄心、使者、下へ、せめて、すべて無駄だった、心を剣で突き刺されたとき、志願囚人、海辺の貝殻のように
などが好きです。
しかし、読み返すたび変わるような気もするし、他の人は全く違ったりするでしょう。
誰かに刺さらなくても、また他の誰かにはきっと刺さる文節があるはず。 -
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文庫本の3分の1が解説を占めてたから意外と短い物語で驚いた。
カフカ的なんて言葉が出るくらいには人々に衝撃を与えた作品、なるほど確かに他にないキレと視点がある。
家族とは?自分とは?
「起きたら虫になってた」という究極の不条理が、誰でも抱えうる不安や恐怖を紐解いて行く。
走ってたら虎になった訳でもなく、悪い魔法使いにカエルにされた訳でもなく、なんの理由もなく虫に。
振り切れた不条理が面白い。
個人的にはカフカの陰鬱な自己嫌悪が如実に出た作品に見える。
かなり好き。
訳した川島隆さんの解説がかなり読み応えがあった。
「ああ神様」の翻訳者により異なる訳が面白かった。
表紙絵の変遷も面白かった。
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かれこれ20年ぶりぐらいになるだろうかというぐらい離れていたカフカ。だいぶ印象が違う。若い頃に読む『変身』と今読む『変身』はやはり違う。主人公が可哀想でありながらしかし家族の邪魔になり、かつ最後家族は解放されている?家政婦への態度や間借り人たちへの態度からも分かるとおり、何か釈然としない感情は引き続きもっている訳で。
光文社古典新訳文庫でカフカを読むことの意味は訳者の丘沢さんが史的批判版に忠実に訳されていることにあるだろう。白水社版や新潮社版で大胆に改行がされていることを知って驚きを隠せない。文章を分けるのは日本語とヨーロッパ語の違いから理解はできるが改行は維持できるだろうに。『城』なんて文字