フランツ・カフカのレビュー一覧
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賢い美少年カールは、年増の召使を孕ませ親に追い出される。
そこから彼は、不条理の道を歩み続ける。
大国アメリカへ到着した船上でのやりとり、自分の大切なスーツケースを他人に預けたまま、他人の厄介事に首を出す。
彼の自信は若さに由来するものだろうか。
ごったがえす人の波、赤の他人の問題に巻き込まれ、この先の混乱した道を予想させる。
お偉い伯父に預けられるが、途中で厄介払いされる。
10代半ばの少年が、大国アメリカに放り出されたわけだ。
その理由は読者にも提示されない。
この先の物語も、不条理と茨の道が続く。
この少年は、孤独を感じる間もなく、生きるのに必死なように描かれている。そんなわけはな -
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フランツ・カフカは、127年前の1883年7月3日にオーストリア=ハンガリー帝国(現在のチェコ)のプラハに生まれて、86年前の1924年6月3日に40歳で亡くなった小説家。
ところで、フランツ・ファノンじゃなかったフランツ・カフカって、どこかエリック・サティに似ているとお思いになりませんか?
抽象する無機質なランドスケープといい、現代に生きる私たちの孤立感や閉塞情況の感嘆・強調といい、言い知れぬ不安と孤独感の恍惚的描写といい、未知なる隣人と時空を超えた憧憬の祝祭的喝采などなど、ほとんど何を言っているのか自分でも意味不明ですが、ほぼおおむね、だいたいそんなふうな感じですが、ただ表現方法が小説 -
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奇妙な村にやってきた主人公Kの物語。村に到着したKは、村を統治する伯爵の城との接触を試みるが、奇妙なことにどう苦心してもその試みが成功しない。それどころか、Kは次々に奇妙な人間たちのところへ巻き込まれていく。さらに、作品として未完なので私たちはKの行く末を知ることが出来ない。
村でまかりとおる理屈が完全に不条理で、登場人物の思考経路がしばしば理解できない。だけど、それが妙に現実らしく思えるから不思議である。言葉が通じているから、一見するとKと村とは生活を共有できているかのようである。しかし、言葉以外の多くの部分において全く異なる了解を前提しているため、両者における言葉の共有はむしろ誤解の原因に -
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邦題「城」。長いことかかったと思う。読み終わるまでに。2週間じゃ済まなかったはず。大体1日に調子いい時で20ページ程度で、学校の行きはほとんど寝てるので帰りにちょびちょびと。螺旋階段を昇っていく感じというよりかは、地下にずんずんと下っていく感じのような感触を読んでいると受ける。ふと気を抜くと何の話で、どうしてそうなったのか、そもそも誰が今話しているのか、さっぱりわからなくなる。煙に巻かれる。不思議。いくら読んでも物語を掴めない。掴めそうな気がしない。ひょいひょい逃げて行く。だから追いかける。筋がないわけではない。ある。けど、それは筋と言えるものではない。カフカは文学として異端の中の異端だと思う
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最も印象的だったのは、語りの視点の変化。
物語は彼(グレーゴル)視点で始まるが、
彼の死から第三者的な視点へと移行する。
死の苦悩や劇的な最期は描かれず、
彼がその時何を思ったのかも明確には示されない。
その空白が、かえって死を生々しく感じさせる。
人の死は当人の内側ではなく、
外側から処理されていくものなのだと
突きつけられるようだった。
父親が投げたリンゴの傷が死因であるという点も、
美しく、象徴的。
かつて家族を支えていたはずの息子が、
父によって傷つけられ、徐々に衰弱していく。
大黒柱だった彼よりも、
父の威厳や家族の秩序が優先される構図は不気味で、
家族という共同体の冷酷さを感じさ -
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役割を失った「個」と、残された家族の再生
朝目覚めると巨大な毒虫になっていた、という不条理な設定から始まる物語。Audibleでの鑑賞において、背後に流れる時計の秒針の音は、本人の異変とは無関係に刻々と進む世界の残酷さを際立たせていた。
■社会的な役割と「うつ」の心理
毒虫に変貌した直後、主人公グレゴールが真っ先に案じたのは自分の体ではなく「早く出社しなければ」という仕事への義務感であった。自分を二の次にして社会的な役割を優先する姿は、現代のうつ病を患う人の心理状態にも重なる。個人がどれほどの絶望の中にいても、社会や時間は何事もなかったかのように動き続けるという描写は、極めて冷徹である。
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私にとって文学は、自分の感受性を鍛えてくれるもの。
一読するだけでは説明の列挙でつまらないと感じてしまうが、解説や他者の感想を読むと、現実社会とのメタファーに気付けたり、「そういう意味だったのか」「この文章を読んでそういう風に感じる人がいるのか」と、自分の発想に無いもので予想もしていない角度から殴られる感覚が気持ちいい。
この本は年齢や立場、読む時の自分の心情、誰に感情移入するか等で印象がガラッと変わる作品。
読み手が「虫」を「病気」「無職」「介護」「鬱」「依存」...何に置き換えるか。
物語の根幹である「虫」について「どんな虫なのか」「どうして虫になってしまったのか」あえて説明しないこと -
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一家の稼ぎ頭として家族を支えていた青年 ザムザは、一夜にして人間から巨大な毒虫へと化してしまった。
虫という姿形になったことで彼の姿を見た途端に母親は失神、父親は彼を追い払う。唯一 彼のことを気にかけていた妹もやがて態度を変えていく。
私の中でザムザは体調150cmほどの大きな大きなダンゴ虫のイメージ(これはカフカがイメージしている虫とは大きく異なるかもしれない)。
家族の1人がある朝 突然、巨大なダンゴ虫になっていたら私はどうするだろう。私は虫が怖いし嫌いだ。そんな苦手な虫になった家族とどう接すれば良いのだろう。彼の母親と同じように失神してしまうかもしれない。
人を見た目で差別したり判断