フランツ・カフカのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
”君は君の不幸の中で幸福なのだ。”
前からとても気になっていた一冊です。
期待を裏切らないこの絶望っぷり。ネガティブ思考万歳!
どんなことにでも絶望を見出せるネガティブのパワーはすごいですよ。
私も同族なのでめちゃくちゃ共感できました。
以下、印象に残ったのを備忘までに。
将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。
将来にむかってつまずくこと、これはできます。
いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。 p24
人間の根本的な弱さは、
勝利を手にできないことではなく、
せっかく手にした勝利を、活用しきれないことである。 p36
孤独さが足りない。 p11
ぼくの人生は、 -
Posted by ブクログ
昨年上演された指輪ホテルの「断食芸人」というお芝居のタイトルが妙に記憶に残っていて、どんな話なのか気になって読んでみた。短編がたくさん入っていて、カフカさんが書いた棒人間みたいなイラストも載ってお得。
わたしはどうも、意味をわかろうと読んでしまうため、カフカさんの小説は意味がわからなくて欲求不満になりそうになる。途中からそのことに気がついて、これは何かの隠喩だとか、この台詞の意味はこうなんじゃないかとか考えないようにして読んだ。
現実はいくら知恵を絞ってみても割り切れない。割っても割ってもなにか余りがでる。そして、その余りは、気味が悪いというか…なんとも嫌な感じに胸に残る。ありそうもないよ -
Posted by ブクログ
カタチやイレモノはカフカの「文法」そのものなのですが、色調が他の作品とはちょっと違う。比較的明るめじゃないかな。冒険小説的な。未完の三部作、これを最後に読んだのは良かったのかも。
また、未完の著作とされていますが、私にはそうでもないように感じられました。こういう終わり方もアリだなあ。結論に重きを置く人には不満ですかね。
「主人公がふいに日常から切り離された世界に投げ込まれ、そこでの存在をどうにかこうにか保とうと画策していく」のが彼の織り成す世界構造だという認識です。日常に生きる私や私たちに示唆を与えてくれます、読み方によっては。そのあたりは、読み手の、受け取り方の自由だね。 -
Posted by ブクログ
未完の作品と聞いてはいたけれど、結末はちゃんとあるのね。結末は。彼の著作は『変身』、『城』に次いで3作目ですが、作家性・テイスト、筆のクセを感じずにはいられません。著者名を隠されても世界観・世界構造から推察できそう。苦悩に満ちたストーリー展開であっても、それを著しているカフカ自身は書くことで満たされている感があるなあ。それが楽しくもある。
本作は、タイトルからも分かる通り、法律・裁判、その辺りの話題が多く、法学に通じている人ならより楽しめるのかもしれませんね。
☆は三つにします。どうしても既読の同氏著作と比較してしまいましてね。
未完であるとか、完結しているとか、ということにこだわったりしま