フランツ・カフカのレビュー一覧
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ネタバレ正直、難解で読み手に委ねられる作品だった。
私は、カフカは人間の関係性の究極の希薄さを描きたかったではないかと考えた。
家族であってもその体裁によっては、急激に瓦解するような関係性であることがそのまま描写されている。「変身」では、今までグレゴールに養ってもらっていたのにも関わらず、最終的には家族3人でいた方が良かったかのように終わる。最初は歩み寄る姿勢があった娘でさえ、きっかけさえあれば放り出せとまで言ってのける。家族とは言いながらも、結局はその形に拘泥しているだけである。しかし、それが悪いとも思えない。恐ろしく、悲しく、どうしようもない気分になった。
ユーモラスでありながら、不条理な絶望をこれでもかとありありと見せつけられた。
少展開が少し躓く箇所があり、少し読みづらかった。 -
Posted by ブクログ
著者である頭木弘樹さんの、弱い者に寄り添うような穏やかな語り口が好きで、コロナ禍ぐらいからX(旧Twitter)をフォローしている。東日本大震災の直後だった本書の刊行当時、ネガティヴな言葉は禁句とされていて、「絶望」という言葉を目にしたくない、そんな本は手に取りたくもないとまで言われたそうだが、その後ベストセラーになった。
人間って本当に辛いときは、ポジティブな励ましの言葉より、その心情に寄り添うようなネガティブな言葉や、力強い罵倒や悪口に救われることもある。私も断然そっち派だ。
実際、悲しみや落ち込みから回復していくプロセスでは、いきなり前向きな言葉をかけるより、まずはネガティブな感情に寄り添い、それを受け止めたうえで、少しずつポジティブな方向へ気持ちを切り替えていくほうが効果的だ、という研究もあるらしい。
カフカは、徹頭徹尾ネガティヴで自己肯定感が低く、自分と他人を比べては絶望し、自分の運命を呪い続ける。とりわけ父親への劣等感が強いようだ。結婚や子どもを持つことへの憧れが人一倍強く、幸運にも婚約してくれる相手がいたのに、自信のなさからマリッジ・ブルーを拗らせて、自らそのチャンスを手放してしまう。しかも三度も。
自身の体型や、健康に対するこだわりも強い。痩せていることを気にしているのに、食べることを忌避し肉は食べない。健康のために酒やタバコもやらず、新鮮な空気を吸うために冬でも暖房もつけずに窓を開け放っていたという。そんな徹底した節制(?)にもかかわらず、34歳で結核を発症してしまい、40歳でその短い生涯を閉じた。
興味深いのは、病気になったことに対して絶望するどころか逆に生き生きとして、長年悩まされた不眠も一時的に解消していることである。心理学の言葉では「疾病利得」と呼ぶそうだが、病気になることで仕事を休めたり、周囲に心配してもらえたり、「できない自分」でいることに言い訳ができるようになる。カフカはこれを最大限に享受したようだ。
生前はほとんど無名だったカフカだが、彼の作品を後の世に遺そうと奔走した友人のおかげもあり、今では世界的巨匠としての評価をほしいままにしている。
そのことを、絶望してばかりだったカフカに伝えたら、どんな反応をするだろうか? -
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『変身』
プロセカ(25時、ナイトコードで。)きっかけでハマった【ザムザ(てにをは)】のモデルが『変身』の主人公・ザムザと知って、読んでみた。
家族のために身を粉にして働いてきた主人公は、ある朝、目が覚めたら巨大な虫になっていた。
怯えながらも献身的に世話をする妹と、病弱で繊細だけど心優しいお母さん。(あと、頑固な父親)
お互いに適度な距離を取りながらひとつ屋根の下で暮らしていたが、じわじわと壊れていく「家族」。
そして最後は…厄介ごとから解放されて晴れやかに未来へと歩き出す「家族」。
もしも自分の家族が、ある日突然「醜い虫」になっていたら…同じように気持ち悪がって疎ましく思って、死を望んでしまうんだろうかと思うと、すごく切なく悲しい気持ちになった。
他の作品は…ちょっと難しかった。
100年以上、世界中で読まれ続けているのには理由があるはずだと思ってるけど、理解できなくて悔しい。 -
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ネタバレある日、巨大な虫になってしまったグレゴール。
会社で苦しい思いをしながらもがむしゃらに働いて家族を養ってきた彼が、目が覚めたら突然虫の姿になってしまい、家族にも避けられてしまうように。
虫になっても仕事に行こうとする彼の姿勢には植え付けられた義務感を感じ、胸が痛くなった。
そして人間時代のグレゴールに依存しきっていた家族はそれぞれ仕事を見つけ、自立していくようになり虫であるグレゴールの存在はどんどん“本物の虫けら”に。
最後の解説でも記されていたが、変身ものは最後に姿が戻ったり変身した理由がわかったりするものだが、最後まで虫の姿で、そのまま生涯を終えてしまう。
きわめて救いのない物語。社会から外れるというのがある意味救いと言われれば救いではあるけれど、虫になってからの孤独感は、人間であればできることである二足歩行で自由に動き回ることや、食事、そして人間関係を築くことができないことによって加速していく。
不条理が描かれたこの物語は、感情移入こそしないものの、同種族でしか成り立たないこの世界について考えさせられた。普段こういう不条理な話には触れないが、読む機会を作れてよかった。本編は100ページほどなのでサクッと読めた。
カフカの他の物語も読んでみたいと思った。 -
Posted by ブクログ
息子へ)
久しぶりに文学小説を読んだ。
朝起きると虫に変身してしまっていたサラリーマンと、
その家族の話だ。
とても奇妙で身の毛のよだつ話だ。
さすがに文学小説だけあって、こんなに現実離れした話にもかかわらず、、「自分がこれに似た境遇になったら、、、、」と考えさせられる、、、。
つまり、社会から脱落してしまったら、だ。
本にもいろいろな種類がある。
いろいろな方向から頭に刺激を与えるという意味で、この類の本も読むに値する。
(お父さんの本の買い方)
BOOKOFF \105
(読め、もしくは、読むな)
読みたければ読め!
(君が・・・歳のころに)
社会人になったら。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ色々と考察しがいのある小説だけど、そんな深いことは考えずに読むと、もはや一周回って笑えてくる。
以下個人的面白ポイント↓
・朝起きたら虫になっているというのに、やけに冷静で、仕事の心配ばかりしている主人公
・息子(兄)は虫になってしまったと信じて疑わない家族
・母が虫の全貌を見て死にかけてしまう
・なぜかリンゴ(かわいい)で攻撃する父→そしてそれが後々の致命傷
・爽やかなハッピーエンド感
・この話を笑いながら朗読したらしいカフカ
色々とツッコミたくなる場面が多すぎる。
比喩として読んでも考えさせられることが多く面白いし、そのまんまの話として読んでもシュールなブラックコメディで面白い。いろんな楽しみ方ができる小説。 -
Posted by ブクログ
有名な作品だったので、教養として。
事務報告のように淡々と描写する乾いた文体。
昨日まで一家の支柱だった主人公が虫になった途端に、家族は彼を「汚物」として扱い、最終的にその死を清々しく受け入れるが、そこに嫌悪感は感じなかった。
主人公の境遇については理不尽だし哀れだと思うのだが、だからといって同情したり家族に怒ったりする気になれず、「人ってそんなものだよね」と納得してしまった。
「人間の価値は、役に立つか立たないかで決まる」がテーマ?
このテーマをどう受け取るか非常に悩ましい。そうだと言い切れるほどドライな世の中ではないと思うし、役に立たなくても全ての人間に価値があるなんて言えるほど私は優しくない。どちらかといえば同意する。特に金が絡めば、家族であろうとも役たたず=価値のない存在になると思うので。
重い気分になりそうな話ではあるが、何かを学んだりするというより、理不尽な世界を覗き見てしまったな…という感覚が残る。