フランツ・カフカのレビュー一覧
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カフカ…
超人的な絶望家。
超絶ネガティヴ。
あまりのネガティヴ過ぎにかえって笑えてくる。
著者の言う通りだ。
読むと不思議と元気にさせられる。
これは、なかなかの名著だぞ。
超訳「ニーチェの言葉」のカフカ版と言ったところか。
カフカの言葉と解説がワンセットになった86作品。
目次を記す
1.将来に、絶望した!
2.世の中に、絶望した!
3.自分の身体に、絶望した!
4.自分の心の弱さに、絶望した!
5.親に、絶望した!
6.学校に、絶望した!
7.仕事に、絶望した!
8.夢に、絶望した!
9.結婚に、絶望した絶望した!
10.子供を作ることに、絶望した!
11.人づきあいに、絶望した!
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Posted by ブクログ
絶望を表現するにしては淡々とした文体。でも読みやすくて良い。最初の3篇連続で末尾が「いや、〜〜さえ〜ない」で笑った。あまりに無力。
好きなのは〔道に迷う〕、〔夏だった〕。私は常に「ずっと倒れたままでいたい……」「このまま寝かせておいてほしい。ずっとこのまま……」と思っているので……
〔道に迷う〕は「うっそうとした暗い森だが、道の上にはわずかな空も見える。それでもわたしは、果てしなく、絶望的に、道に迷う」という言葉も突き刺さった。仕事に迷走し転職を繰り返していた時、どの職場でも全部自分のせいにしてなんとかしようとして空回って更に自己嫌悪して。その時は自覚もなかったけど今思うと〔なにが?〕のよ -
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1958年初版なのでフォントの読みにくさはあるものの、訳の言葉に古さを全く感じませんでした。
1編目は中編の『変身』。
結末を知らなかったので、この本をどう読んだらいいのか手探りで読んでいきました。朝、いきなり毒虫になった体を苦労しながら動かす姿に、マンガ化するなら笑えるかも、などと想像しながら読んでいきました。しかし結末は…
まず、毒虫としての表現が凄すぎる。足は勝手に動くし、ねばねばが出るし、虫嫌いのひとは絶対に受け付けないと思います。
主人公・グレゴールの行動が徐々に虫らしくなっていくところに少し笑ってしまう部分があるけれど、とても哀しい。それに正比例して家族からの扱いがぞんざいにな -
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ネタバレ特に印象的だったのが、グレゴールの家族がもっと手頃な家に引っ越せば成り立つにも関わらず「良い家」に住み続けることの描写と、グレゴールという大黒柱が不在になったことで逆に家族がそれぞれに出来る仕事で家計を成り立たせていく描写。 与えられ続けた恵まれた環境を手放せない執着と、頼るべきところが無くなってもそれなりに現実を維持させ続けられる強かさを感じる。 人間の弱さと強さの両面が描かれていて、とても印象深く、何度も繰り返し読みたくなる。
人は何をもって他者をその人と見なすのかという点でも考えさせられる。 なぜ家族は虫になったグレゴールを彼であると認識できたのかというのも、その思考材料になりそう。朝 -
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カフカに初めて触れた。「変身」が代表作とか。
没後100年を記念して?出された本。
カフカが俳句を書いたわけではない。
彼が残したことばを、そのまま載せたり作品から切り取ったり、
五七五に収めるわけでなく、自由律のように80句に見立て、
編訳者が解説を加えている。
カフカが初めての私は、彼の解説でカフカを知る。
「鳥籠が鳥を探しにいった」
「ときおり体が八つ裂きになりそうな不幸を感じる」
「家族のなかで、他人よりももっと他人のように暮らしている」
「夕方、森へ。月が満ちている」
なんとも悲観的な、、、
どうもカフカは世の中になじまなかったらしい。
今でいえば発達障害だったのかも。
作品も -
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ネタバレ『変身』を読んだときに感じた、カフカ作品独特の読み心地をたっぷり堪能できる本だった。
どうしようもない不安、自己肯定感の欠如、悪夢のような断片。
そういうものがカフカの文章には漂っている。
あまりにも自分を卑下しすぎていて、「そんなに言わなくても……!」と逆におかしさを感じてしまうことすらあった。
しかし、起きている出来事も人物も自分とは違うのに、「これは私のことだ」と思ってしまうことも多かった。
カフカのこういう部分に惹かれるのだと思う。
編訳者解説で、カフカの作品は大半が未完だということを知って驚いた。
しかしその未完の状態こそが、カフカ作品の特徴で魅力だという。
この断片集を読んで、