フランツ・カフカのレビュー一覧

  • 希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話
    「希望であふれているときは希望の言葉を読み、絶望であふれているときは絶望の言葉を読み、両方の間で揺れているときは両方を読む。」
    うん、なるほど、人って共感するだけで心の何かが軽くなる気がする。
    対比することで、その時々に忘れている感覚に触れる事が出来る気がする。

    一気読みでなくても、ケース別に言葉...続きを読む
  • カフカ寓話集
    同じ訳者の「カフカ短編集」が面白かったので、こちらも読んでみる。

    「寓話集」といっても、カフカがこれは寓話でこれは短編と仕分けた訳ではない。タイトルは、「カフカは現代の大人のための楽しい寓話である」という訳者の解釈から来たものだろう。

    「短編集」を読んだときは、「そうはいっても、やっぱり暗い...続きを読む
  • ポケットマスターピース01 カフカ
    再読の『変身』をはじめ、どの作品も最後の最後までどこに向かっていくのか方向性が読めないところが面白い。

    中でも『流刑地にて』は衝撃でした。
    とある植民地の島を舞台に、公開処刑の装置の仕組みについて嬉々として説明する士官。それを半ば冷めた目で眺める旅行者達。
    そして何故テーブルの下に墓石がある?想像...続きを読む
  • 変身・断食芸人
    言わずと知れたカフカの代表作、「変身」。
    だけど、個人的には「変身」よりも同録の「断食芸人」が面白かった!

    断食を続けることで、自分の想像を超えた域にまで達しようとする断食芸人。
    もちろん彼の思考は世間には受け入れてもらえない。むしろ、社会から隔絶された場に追いやられていく。
    なぜ断食を続けるのか...続きを読む
  • 変身・断食芸人
    朝起きたら虫になっていた。

    そんなあり得ない展開をリアリティたっぷりに淡々と書かれてしまっては、読んでいるこちらの気が狂いそうになってくる。
    主人公が虫になることでその他の家族たちの絆が深まるさまはなんだか切ない。
  • 変身・断食芸人
    理不尽極まりない。ザムザ君は適応するのが早すぎるのではないだろうか。カフカはどういう意図で書いたのか、現代ではもっと共感者がいるのではないだろうか。姿が変わるまでとはいかないが、私達も往々にして変身しているのではないだろうか。
  • 希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話

    ネガティヴ思考もありじゃない?

    現代作家の小説や漫画にカフカの名前がよく出てきて気になり手にした本。
    ポジティブ思考なゲーテの言葉と極端にネガティヴなカフカの言葉の対比がとても新鮮で、マイナス思考っぷりが引き立ち、なんだか笑えてきました。
    世に出回る自己啓発本に、ちょっと疲れたなと思える人にはホッとできる、そんな一冊でした。
  • 変身/掟の前で 他2編
    変身はもうすでに何度も読んでいます。
    だけれども、オチも知っているのに
    なぜか読んでしまうんですよ、まじめくさって。

    いろいろな風に取れる作品ですね。
    変身は、一見平穏に見えた家族に襲う
    誰にも知れない悲劇とも取れます。
    まさか虫になるとは思わないでしょうし。

    そして、そんなことがあっても
    あの...続きを読む
  • 変身/掟の前で 他2編
    いい短編集でした。コーヒーの苦~い、また黒いところの良さが大好きな人にいいかも、と当て勘で思います。
    どの短編も、悲惨な話なんだけど、おかしみをもって書かれていて(訳者の持ち味?)、また読みたくなるかも。
  • 希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話
    ゲーテもカフカもよく知らないまま読みました。
    読んで、2人とも大好きになりました。
    早速、作品を読みます。
    ゲーテは、ただ恵まれた人ではなくて
    深い悲しみを多く経験しての言葉がとても
    参考になり、色々落ち込んでいる私に慰めになりました。
  • 希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話
    ゲーテとカフカの性格や彼らの残した名言のいくつかは知ってるつもりでしたが、これほど対照的とは…自分はどちらかというとカフカ寄りだなぁと再認識して少々残念。
  • 希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話
    このなかのどれかが必ず誰かのお気に入りになる。対局の二人の、でもどこか似通った言葉が所狭しと詰まってる。個人的にはやはりゲーテ様のお言葉が胸に刺さりました。『生きてる間は生き生きとしてなさい。』
  • カフカ寓話集
    扉ページの次の絵。
    この人はもうずっと深刻なままでいる。
    このままもう立ち直ることはない。

    この人は同一人物なのか、それぞれ別人なのか、男なのか、女なのか、作者自身なのか、赤の他人なのか。ひとつのストーリーなのか。

    この人は、うな垂れ、手枷で曳きたてられ、法廷に立たされ、希望を持った次の瞬間に裏...続きを読む
  • 絶望名人カフカの人生論
    こういう思考をしているカフカが後にこれだけ評価されているというその真実に勇気をもらえる、そんな本でした。

    とはいえ、生きているうちに評価されないという部分は少しかなしいですが…。
    死後、作品が評価されるのは素晴らしいことだと思うけれど、こうして「人間性」とか「人そのもの」を死後に評価するというのは...続きを読む
  • 審判
    逮捕された男が追い詰められていく過程がスリリング。

    一市民である銀行員のK。
    ある朝、犯した罪もわからずに逮捕されるが、拘束されることもない。今までと同じく自由に暮らす毎日。しかし、それも表面上のことであった…

    逮捕されながら、自由に暮らす男の不自由さ。
    牢獄に繋がれた方が、却って自由であ...続きを読む
  • アメリカ
    賢い美少年カールは、年増の召使を孕ませ親に追い出される。
    そこから彼は、不条理の道を歩み続ける。

    大国アメリカへ到着した船上でのやりとり、自分の大切なスーツケースを他人に預けたまま、他人の厄介事に首を出す。
    彼の自信は若さに由来するものだろうか。
    ごったがえす人の波、赤の他人の問題に巻き込まれ、こ...続きを読む
  • 絶望名人カフカの人生論
    ネガティブも、カフカほど突き抜けると笑えてくる。
    漫才で、ツッコミを待っているボケの一言にもみえるし、『すべらない話』の出演者の周りにこんな人間ががいたら「ネガティブすぎるおっさんの話」みたいに出てきても、おかしくないんじゃないかな。

    それにしても、日記も手紙もカフカのホンネだったのか?自己演出だ...続きを読む
  • アメリカ
    話は両親によって本国から追い出されたカール・ロスマン氏の新天地アメリカ放浪記ですが、ロスマンはトラブルを起こして次々に新たな目的地を目指します。第一章の火夫が短篇集にも収録されていることから分る通り、それぞれの章が自己完結しているので、分量の割には長さを感じさせない構成になっています。未完のせいもあ...続きを読む
  • カフカ寓話集
    最初の2ページを読むだけで分かる。
    ああ、カフカだと。
    物語の中に入ったと思ったら、読者はそこに置き去りにされる。
    誰も追いつけない。カフカにだけは。
    自分なりに色々な作品を読んできたつもりだが、
    カフカの世界に似た作品、世界観をもつものには未だに無い。
    なぜカフカだけがここに行き着けたのだろうか。
  • 審判
    好きだ
    奇怪な世界に迷い込ませてくれます。
    決して明かされることのない訴訟の理由。
    唐突に訪れる判決。
    意味なんて必要ない。この理不尽さがたまらない。
    芸術って、何かのために、とかじゃなく「書かずにいられない」
    っていうものの発露なのだなあと思った。