砂漠に不時着した飛行士の「ぼく」は、小さな星からやってきた王子と友達になる……。
いわゆる『星の王子様』です。原題はこちらのタイトルの方が近いそう。
児童文学というカテゴリではありますが、どちらかと言うと「かつて子供だったすべての大人へ」というメッセージが強い気がします。
小さい時も読んだことがあ
...続きを読むるのですが、その時は正直よく分からなかった。
優しく柔らかい語り口なのに、孤独を感じる不思議な話。
私は幼少期、子供同士で遊ぶというよりは大人に囲まれて育ったので、言葉は伝わっているはずなのに意図が通じない、子供だけが感じ取れるような半空想の世界を伝えられないもどかしさと常に隣り合わせにいたのですが、その感覚を思い出しました。
特に、冒頭の「ぼく」が描いた絵を見せる場面が特にその印象が強かったです。
本当に大切なものは目に見えない。有名なセリフですが良い言葉です。
反物質主義思想とでもいうのか。物や金や数字、目に見えるものしか信じられない、ノルマや時間に追われ、金銭で簡単に手に入る贅沢に溺れている大人になった「わたし」へ、かつて子供だった「わたし」からの言葉のようにも感じます。