【感想・ネタバレ】ちいさな王子のレビュー

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ネタバレ

野崎歓による『星の王子さま』(原題『Le Petit Prince』)の新訳。『ちいさな王子』と直訳されたタイトルが示すように、原著に忠実な訳文であるよう。

内藤訳との大きな違いは、本文が敬体(ですます調)でなく、常体(だ・である調)で訳されていること。理由として訳者が、あとがきにて「『できるならぼくは、この話を、おとぎ話みたいにはじめてみたかった』と、語り手自身が述べているではないか。つまり、実際には彼はそういう語り方を採らなかったのである」と指摘しているのは説得力がある。

(その他はたとえば、主人公から王子への呼びかけが、「坊っちゃん」や「あんた」から、「坊や」「きみ」とされていたり、「けんのん」「寄せ算」「かんじん」といった言葉は「とってもあぶない」「足し算」「大切」といった現代風の言葉に置き換えられている)

内藤訳に慣れていると読み始めは戸惑うけれど、淡々とした野崎訳だからこそ、本書の端々に溢れる純粋さが際立って感じられる。内藤訳は名文だけれど、野崎訳もまた違った味わいがあって良い。

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2018年01月30日

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これは大人のための本だ。子供のときに見えてた、考えてたことが、大人になって見えなくなっている、忘れていることに気付かされる。
最後のやりとりは十分に理解できていないけれど、肉体的な苦痛と精神的な苦痛を経た別れだったのだろうか。

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2022年08月06日

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大人になってから読んでみると、王子やキツネの言葉にハッとさせられる。どこかに不時着してみてわかることもあるのだな。

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2021年06月03日

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ネタバレ

心の内を分かち合う相手のいない人びとが孤立したまま宇宙にちらばり、あるいは砂漠を彷徨っている。
可愛らしい王子さまの冒険だけど孤独なお話。
だからこそ、なついた薔薇やきつねは特別な存在。
だらかにとっての特別ってだれかにとってのなんでもない存在。

ボアが猛獣をのみこもうとしている絵。
ボアが象を消化している絵。 
想像力って生きるうえで糧になるなぁ。

大切なことは目に見えない。

有名すぎる本の光文社古典新訳ちいさな王子。
知ってるようで知らない忘れてるおはなし。

人生に大切なことがつまってる。

わたしたち大人は、赤ら顔さんというおじさんだなぁ。いつもやってるのは足し算ばっかり。目の前のことばっかりで反省。

今読んだきっかけは、この作品を題材にした哲学対話に参加するためです。発言はむずかしいけど世界観には浸れれば嬉しいなぁ。

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2021年01月23日

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非常に示唆に富む面白い童話。


誰もいないのに王様のいる星
のんべえのいる星
数を数えて所有した気になるおじさんのいる星
一日中ライトを点けたり消したりする点灯係のいる星
地理学者のいゆ星

この星をめぐる部分が非常に面白い。
変なことをいう星の王子さまの発言もまた面白い。



さすがOJTの先輩が一番面白いと言っていた本。

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2018年12月28日

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初めて読んだ。
こういうのは、やはり小さいときに読んでおくべきなのだろうか。
でも、これはやはり大人が読むべきものなのだろうか。
「夜間飛行」「人間の土地」「戦う操縦士」ときて、どうしてここに辿り着いたのか、その飛躍にとても心動かされる。

噂に違わぬ素晴らしい傑作だった。

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2018年11月18日

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おとなになってしまった人が忘れてしまっている、こどもだった頃の気持ちを思い出せる物語でした。全体を通して、美しい、けれどもの哀しい雰囲気がありました。心に残る言葉がたくさんありました。

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2017年08月29日

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この夏、ジェラール・フィリップの朗読CDを買って、真夜中にひとりで何度も聴いた。映画「リトルプリンス 星の王子様と私」を観る前にもう一度活字で読み返したかったので、特にお気に入りの野崎歓先生の新訳を選んだ。ちいさな王子さまが広大な砂漠に立ち尽くしている光景を何度も想像してしまい、何度読んでも胸が締め付けられて涙が出る。それも大人になるにつれて益々… 日常の些末なことを大切に生きようと思う。

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2015年12月07日

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【コメント】
子供だった大人たちにむけて描いた物語り。
こう書くとなんだかワクワクする。

主人公と男の子が出会い、交流を通して
本当に大切なものは何なのかに気づいていく。
優しくユーモアがあり、ちょっと切なくなる
お話し。

*** 作品の時代背景
この本は著者が実在の友人のレオン・ヴェルト
に向けて書いた物語り。レオンはユダヤ人で
大戦で迫害を受けていたのだ。著者自身も
フランスがドイツに敗れ自身はアメリカに亡命
している。

そういう背景を知って作品を見てみると、
これは単にファンタジーを描いただけの
作品ではないときづく。そこには風刺
(王子が様々な星で出会う奇妙な大人たち
に対する)があり、友人レオンと同じよう
につらく孤独な思いをしている大人たちへ
のメッセージがこめられている。

【内容】
著者は、独り砂漠に不時着し難儀する。
そんな時にであった小さな男の子との交流を
通して、人生で本当に大切なものは何なのか?
に気づいていく。

小さな男の子は星の王子さまなのでした。
王子さまは、大切なものを自分の星に残して
旅にでてしまう。様々な星を渡って冒険する。
そうして地球にやってきたのでした。

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2015年11月27日

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ネタバレ

サン=テグジュペリの「星の王子様」で有名ですが、訳者が違うのでタイトルが違います。訳も違うので、雰囲気が少し違うかもしれません。
何か少し最後に悲しくなるのは、王子と友達になった飛行士の気持ちになるからかな?
「大切なものは目に見えないんだよ。」
「時間をかけて世話したからこそ、きみのバラは特別なバラになったんだ」
もう一度心に響く言葉がいっぱいありますね。

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2014年11月28日

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ネタバレ

別のバージョンで読んでいますので、
実質再読となります。

大人になれば、なるほど
心はだんだんとすさんでいったり、
知りたくもなかったものを知ってしまうもの。

だけれども、本には、そんな素敵な時期を
思い出させてくれる、不思議な力があります。
そう、ちいさな王子のような、ほんとうに
穢れのない目で見られる瞳。

だけれども、彼には一つだけ、
心残りがあったのです。
恋をしていた生き物を、見捨ててしまったこと。

世の中には、きれいごとではすまないことがある。
だけれども、大事なものはある。
それは、目には見えないもの。

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2014年07月20日

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この訳者は『星の王子さま』の題名の反対派。タイトルの”petit”、つまり「小さい」という形容詞を重要視しているからだ。確かに、小さな星からやっていた、小さな王子の、小さな物語かもしれない。
また、訳者は、この話の中で語り手が「おとぎ話みたいにはじめてみたかった。」とあるように、この話は、おとぎ話調、童話調ではない点を指針とした、とあとがきで書いている。とはいえ、様々な訳を読んだ中では、印象としては、おとぎ話風の印象を持った。
もしかしたら、これが訳者のいう、第二の指針とした、この物語の「温かさ」、サン=テグジュペリという人物のぬくもりの現れなのかもしれないな。

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2015年01月07日

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愛読書は?と聞かれて自信を持って答えられるほど読んではいないが、確実に私の中で特別だと言い切れる作品だ。何度も何度も、小さな王子の言葉にはっとする。

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2012年06月02日

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KiKi の子供時代、とあるコマーシャルで「大きなことはいいことだ」というフレーズが使われたことがありました。  でもその後の価値観の変動の中で「大きけりゃいいってもんじゃない」という風潮が生まれてきて、今はその延長線上にあるように感じます。  でも、一度は大きい方に舵をとったこの社会はこの「大きい」と「小さい」のひずみの中で喘いでいる・・・・・そんな気もしないじゃないんですよね~。    

でね、今回、この「小さな」「大きな」という対比の中に、KiKi は「大きな組織で動く効率的・合理的社会」というものを感じ取りました。  もちろんそれが「悪いこと」とは言い切れないんだけど(特に落ちこぼれながら会計人感覚からすると 苦笑)、それでもその「効率性」「合理性」追及の陰に、王子が自分の星から地球に至るまでに立ち寄ったいくつかの星に住む不思議な住民の姿がダブって感じられるんですよ。  「支配だけしたがる王さま」、「ただ目立ちたがる男」、「自分を見失い酒ばかり飲んでいる男」、「ひたすら忙しがるビジネスマン」、「点灯だけを仕事とする男」、「フィールドワークをしない机にかじりついている学者」・・・・・・。 

今更ながら・・・・・ではあるけれど、この物語ってひょっとしたら「人間性の喪失」に対する危機感の物語であり、どんどん近代化していく世界への警鐘の文学だったのかもしれません。  そう・・・・、言ってみれば「怜悧な社会風刺の物語」。  そしてもう一つ感じたのは、ここ何年か KiKi 自身もず~っと考え続けていることなんだけど「グローバル・スタンダードって本当のところ何???」という命題について扱っている物語でもあるんだなぁということでした。

(全文はブログにて)

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2012年01月25日

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『星の王子さま』として有名な本の新訳。
登録する際検索したら他にも色々引っかかってきたので、見比べるのも面白そう。
本書に関して言えば、原題である『LE PETIT PRINCE』を素直に『ちいさな王子』と訳しているところからも原文に忠実なところがうかがえる。
訳者あとがきに、作中で語り手自身が「できるならぼくは、この話を、おとぎ話みたいにはじめてみたかった」と述べているのを受けて、おとぎ話調、童話調は採用しないとも述べており、大人にとっても読みやすい文章になっていると思う。

内容についてはいちいち触れないけれど、悲しさと暖かさが同居して何度読んでも不思議と涙があふれる作品。

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2009年11月14日

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SL 2023.2.24
何年振りに読んだだろう。
野崎歓先生の新訳。
作者自身のことや時代の背景を知って読むと、ほとんど何も知らないで読んだ時とは全く違う景色が見える。
ハッとさせられる言葉がそこかしこに。
子どものためのファンタジーでありながらこの孤独感はすごいな。

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2023年02月24日

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「星の王子さま」を含めて、初読。
聖書と資本論に次いで多くの翻訳がなされた本、とのことで、納得の名作。

数多い印象的な場面の中で、お気に入りは、

冒頭の、ヒツジの絵を書く場面で、なかなか王子のOKが出ないので、(一休さんのように)、箱の絵を描いて、「きみのほしがっているヒツジはこのなかに入ってる」と、やったら、王子が顔を輝かせて喜ぶ場面。

あとは、(以下、抜粋)

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「こんにちは」と小さな王子がいった。
「こんにちは」と商人がいった。
それはのどの渇きをしずめるという、あたらしい薬を売る商人だった。週に一粒、その薬を飲めば、それでもう何も飲みたくなくなるのだそうだ。
「どうしてそんな薬を売ってるの?」小さな王子はたずねた。
「ずいぶん、時間のせつやくになるんだよ。専門家が計算してみたんだ。そしたら、毎週五十三分のけんやくになるらしい」
「その五十三分をどうするの?」
「好きなように使えばいいさ・・・」
小さな王子はつぶやいた。(ぼくだったら、もし五十三分つかえるなら、どこかの泉まで、ゆっくり歩いていくだろうなあ・・・)

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「きみが夜、空をながめるとき、どれかの星にぼくが住んでいて、そこでぼくが笑っていると思えば、きみにとっては全部の星が笑っているようなものでしょう。きみがもてるのは笑うことのできる星なんだよ!」

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2022年07月02日

ネタバレ

深い

ちいさな王子
星の王子さま をファンタジーになりすぎず親しみやすく愛情をこめてあえて違う訳し方をした題名の本。とにかく深い…。最初は意味がわからなかったけど考えてみると一つ一つに意味がある。まず登場人物がみんな一人きりで過ごしていること。一人でいると自分だけのことを考えてしまいがちだけど誰かのために行動できることが巡り巡って自分のためになるんじゃないかなって思った。
だって王様やビジネスマンより王子様や点灯を繰り返している人の方が楽しそうだもの。
これが一期一会みたいなものの大切さをあらわしてるような気もした。
出会ってなつかせること、これによって人は目には見えない絆を築くことができる。
絆を育むことで得るさよならは寂しいものだけれど絆を得たからこそ思い出の中で美しいと思えることが増えるのだと思った。
誰にとってもガラクタだと思えることが自分にとっては宝物ということ。
誰にも理解されなくても自分だけが見て幸せを感じられるものが増えるのって素敵なことだ。
それから王子が大切にしているもの。
小さな想像ひとつが物事を愉快にできる。
想像ひとつで世界がキラキラしてみえる。
でも大人になってからそーゆー想像なんて時間の無駄で、ないものを想像してワクワクすることなんて無くなっていたなって思った。
自分の一瞬をほんの少しの想像でワクワクさせることができる子供ってすごい。
それができなくなってしまうことが大人になるってことなのかな?
王子が死んでしまったお別れは飛行機が直ったことと引き換えで文明の利器に頼って自らだけで起こす力を信じられなくなってしまった現状を悲しく訴える本でもあった気がする。
自分の力を信じて、もしかしたらなんて想像で心を踊らせながら、目には見えない大切なものを意識して純粋な気持ちを大切にできる大人でありたい…。主人公の彼の絵を帽子だなんて言わずに理解できる大人に。

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2018年06月13日

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表紙と挿絵が可愛いから読み始めた。
挿絵はどこかで見たことがある可愛らしい絵。
平仮名が多いからかスッと読めた。
すぐ読める中にもどこか深い。
小さな王子が自分の星で1輪の花に出会うが、嫌気が差し地球に来る。
地球が来るまでに様々な個性がある星の人に会うが、その人たちも何処か孤独。
見えない物の大切さが分かる本。

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2013年12月16日

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「『...もしきみがぼくをなつかせてくれるなら、ぼくらはお互いが必要になる。きみはぼくにとって、この世でたった一人のひとになるし、きみにとってぼくは、この世でたった一匹のキツネになるんだよ……』」 「『さよなら。じゃあ、秘密を教えてあげよう。とてもかんたんだよ。心で見なくちゃ、ものはよく見えない。大切なものは、目には見えないんだよ』」

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2011年12月29日

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別名「星の王子さま」でお馴染みの名作。

いま、出会いと別れに至極敏感な時期だからなのか、
やけに感動した。

そぎ落とされ、洗練された文章で紡がれた物語が、
却って愛らしさと切なさを同時に謳う。

人は出会う。そして成長して別れる。
そこら辺に転がっているありきたりの日常が
実は奇蹟だったと気づかせてくれる。

素晴らしい作品でした。

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2010年10月17日

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大学の授業で必要になったので購入しました。

中学の時一回挫折して、高校の時に読みきったきりご無沙汰でした。

昔読むのが苦痛だったのは、訳が古いものだったからかもしれません。この本はとても読みやすかったです。

大学生になってから読み返して、高校時に読んだ時よりもこの本の良さを感じることが出来たと思います。
あと私的にこれを児童書というのはどうかと思います。
大人向けの童話といった方がいいような。

今『人間の土地』を読もうと思っているのですが、同じ著者でもこちらは1955年に堀口大学という方が訳されたきりになっていて、旧漢字が使われています。読んだ方のレビューを読んでみると、最初のとっつきにくささえ乗り越えればとても素晴らしく思えるらしいのですが、どうにも不安です。
なんでこっちは新訳がないんでしょうか(´;ω;`)

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2011年06月17日

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新訳「星の王子さま」。一連の新訳では好きなほう。訳者は、「ムッシュー」などJ.P.トゥーサンの作品の翻訳でお馴染。光文社古典新訳文庫はホント良い作品を揃えてるなー。

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2010年03月04日

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「星の王子さま」新訳読み比べをしている。子供に対するさっぱりして温かい文体だと思った。「王子と語り合い、その笑い声を聞くことが許されるのは、飛行機が飛ばないことと引き換え」

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2009年10月07日

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砂漠に不時着した飛行士の「ぼく」は、小さな星からやってきた王子と友達になる……。

いわゆる『星の王子様』です。原題はこちらのタイトルの方が近いそう。
児童文学というカテゴリではありますが、どちらかと言うと「かつて子供だったすべての大人へ」というメッセージが強い気がします。
小さい時も読んだことがあるのですが、その時は正直よく分からなかった。

優しく柔らかい語り口なのに、孤独を感じる不思議な話。
私は幼少期、子供同士で遊ぶというよりは大人に囲まれて育ったので、言葉は伝わっているはずなのに意図が通じない、子供だけが感じ取れるような半空想の世界を伝えられないもどかしさと常に隣り合わせにいたのですが、その感覚を思い出しました。
特に、冒頭の「ぼく」が描いた絵を見せる場面が特にその印象が強かったです。

本当に大切なものは目に見えない。有名なセリフですが良い言葉です。
反物質主義思想とでもいうのか。物や金や数字、目に見えるものしか信じられない、ノルマや時間に追われ、金銭で簡単に手に入る贅沢に溺れている大人になった「わたし」へ、かつて子供だった「わたし」からの言葉のようにも感じます。

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2022年12月21日

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有名な「星の王子さま」の新訳。
この作品ははじめて読んだ。

けれども、あまりピンとくるところがなかった。
少年少女はこの作品を読んでどう感じるのだろうか。
そういう部分がとっくに鈍麻してしまっている自分にはわからない。

私にとっては、サン=テグジュベリといえば、やはり「夜間飛行」や「人間の土地」のサン=テグジュベリだ。

たとえばこういう文章。

「リヴィエールには、自分が、長いあいだ、重い物体を差上げ続けてきたような気がする。いわば、休む間もなければ、果てる希望とてもないこれは努力なのだ。「僕は老いてきた……」行動自体のうちにかれが自分の糧を見いださないということは老いた証拠のように思われた。いまだかって、ただの一度も思ったこともないような、こんな問題に心を労している自分にふと気づいて、彼は驚いた。それにもかかわらず、彼がこれまで絶えず押し退けてきた、やさしいものの集まりが、目に見えない大洋のように、憂欝な響きを立てて、彼に向かって押寄せて来るのであった。「それらのものが、かくまでに身近に迫っているのか?……」彼は、今思い知った、自分が、すべて人間の生活を優しくしてくれるものを、老後の方へ、「やがて自分に余暇のできるとき」へと、少しずつ押しやってきていたのだと。なにか、実際に、やがていつの日か、自分に余暇ができ、一生の終りに近く、自分が想像しているような幸福な平和が得られでもするかのように。ところが、平和はいつになってもこないはずだった。勝利もないかもしれないのだ。なぜかというに、あらゆる郵便物が、ことごとく到着し尽くすということは絶対にないはずだから。」
(「夜間飛行」堀口大學=訳 新潮文庫p22)

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2017年12月02日

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もちろん、映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』を観たために再読しようと思って買い求めた本です。

王子の語るエピソードの1つひとつが何かの象徴のように感じられるし、また読者にとっては気付きを得るような内容になっています。

ただ、これがあまりにも、明示的で不条理だという印象を受けました。つまり、メッセージは直接的で分かりやすいのだけれど、ストーリーとして釈然としない。
そういう読み方は、あるいは王子に言わせると、忌むべきなにかに分類されてしまうのかもしれませんが。

決して、好きでない、ということはありません。挿絵も含めて、とても優しくて素敵な小説世界だと思います。けれども、この本で強調される(ようにみえる)教訓めいたものを切り出して、それを額縁に入れて壁に飾るような読み方は、私にとって心地よいものではない、ということです。

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2015年12月06日

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難しい。色々な読み方があるんじゃないかな。楽しいとき、幸せなときに読むのと、悲しいとき、つらいときに読むのと違うと思う。

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2013年12月12日

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どんなおとなだって、最初はこどもだった(それを覚えているおとなは、ほとんどいないけれど)

なにしろおとなには、いつだって説明が必要なんだから。

「まっすぐに歩いても、そんなに遠くまでは行けないんだよ……」

でも残念ながら、ぼくには箱のなかのヒツジを見てとる力はない。きっと、少しばかりおとなたちに似てきたのかもしれない。ぼくも年をとったんだ。

こどもたち!みんな、バオバブには気をつけるんだよ!

「あのころ、ぼく、なんにもわかっていなかったんだなあ!お花が何をしてくれたかで判断するべきで、何をいったかなんてどうでもよかったのに。お花はぼくをいい香りでつつんでくれたし、明るくしてくれた。ぼく、逃げ出したりしちゃいけなかったんだよ!いろいろずるいことはいってくるけど、でも、根はやさしいんだとわかってあげなくちゃならなかった。お花のいうことって、ほんとうにちぐはぐなんだもの!でもぼくはまだちいさすぎて、どうやってお花を愛したらいいかわからなかったんだ」

「そうだとも。ぼくにとってきみはまだ、たくさんいるほかの男の子たちとおなじ、ただの男の子でしかない。ぼくにとっては、きみがいなくたってかまわないし、きみだって、ぼくなんかいなくてもいいだろ。きみにとってぼくは、ほかのたくさんいるキツネとおなじ、ただのキツネでしかない。でも、もしきみがぼくをなつかせてくれるなら、ぼくらはお互いが必要になる。きみはぼくにとって、この世でたった一人のひとになるし、きみにとってぼくは、この世でたった一匹のキツネになるんだよ……」

心で見なくちゃ、ものはよく見えない。大切なものは、目には見えないんだよ。

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2013年02月09日

Posted by ブクログ

恥ずかしながら、この年になって初めて読みました。
洋書はもともと日本語で書かれているものと違って、伝えたいことのニュアンスを読み取りづらいなと感じました。
もっといろいろ読んでみたいと思います。
次はグレートギャッツビーに挑戦してみようかな。。

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2012年08月17日

Posted by ブクログ

肩の力を抜いて、王子と一緒に星々をゆく。さまざまな性質を持った人間がいる、ということ。それはもちろん、現実社会の反映だろう。一人一人違う星のうえに生きていて、各々違う宇宙をみているものかもしれない。それが本書で端的に表現されているようだ。…もう前に読んだので記憶もぼんやりだが、ラストの描写は日本語として、ちょっと気に入らなかったように思い出す。違う訳と比べ読みしてみたい。

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2010年09月25日

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