どんなおとなだって、最初はこどもだった(それを覚えているおとなは、ほとんどいないけれど)
なにしろおとなには、いつだって説明が必要なんだから。
「まっすぐに歩いても、そんなに遠くまでは行けないんだよ……」
でも残念ながら、ぼくには箱のなかのヒツジを見てとる力はない。きっと、少しばかりおとなたち
...続きを読むに似てきたのかもしれない。ぼくも年をとったんだ。
こどもたち!みんな、バオバブには気をつけるんだよ!
「あのころ、ぼく、なんにもわかっていなかったんだなあ!お花が何をしてくれたかで判断するべきで、何をいったかなんてどうでもよかったのに。お花はぼくをいい香りでつつんでくれたし、明るくしてくれた。ぼく、逃げ出したりしちゃいけなかったんだよ!いろいろずるいことはいってくるけど、でも、根はやさしいんだとわかってあげなくちゃならなかった。お花のいうことって、ほんとうにちぐはぐなんだもの!でもぼくはまだちいさすぎて、どうやってお花を愛したらいいかわからなかったんだ」
「そうだとも。ぼくにとってきみはまだ、たくさんいるほかの男の子たちとおなじ、ただの男の子でしかない。ぼくにとっては、きみがいなくたってかまわないし、きみだって、ぼくなんかいなくてもいいだろ。きみにとってぼくは、ほかのたくさんいるキツネとおなじ、ただのキツネでしかない。でも、もしきみがぼくをなつかせてくれるなら、ぼくらはお互いが必要になる。きみはぼくにとって、この世でたった一人のひとになるし、きみにとってぼくは、この世でたった一匹のキツネになるんだよ……」
心で見なくちゃ、ものはよく見えない。大切なものは、目には見えないんだよ。